千年以上続く伝統行事 2年連続の見送りに落胆隠せず

2021年7月24日。福島・相馬中村神社で行われた相馬野馬追の出陣式。
千年以上続く伝統の行事にも、新型コロナが影響を及ぼしている。

千年以上続く伝統行事「相馬野馬追」
千年以上続く伝統行事「相馬野馬追」
この記事の画像(13枚)

相馬市の宇多郷、浪江町の標葉郷は、規模を縮小して武者行列を実施。

規模縮小して武者行列を実施した相馬市の宇多郷、浪江町の標葉郷
規模縮小して武者行列を実施した相馬市の宇多郷、浪江町の標葉郷

しかし感染が急拡大した南相馬市では、観客を入れずに神事だけを行うことになり、甲冑競馬や神旗争奪戦は2021年も見送られた。

相馬行胤総大将:
全騎馬軍勢を整え、威風堂々と進軍してほしい。皆が日常生活へ一日も早く戻れることを願い、訓示とする

相馬市の武者行列を見つめる泉川清孝さん。南相馬市の北郷騎馬会で会長を務めている。

北郷騎馬会・泉川清孝会長:
去年に引き続き今年、2回続けて連続でね。やっぱり心待ちにしていた人も多かったし、本当に会のみんなは落胆の色が隠せなかったですね

女性の参加条件「未婚の20歳未満まで」

北郷騎馬会の大木戸瑠菜さんも、出陣を待っていた1人。

北郷騎馬会の大木戸瑠菜さん
北郷騎馬会の大木戸瑠菜さん

野馬追に出るために、高校では馬術部に入部。
乗馬技術を磨いて高校1年で初陣を飾ると、馬に乗りながらほら貝を吹いて行列を先導する「螺役」を務めた。

高校1年の時に初陣「螺役」を務めた大木戸瑠菜さん
高校1年の時に初陣「螺役」を務めた大木戸瑠菜さん

大木戸瑠菜さん:
見ている側より、参加した側では全然雰囲気変わって、逆に迫力が増して、最初は驚きました。この中に入って大丈夫かなっていうのもありました

大木戸瑠菜さん
大木戸瑠菜さん

相馬野馬追で長年続いてきた“ある決まり”のために、2021年は特別な出陣となるはずだった。
その決まりとは、女性の参加条件。
「未婚の20歳未満まで」と決められているため、19歳の大木戸さんにとっては、2021年が出陣できる最後の年だった。

大木戸瑠菜さん:
最初は、最後なのに(出陣できず)悔しかったですね

本番の2週間前に、急きょ決定された縮小開催。
出陣の準備は万端だった。
しかし、手作りしてもらった陣羽織も、稽古を重ねてきた螺役の出番もない。

手作りしてもらった陣羽織を持つ大木戸瑠菜さん
手作りしてもらった陣羽織を持つ大木戸瑠菜さん

大木戸瑠菜さん:
昔からの伝統で年齢制限がされているので、別にそこは何とも言えない。それも伝統なのかなって思います

女性騎馬の出場、2022年特例で検討も

新型コロナの影響で、かなわなかった最後の出陣。
北郷騎馬会の会長・泉川さんは、野馬追のあり方を時代に合わせて変えていこうとしている。

北郷騎馬会・泉川清孝会長:
昔と違って、男女平等っていうんですかね、ジェンダーフリーっていうか、そういった流れであるのは事実だと思うんですよね。
女性騎馬の出場に関しても柔軟な対応をしていかないと、後継者の育成にはつながらないんじゃないかなと考えてます

北郷騎馬会・泉川清孝会長
北郷騎馬会・泉川清孝会長

北郷騎馬会は、最後の出陣を果たせなかった女性たちの出陣を、2022年特例として認められないか検討を開始。

大木戸さんも期待を持って、その日を待つ。

大木戸瑠菜さん:
出られるんだったら、念願の競馬と旗取りは出たいなって思います。ここの地方にしかない伝統の祭りなので、大切にしたいお祭りではあります

相馬野馬追をつないでいくために、伝統に時代を反映させていく。
歴史の担い手も模索を続けている。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。