北の大地の栗の林を守ったのは、口どけの食感が自慢の地球に優しい冷凍ケーキだった。

栗林をおいしく守るモンブラン

濃厚な栗の風味が広がるモンブラン、実は栗の木を伐採から守っていた。

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石屋商事マーケティング部・野崎佳奈子さん:
あしたには栗林を切ってしまう、なくしてしまおうとしていたところで栗林を見つけて、(伐採計画に)「ちょっと待ってください」と…。

北海道土産「白い恋人」で知られる石屋製菓が、オンラインショップ限定で販売する冷凍ケーキ。
第1弾のモンブランは、初回販売分がその日のうちに完売した。半解凍ならアイスのような食感が楽しめる。

石屋商事マーケティング部・野崎佳奈子さん:
“コロナ”がはやってしまい、おうちで時間を過ごすことが多くなってきた中で、何げないひとときの中で特別なスイーツを楽しんでもらいたいなという思いがありました。

このモンブランには、食材を無駄にしないという思いが込められている。

石屋商事マーケティング部・野崎佳奈子さん:
北海道には、栗というイメージがないからこそ北海道産の栗があったら面白いかなというのがありました。(浦臼町で)栗林を見つけたのですが、見つけた時には「明日には伐採してしまおう」という状況だったみたいで「うちで使いたいから伐採するのを待ってくれ」と話しました。

人手不足で手入れが追いつかず、実は落ちたままに。800本もの栗の木は伐採が検討されていた。
そこで、この栗を無駄にせずモンブランに活用。木は切られることなく今年もたくさんの実をつけている。

石屋商事マーケティング部・野崎佳奈子さん:
おいしい栗が捨てられ、なくなってしまうのは本当にもったいないなと思いました。生産者の喜びにもつながるかなと思うので。

栗林をおいしく守るモンブラン。伐採を免れた北の大地の栗の実が、コロナ自粛のおうち時間に癒しを届ける。

限定ブランド×冷凍物流で商機拡大

三田友梨佳キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を伺います。今回のようなSDGsな取り組みが広がるといいですよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
「つくる責任、つかう責任」という言葉で表される、持続可能な生産と商品の新しい形を確保する事がいま求められているのではないかと思います。

今回の試みはまさに、栗林が切られてしまう直前にピンチをチャンスに変えた好事例と言えるのではないかと思います。興味深いのは、「白い恋人」で知られる石屋製菓が、これまでと逆のアプローチに力を入れていることです。

三田友梨佳キャスター:
これまでの逆のアプローチとは、どういうことですか? 

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
「白い恋人」は原則、北海道に行かないと買えない、希少性のあるビジネスで売上を伸ばしてきました。今回、感染の拡大により、北海道への観光客が激減した。

そこで、今回はブランド力のある北海道の新しい美味しい食材として訴求できる栗を使ったモンブランの冷凍ケーキを開発して、コールドチェーンと言われる冷凍物流でEC販売する事で、日本全国に市場を拡大したということがポイントになるのかなと思います。

SDGsのカギは「ビジネスとしての成立」

三田友梨佳キャスター:
後に続く例を広げるために、何が必要なんでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
持続可能な取り組みをする際には、ビジネスとして成立していないと長続きしないです。そこで必要なのが、信頼できるパートナーの存在です。
中小が多い農産物の生産者と地域の食品会社が組んで課題解決につながる新しいビジネスが全国で広がることはすごく期待が持てます。

三田友梨佳キャスター:
今回の試みのように、消費が可能でありながら通常の流通ルートですと販売が困難な農産物というのは多く存在しています。 私たちも身近なところから、地球環境にできること考えていきたいと思います。

(「Live News α」8月16日放送分)