合図と共に海に飛び込みクロールで大海原を泳ぐ男性。これは遠泳の練習ではありません。ある競泳選手の練習です。

海で競泳のトレーニングをするイロ選手
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27日、東京アクアティクスセンターで行われた競泳男子100メートル自由形予選。この種目でソロモン諸島代表のエドガーリチャードソン・イロ選手が初出場しました。

日本人も指導…悪条件を乗り越え遙か東京の舞台へ

日本からおよそ5000キロ離れた南太平洋に浮かぶソロモン諸島。面積は岩手県の2倍程度で、人口は約67万人。美しい海に囲まれていますが、島々には、競技用のプールはなく、海で練習するしかないというのです。

その海での練習の姿を撮影したのは実は日本人の男性。めざまし8はイロ選手に実際にも指導したこの男性を取材。

ソロモン諸島から、東京五輪へ出場するまでのイロ選手との苦労の道を聞きました。

與那原さん:
(青年海外協力隊)隊員として派遣されたんですが、向こうでは泳げない子供たちがいたので、水泳を指導していました。クラゲが泳いできて刺されたりとか、大木が流れてきたりとか、あとは波が荒くて練習環境としては相当厳しかったです。
 

ソロモン諸島は、太平洋戦争でガダルカナル島をはじめ激戦地となりました。海での練習動画が撮影されたのは、その島です。戦時中に座礁した船がいまでも残されているといいます。そうした場所から海に飛び込んで練習を重ねてきました。

そんな環境でイロ選手とも出会いました。

與那原さん:
自分がこのイロ選手と出会ったときには、ある程度はもう泳げる状態で、地元のコーチの方もいるのでその方の指導の下で泳げてはいました。ただ本格的な練習とか、あとは、実際のプールでの経験っていうのがなかったので、それで伸びしろがいっぱいありました。ソロモンでは週に3回から4回の練習で、1時間から2時間ですね。
 

実は、イロ選手は4年前、沖縄にエキシビションの大会に出場していたと言い、その時初めて目にした競技用プール。

與那原さん:
(イロ選手は)まず50メートルプールを見た時にとても感動していて、こんなに水が綺麗で泳げるんだっていうことと、あとは沖縄の5月だったので、日本人にとっては、とてもいいぐらいの気温なんですけど、それも(ソロモン諸島は)年中30度以上なので、プールがとっても冷たいということで、20分練習したらすぐ上に上がって毛布にくるまってました。
 

その時の100m自由形のタイムは1分5秒ほど。

その後もプールすらない中から国際大会の大舞台を想像し努力を続けたイロ選手。東京五輪への出場自体が偉業とも言え、タイムは1分0秒13。70人中70位ですが、沖縄での4年前のタイムよりさらに記録を縮めて、間違いなく東京のプールにも足跡を残しました。

「めざまし8 7月29日放送」