愛媛・久万高原町に、打ちたての「十割そば」が売りの小さな店がある。古民家で提供される、こだわり抜いたそばのおいしさの秘密を取材した。
山あいにポツンとたたずむ古民家「そば屋」
福吉貴文アナウンサー:
久万高原町の山あいに来ています。田んぼの稲穂は垂れて、すっかり秋めいています。細い道の先にあるのは"ポツンと古民家”です。実はここ、そば屋なんです

久万高原町露峰、山際の地区にポツンとたたずむ「生そば若宮」。

明治初期に建てられたという古民家では、店主の篠﨑節夫さんが仕込みの最中。
生そば若宮・篠﨑節夫さん:
作業的には「水回し」といって、粉に水をまんべんなく混ぜる。回すというか、そば打ちの中ではいちばん重要

篠﨑さんが打つそばは、小麦粉などのつなぎを一切使わず、北海道から取り寄せたそば粉のみで打つ十割そば。
15分ほどかけ、丹念にこねたそば粉の生地を均一の薄さに延ばし、そば切り包丁で手際よく切っていく。
細さは1.3mm、職人業が光る真っ白なそばに仕上がる。

脱サラしてそば職人へ…山の湧き水がおいしさの秘密
実は、大学の進学先の北海道で、長年 サラリーマンをしていたという篠﨑さん。
なぜ、そば職人を目指したのか。
生そば若宮・篠﨑節夫さん:
何もしないで残りの人生過ごすのはわびしいしね。できることは何だろうかなと思ったら、そば屋だった

一念発起して専門学校でそば作りを学んだあと、愛媛にUターン。
6年前に実家の古民家で、「生そば若宮」をオープンした。

少しへんぴなこの場所に店を構えたのは、そばをゆでる「水」へのこだわりがあった。
生そば若宮・篠﨑節夫さん:
このゆでているお水が湧水です。これがうちの売り
「四国でいちばん柔らかい」ともいわれる、近くの山から湧く天然の軟水を使うことで、まろやかな味に仕上がるという。

篠﨑さん渾身の打ち立てそば、そのお味は…?
福吉貴文アナウンサー:
うまい!麺がみずみずしいですね。食感はつるつるっとしてて、喉越しもいいです。喉を通った瞬間に、そばの香りがふわっと広がります

生そば若宮・篠﨑節夫さん:
この水とそばに巡り会えて、幸せといえば幸せですよね。自分が製麺して、自分でゆでて、出して、食べていただけるんだから。非常に幸せですよね

店は、午前11時から午後2時までの営業。現在は不定休ということで、そばを食べるには事前の電話予約が必要。
食欲の秋、山中の静かな古民家で、こだわりの打ちたてそばに舌鼓を打つ。
ぜいたくな時間を過ごしてみてはいかがか。
【生そば若宮】
営業時間 :午前11時~午後2時(不定休)
要電話予約:(0892)50-2311
(テレビ愛媛)