今や日本人の2人に1人がかかり、3人に1人の死因となっている「がん」。
実は「早期に発見」できれば、9割が完治するといわれている。

そうした中、現在注目されているのが「線虫」のある習性を利用した、1滴の尿から安く簡単に早く「がん」かどうかを見分けることができる検査方法だ。
その画期的な検査方法を開発した東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」に話を聞いた。

東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」
東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」
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線虫の「鼻」嗅覚受容体の数は犬の1.5倍

「N-NOSE」と名付けられた検査の秘密は、「ある生き物」の「鼻」。その生き物とは「線虫」。

検査の秘密は「線虫」の鼻?
検査の秘密は「線虫」の鼻?

体長1mmほどの小さな体なのに、線虫の「鼻」にあたる嗅覚受容体の数は、何と犬の1.5倍もあり、がん患者の「尿」を「かぎ分ける」という。

シャーレに健康な人の尿を垂らすと、線虫たちは嫌がるように尿がないほうに移動する。
しかし、がん患者の尿を垂らすと次々に集まってくる。

がん患者の尿に集まる線虫
がん患者の尿に集まる線虫

がん患者の尿に含まれる物質が、線虫の好む匂いを出しているからと考えられている。
この検査では、胃がんや大腸がんなど、15種類のがんのリスクを86%以上の高精度で判定でき、ステージ0や1の早期のがんも発見できるという。

四国がんセンター・灘野成人医長:
おしっこを調べただけで、簡単にがんの診断ができるのはすごいこと。
毎年、検診を受けていたのに(去年や今年は)受けなかった、症状があるのに病院に行かなかったという人が、後に進行したがんで見つかったというのをよく見るようになったので、ぜひ受けていただきたい

四国がんセンター・灘野成人医長
四国がんセンター・灘野成人医長

ネットから申し込めば自宅で検査可能

開発に協力した四国がんセンターの灘野医師は、コロナ禍で病院での検診を控える人が増える中、がんが進行する前にリスクを発見できると太鼓判を押す。

さらに、地元の企業も臨床研究に参加した。

福吉貴文アナウンサー:
伊予銀行の行員が今提出しているのは尿検査のキットです。実は、愛媛で画期的ながん検査が始まる第一歩なんです

2021年3月、伊予銀行グループの職員280人が臨床研究に協力し、6月から新たに松山市・伊予市・東温市でサービスが受けられることになった。

愛媛県内でもサービスが受けられるように
愛媛県内でもサービスが受けられるように

いよぎんキャピタル・大泉謙一社長:
がん検診に対するハードルが低くなると思います。自分自身で朝採尿するだけで検査が気軽にできて、がん検査の入口として最も有効な手立てだと思います

インターネットで検査を申し込むと、キットが自宅に届く。あとは尿を採取すればスタッフがキットを回収し、松山市内にあるセンターで検査が行われる。

自宅に届く検査キット
自宅に届く検査キット

約6週間後に報告書が手元に届き、がんリスクが高い場合は医療機関での精密検査を勧めるという。

N-NOSEを受けた人:
通常の人間ドックだと前日から食事制限をしないといけないけど、それが全くないので楽でした。私自身ががん家系なので、この価格でがんについて検査してもらえるのは非常にありがたい

従来のがん検査よりも手頃な価格で

HIROTSUバイオサイエンス・広津崇亮社長:
がん検査は医療機関に行って時間をかけて検査するのが普通でしたが、医療機関でのがん検診の受診率がガクっと下がっている状況。尿で簡便に受けられるN-NOSEは、このコロナ禍だからこそ重宝される面があると思います

HIROTSUバイオサイエンス・広津崇亮社長
HIROTSUバイオサイエンス・広津崇亮社長

費用も1万2,500円と、従来なら10万円以上かかる全身のがん検査に比べると安いため、気軽に検診を受けてほしいと話す。

検査費用は12500円(税込み)
検査費用は12500円(税込み)

また手ごろな価格のほか、胃がん、大腸がん、肺がんをはじめ、全身くまなく15種類のがんのリスクを、1度の検査、1滴の尿で判定できるというのも非常に画期的と注目されているという。

N-NOSEでは15種類のがんを検査
N-NOSEでは15種類のがんを検査

今後、愛媛県内でのサービス提供エリアを拡大していく予定だ。

(テレビ愛媛)

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