新型コロナウイルスの感染が広がる中、入院ではなく自宅療養となる人も増加の一途をたどっている。自宅療養となった場合、家の中で感染を広げないために何に気をつければいいのか、感染症の専門医に聞いた。

家庭内を3つのエリアに分けて対策

高知県内で自宅療養の対象となるのは、無症状や発熱・呼吸器症状のない軽症患者のうち、同居家族がいるか、近くに親族が住んでいる人。

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自宅療養になったら、どう生活すればいいのか。高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師は、家庭内でのエリアを分ける「ゾーニング」の考え方が重要だと言う。

高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師:
まず、基本的なことで一番大切なことは(1)患者さんがいる場所はウイルスがたくさんいる場所(2)共用の場所はウイルスがいる場所(3)ウイルスが少ない場所。この3つを頭に入れてほしいと思います

高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師
高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師

患者だけがいるゾーン(赤色)と、トイレや風呂を含む患者と他の家族の共用の場所であるゾーン(黄色)、それ以外の場所であるゾーン(緑色)で対策は変わってくる。

ゾーンごとに対策を変更
ゾーンごとに対策を変更

患者ゾーンは、家庭内にウイルスを広げないために他の家族は極力立ち入らず、清掃や消毒も行わない。

トイレやお風呂などの共用ゾーンでは、こまめな清掃と消毒が必要となる。患者が使用するたびに必ず行うことも必要だ。

それ以外の場所を含む家庭内全体では、マスク着用や3密の回避など、基本的な対策が推奨される。

患者との接触を避け…トイレや洗濯物などはどうする?

患者ゾーンは個室を使用するのが望ましいが、部屋を分けるのが難しい場合は、患者がいる場所を部屋の隅などに固定することも有効。

高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師:
(個室がない場合)マスクをするとか、2メートルぐらいの距離を開けて生活するとか。あるいは患者さんに部屋のコーナーだけを使ってもらう

高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師:
患者さんとの話もできるだけ少なくしていただきたい。もし長い話をするのだったら、家の中でスマートフォンで話したりすることが必要

共用ゾーンでは、壁やドアノブなど患者が触った場所をアルコールや次亜塩素酸ナトリウムが主成分の漂白剤で消毒する。

トイレは患者が使用する度に洗剤で清掃し、消毒も行う。床も最低1日に1回の消毒が必要。

お風呂は患者に最後に入ってもらい、使用後は家族が清掃する。

ほかにも洗面所では、歯ブラシは共用の場所で保管しないことも大切だ。食器を洗う際は、他の家族のものと一緒に洗っても大丈夫だが、手を拭くタオルは共用しないようにしてほしい。また、患者のものを触るときはマスクと手袋を着け、手袋を外した後は手の消毒が必要。

洗濯物は一緒に洗っても大丈夫だが、気になる場合は別に洗う。体液などで汚れてしまっているときは、一緒に洗う前に一度、別に洗う必要がある。
ゴミについては、患者が袋に密閉して室外に出した後、家族はそれを直接触らずにきれいなビニール袋に入れ、二重に包んでゴミに出す。

高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師:
きれいなゴミ袋を持って行って入れて、外側をきれいな状態にする。少しでも汚れたようだったら、消毒してゴミに出す。室内汚染させないこと、それから、ウイルスはそんなにたくさんついていませんが、ゴミを収集する方にも気を配っていただきたい

「サイレント肺炎」に注意 自宅療養では少しの異常でも連絡を

自宅療養となった際には、保健所から血中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターが配られる。

パルスオキシメーターに指先を入れてスイッチを押すと、血中の酸素飽和度と脈拍が表示される。

左側に示された酸素飽和度の数値は、健康な人で100%から96%で、95%から94%になったら要注意。93%を下回るとかなり酸素が不足し、危険な状態になってくる。

高知県感染症対策協議会会長・吉川清志医師:
徐々に肺が悪くなってくるので、自分が苦しいと感じない人がいるみたい。「サイレント肺炎」というんですが、そうすると病院に行くまで間に合わない、自宅で亡くなってしまうということが起こりますので、パルスオキシメーターの数値で自分の症状を判断する。
自覚症状も大切で、横になって眠れないとか、大きい息を1分間に20回ぐらいしているとか、鏡を見ると唇が白いといった症状は肺炎が進行してる症状ですので、そういうのがあれば(数値にかかわらず)連絡することが大切

自宅療養の間は、専用サイトや電話で健康状態の聞き取りが行われるが、少しでも異常があればためらわずに連絡をすることが大事だ。

連絡先は間違いやいたずら電話を防ぐため、保健所から患者だけに知らされる。平日であれば担当の保健所に、夜間や休日は県と市が共同で設置した電話窓口があるので、そちらに連絡をしてほしい。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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