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プロテニス選手も所属する神奈川県のテニススクール。新たに取り入れたのは、プレーを解析するITデバイス「MOJJO」。フランス発、アジア初上陸。必要な設備はカメラ2台と専用の端末のみ。

荏原湘南スポーツセンター 吉田将彦テニスコーチ:
(記録について)今まで、私たちは、数値を取るのは手書きだった。数値を取るのか、その様子を取るのか、どちらかにしか、中々、集中できませんでした。

プレーの改善点を見つけるために、練習や試合を記録するテニスノート。今までは、サーブの入った位置や決め球など、限られた情報を、目視と記憶を頼りに、手書きで記録していた。

一方、MOJJOを利用すると、サーブ、リターンの成功率だけではなく、ボールの落ちた場所、フォアハンド、バックハンドの打った割合など、30項目以上のデータの取得が可能。

テニスは、所要時間のおよそ8割を、ボール拾いやチェンジコートなどのプレー以外の時間が占めるとされている。しかし、MOJJOでは、映像の無駄な時間をAIが解析し、自動で編集。ビジョンセンシングテクノロジーを使い、AIに選手のポイント間の動きを学習させた。

また、カメラの切り替えやズーム、スロー再生も可能。動画やデータはスマホで見ることもできる。

吉田コーチ:どっちの方がボールが深いかな
   生徒:藤野くんです
吉田コーチ:相手を動かせるような、四隅に打てた方が良いから
      そういったところが、うまくコントロールできるようになると強くなるよね

インターハイ出場・藤野恵大さん(18):
体が覚えていても、やったことを頭で覚えていないので、自分の動きを目で見て、判断できるのは、自分にとってすごく良いと思います。

全日本ジュニア準優勝 坂本健英さん(16):
自分の中で解決策が出てこないものが一目で分かるというのが、あまりストレスがかからなくて、プレーにも良い影響が出ると思います。

世界で延べ2万4000人、累計13万試合を解析して作られたMOJJO。これまでに世界10カ国、70以上の名門テニススクールで導入されている。

荏原湘南スポーツセンター 吉田将彦テニスコーチ:
指導者側から選手に対して、一方向でしか話ができなかったものが、MOJJOを使うことによって、お互いで相互理解をする、効率よく指導ができるという所につながっていくのかなと

導入費用は80万円、3年後までに、国内50カ所での展開を目指しているという。

MOJJO Japan 林城太郎 代表取締役: 
日本のテニス界の主役というのは、テニス愛好家の方々だと思っていて、テニス愛好家の方々が、もっとテニス好きになるような世界を作るというのが、MOJJOの一番の目標です。

内田嶺衣奈キャスター:
このニュースについては、デロイト トーマツ グループの松江英夫さんに話をうかがいます。スポーツの教え方も、技術の進歩で、飛躍的に進化していますね。

デロイト トーマツ グループ松江英夫CSO:
私は、これは、スポーツにおけるデータ活用の民主化と捉えています。テニスという競技は、プロスポーツにおいて、データを活用する先駆的な存在で、2006年に、電子審判システム、判定にデータを使う、こういうことをやり始めて、すそ野を広げた、ある種、先駆けなんです。今回の取り組みは、プロスポーツだけではなくて、アマチュアスポーツにも、広い用途でデータを扱う、ある意味、民主化を後押しする取り組み、こんな見方もできるんじゃないかと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
利用者が増えていけば、それだけビジネスチャンスも広がるので、開発する企業側としてもメリットが大きそうですね。

デロイト トーマツ グループ松江英夫CSO:
実際、アマチュアスポーツでのデータの活用は広がっていて、集団スポーツの中での動画の分析や、健康増進のためのウォーキングの記録をとる、こんなところまで多岐に渡っている。幅広いデータを企業がとることができることで、新しいサービスにつながる、そんなメリットもあるんです。

デロイト トーマツ グループ松江英夫CSO:
同時に、スポーツをする側のメリットとしては、データをとることによって、自分のプレーが見えるようになる、可視化が大きいと思います。それによって自分の弱点も分かる、上達のプロセスが客観的に見えるようになる、単にスポーツを、結果だけ楽しむのではなくて、上達のプロセスを楽しむ、そういう楽しみ方も広がっていくことも期待できます。

デロイト トーマツ グループ松江英夫CSO:
これからは、まさに、データを使ってスポーツをやる、それによって、単に勝負の世界だけではなくて、達成感の世界に広げていく、それによって競技人口だけではなく、健康増進も含めたスポーツ人口、この広がりにも期待したいと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
私も、実は、以前、ゴルフレッスンに通っていた際、データをよくチェックしていました。フォームの変化そのものもそうですが、スイングスピードが上がっていくのを、数値で見られたことが、モチベーションアップにつながりました。新たな競技を始める際にも、そのチャレンジを後押ししてくれると思います。

(「Live News α」8月27日放送分)