”路上飲み”は、熱中症を引き起こす危険性が高い

「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」で飲食店への時短要請が続く中、路上などで集まって飲酒する“路上飲み”が問題視されている。東京都では路上で飲酒しないよう呼びかけているが、医師によるとこの”路上飲み”は、熱中症を引き起こす危険性が高いというのだ。

路上飲みする若者
この記事の画像(4枚)

熱中症とこの原因にもなる脱水の危険について警鐘を鳴らす「教えて!『かくれ脱水』委員会」のメンバーで医師の靍知光(つるともみつ)先生によると、水分をアルコールで補うということは、電解質(塩分)などの補充ができず、利尿作用もあるため、飲んでも飲んでも脱水症・熱中症になる危険が増すという。

感染症のリスクだけでなく、熱中症の観点から見ても路上飲みのリスクは高いのだ。では、“アルコール”と“路上”という条件の組み合わせが、なぜ危険度が増すのか?さらに詳しく靍知光先生に話を聞いてみた。

教えて!「かくれ脱水」委員会の靍知光医師 雪の聖母会聖マリア病院 臨床・教育・研究本部長 (画像提供:教えて!「かくれ脱水」委員会)

路上飲みは負のサイクルに陥りやすい

――そもそも熱中症の原因って何?

基本は熱中症の原因は脱水状態であると言うことを押さえることです。その脱水状態を作るのがまさに飲酒であり、路上環境下(外気温の高い状況下)であると言えます。

では、なぜアルコールは脱水状態を引き起こすのか?説明します。

アルコールを飲む→肝臓がアルコールを分解しようとして酵素と水分を使う→アルコールが1段階分解されるとアセトアルデヒド(二日酔いの原因:頭痛・吐き気他多数)になるがこれを更に分解するためには大量の水と酵素が必要→その後、水を補充しないまま寝ると→強烈な脱水状態、所謂二日酔い(朝、喉がカラカラだった事を思い出しましょう)


――なぜ路上飲みは、熱中症を引き起こしやすくする?

路上飲みで起こってしまう状態を少し詳細に説明します。路上で飲むと、気温が高いので汗をかく(脱水を起こし始める)。そして喉が渇くのでアルコール(塩分のような電解質は含まれない)をグビグビ飲む。当然初めは美味しい。

しかし、汗をかいて塩分も補充しなければならないのに水分とアルコールだけが身体に吸収されることで、血液中の浸透圧が下がります。身体は正常な浸透圧に戻そうとして、余計に汗をかき、尿も出そうとします。アルコールの利尿作用もそれに加わり、身体は余計に水分、電解質を失う。このサイクルが徐々にひどくなると脱水・熱中症の症状を発症する。この負のサイクルに陥りやすくしてしまうのが路上飲みなのです。

路上飲みの負のサイクル((画像提供:教えて!「かくれ脱水」委員会 靍知光医師)

家に帰ってから危険な状態になるケースも

――アスファルトでの路上飲みは、ビーチや河川敷で飲むより気を付けた方がよい?

環境的にはアスファルト上の方が気温が高いでしょうね。水の近くという環境は比較的涼しげで、外気温も少しは低いと想定されるのでリスクは低いと思われます。アスファルト、コンクリートは昼間の直射日光で60度から70度まで上昇することもあり、夕方はまだ下がりきっていないので要注意です。


――路上で飲んでいて大丈夫だったとしても、家に帰ってから熱中症になるケースもある?

路上でかなり飲めば、前述した理由でかなりの脱水に傾いている状態です。良い気分で家に帰っても、そのまま水分・塩分を摂らずに寝てしまったり、エアコンを入れなかったりして余計に危険な状態になるケースも考えられます。

むしろ家に着いた頃が脱水のピークなので、適切に水分・塩分を補充しないと大変な事に陥りますよ。OS-1などの経口補水液を飲むことも脱水の緩和に役立つので、飲みすぎた、暑い真夏に飲みすぎた!という時にはあると安心ですね。

「家帰って飲もうよ!!」と言いたい

――家の中でアルコールを飲む時にも、熱中症は気を付けたほうがよい?

アルコールは確実に脱水症状を起こすリスクファクターです。深酒して水分を取らず(チェイサーなしで飲む、という意味です)、エアコンも付けずに寝てしまったら、熱中症までいかなくとも脱水状態がひどくなり、朝には強烈な二日酔いが襲ってきます。

これは実は熱中症の症状とほとんど変わらないのです。熱中症も脱水症も別々の病気ではなく、相互作用的に現れる状態という事を理解しましょう。


――路上飲みする人について、どう思う?

「家帰って飲もうよ!!」と言いたいですね。家帰って、エアコン付けて風呂上がりのビールの方が1万倍美味いと思うけれど、また路上で他人と接触することで新型コロナウイルスの危険もある。いくら若い人でもコロナは罹らない方が良いと思う。そのリスクも考えよう!


新型コロナウイルスの急激な感染拡大で、政府は緊急事態宣言を13都府県に拡大し、期限を9月12日まですることを決定した。また、まん延防止等重点措置についても、宮城や山梨、富山など、10の県を加える。

救急搬送の受け入れが困難な地域も増えている。コロナの感染と熱中症のリスクも考えて、路上飲みはやめてもらいたい。

【関連記事】
「熱中症警戒アラート」を参考にする人は1割…なぜ少ない?理由と熱中症対策をタニタに聞いた