“発射台”高く・・・冬までに十分減少を
「東京都の新型コロナウイルスの専門家会議では、感染拡大が懸念される冬に備え、 新規感染者数を十分に減少させる必要があります」
16日開かれた、東京都の新型コロナウイルスモニタリング会議。感染状況として、新規感染者数の7日間平均が前回の1986人から1095人に減り、100%を下回ると減少の指標になる増加比も55%にとどまった。

しかし、感染拡大が繰り返されるたびに最小値は高くなっている。つまり“発射台が高く”なっていて、感染者数が下がり切らずに再び増え始めると、増加スピードが著しくなる恐れがある。このため国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、冬までに新規感染者数を十分に減少させる必要があると警鐘を鳴らした。
10歳未満の割合6週連続増加 小児科の診療強化を依頼
「小児科を標榜する医療機関に対し診療体制の確保を依頼しました」
一方で、感染者のうち10歳未満の割合が6週間連続で増えるなど、子どもの感染例は後を絶たない。このため東京都医師会の猪口正孝副会長は、小児科のある医療機関に対して、病床確保など診療体制の強化を依頼したことを明らかにした。

感染者減でも救急医療には未だ支障
「新規陽性者数の減少にもかかわらず、累積した入院患者数、および重症患者数は、未だ高い水準で推移しています」
会議では、感染者数は減少しているものの、入院患者数や重症患者数は未だ高い水準にあるため、救急搬送の受け入れには支障が出続けている、と厳しい状態が続いていることが改めて示された。

感染のピークは開会式前日
「開会式前日である7月22日をピークに下落に転じて、ずっと下落傾向が続いているところであります」
東京都は、1を超えると感染が拡大していることを示す”実行再生産数”が、東京オリンピックの開会式前日がピークの1・5で、その後は下降しているとのデータを示し、「安全安心な大会に向けて様々行った対策は有効に機能したものと思っている」との見方を示した。

“ワクチンで無症状”が感染者減少に?
「ワクチン接種により、感染しても無症状で、症状が出ないから気づかない、それが感染者の減少につながっている、ということもあるのか」
関係者にこう尋ねたところ、「それはありうる」 と即答だった。 ただ、無症状の“潜在感染者”を探し出す難しさについても訴えていた。今週の新規感染者9057人のうち、13・7%が無症状だったという。
無症状の感染者から感染が広がっている可能性があり、症状がなくても感染源となるリスクがあるということだ。ワクチン接種後もまだまだ、基本的な感染予防対策が重要となる。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)