スロットルを回して進む「バイク」とペダルを漕いで進む「自転車」。

これらを合体させたような乗り物が登場した。それが、合同会社Ampere(東京・世田谷区)が7月7日に一般販売を開始した、次世代電動モビリティ「KOGUNA」(コグナ)

これが「KOGUNA」(提供:Ampere)
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特徴は電動バイクと自転車の要素を併せ持っていることで、ハンドル部分にスロットル、足部分にペダルを備えている。これらを活用し、状況や用途に合わせた2つの走行モード(1.アシストモード、2.バイクモード)を楽しめるという。

※法律上は「第一種原動機付自転車」に当たるため、歩道、自転車専用道の走行はできない。運転するにはナンバー登録、保険加入、ヘルメット着用、運転免許証の保持が必要

法律上は「原付」扱い。バイクなのにペダルがある(提供:Ampere)

車体は全長160×全幅74×全高140センチとややコンパクトで、重量も一般的な原付よりは軽めな約30キロ。動力源は家庭用コンセントから充電できる、取り外し可能な電動バッテリーで、3~4時間の充電で約60キロを走行できるという。

このほか、バッテリー残量や速度などを表示する、デジタルディスプレイも備える。そして1970年代のレトロバイクをイメージした、デザイン性も特徴的だ。

デジタルディスプレイも備える(提供:Ampere)

クラファンで人気…一般価格は約20万円

コグナは一般販売に先駆けて、クラウドファンディングサイト「Makuake」で4月に先行予約販売が行われた。そこでは目標金額の100万円をわずか2時間で達成し、5月30日の終了までに約565万円(目標金額の565%)の支援を集めたという。

Makuakeのウェブページより

一般販売価格は198,000円 (消費税、送料込み)。Ampereの直販サイトで購入でき、7月現在は関東の4都県(東京・埼玉・千葉・神奈川)限定の販売となる。ユニークな乗り物だが、仕組みはどうなっているのだろう。乗車時の注意点はあるのだろうか。

Ampereに問い合わせたところ、同社はコグナの開発をきっかけに設立されたベンチャー企業だという。創業者の大学生・柴田峻典さん(21)にお話を伺った。

若年層が原付に持つイメージを変えたい

ーーコグナを開発したきっかけを教えて。

僕が事業を始めた理由でもありますが、昔から乗り物が好きで業界を盛り上げたいと思っていました。インターンで電動モビリティのシェアリング・開発の業務に携わった経験を生かし、二輪車を開発したいと思ったのがきっかけです。

開発はチームで行っていて、僕とエンジニアらが開発や設計などを、製造組立は中国の工場で行っています。アイデアが浮かんだのが2020年10月ごろで、それから約半年で日本の規格に合った製品化、クラウドファンディングに進みました。


ーーなぜ、バイクなのにペダルがある?

コグナは自転車とバイクの中間をイメージしていますが、法律上は原付です。原付は機動力があり移動手段には持ってこいなのですが、若年層には「ダサい・古い」と敬遠されがちでもあります。

ペダルを含めて自転車に操作性や見た目を近づけることで、乗ってもらいやすく、移動手段の選択肢にもなれるのではと考えました。

自転車に近い操作性や見た目を目指した(提供:Ampere)

ーー開発でこだわったところ、苦労したところは?

こだわりはデザイン性ですね。コグナは1970年代に着想を得ていて、この時代は車やバイクを持つことがステータスでした。今は乗り物に関心がない層も増えていますが、「かっこいい・乗りたい」と感じてもらえればと、レトロ感を彷彿とさせました。

苦労したのは、日本で走行できるための仕様です。中国の工場とコミュニケーションを取りながら、ミラーやヘッドライト、性能面などの試行錯誤を重ねました。

ペダルには“意外なメリット”も

ーー2つの走行モードはどう違う?

アシストモードは電動アシスト自転車のような働きで、ペダルを漕ぐ力を増幅させます。アシストの段階は5段階で調節でき、最高速度は40キロです。バイクモードはアクセルスロットルを回すとモーターが回転して進みます。こちらの最高速度は45キロです。
※原付一種の法定速度30キロの順守が前提

使い分けとしては、アシストモードは小道や入り組んだ道路を進んだり、走行距離を伸ばしたいときに、バイクモードは幹線道路などの大通りを進んだり、楽に進みたいときですね。

バイクモードのイメージ(提供:Ampere)

ーーペダルがあることでどんなメリットがある?

一番は乗車姿勢が自転車に近くなることですね。原付は足を中央に揃えて乗るのですが、その姿勢で進むのが怖いという人もいます。コグナは自転車と同じまたがる姿勢なので、原付に不慣れだったとしても安心して乗車できると思います。

必要に応じて自分で漕げるのもポイントです。運動機能としても使えるので「きょうの帰りは頑張ってみようかな」とアシストモードを選ぶこともできます。また、アクセルスロットルが壊れたりしたとき、応急手段としての走行装置にもなります。

「きょうは漕いでみようかな」ということもできる(提供:Ampere)

交通ルールの順守には注意してほしい

ーー乗車時の注意点はある?

法律上はアシストモード、バイクモード関係なく原付の扱いです。コグナにまたがった瞬間、ヘルメットの着用や運転免許証の所持、二段階右折、法定速度30キロなどのルールは順守しなければなりません。誤解をされやすいところだと、自転車機能で歩道を走れるのではないかと聞かれるのですが、それもいけません。歩道は走行できません。

また、バッテリー切れではウインカーやライトが点灯しなくなり、原付としての基準を満たさなくなるので走行できません。その場合は押し歩きとなります。ただ、コグナにはバッテリーが少なくなるとウインカーやライトを優先するようになっています。

モードにかかわらず原付扱い。交通ルールは順守しよう(提供:Ampere)

ーー販売状況と購入方法を教えて。

一般発売以降、7月19日までに25台ほどの注文をいただいています。クラウドファンディングの購入者も一般販売の購入者も、納品は10月の予定です。一般販売は現在、首都圏の4都県限定となっていますが、これはメンテナンスのリソースが限られるためです。メンテナンスの環境が整えば、全国に販売も広めていきたいと考えています。

ただ、購入方法はオンラインを基本に考えています。ネットで完結できることが気軽な購入につながると思うので、販売代理店などを置くことは現状、考えておりません。


ーーコグナはどのように楽しんでほしい?

自転車とバイクの中間な乗り物もあると知ってもらい、移動手段の一つとして選んでもらえるようになればいいですね。例えば通勤するときに、車は持っていない、バスや電車は駅から遠いのでできない、じゃあコグナにするか。と選んでもらえる商品にしたいですね。

(提供:Ampere)


コグナは距離や用途によってモードを使い分けられるので、面白いだけではなく実用的でもあるといえるだろう。ただその分、乗車時は交通ルールの順守を忘れないようにしたいところだ。Ampereは小型の電気自動車も開発中というので、これからの活躍にも期待したい。
 

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プライムオンライン編集部
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