タイからインパクト大のバイクが上陸
バイクはそのデザイン性も魅力の一つだが、バズーカ砲のようなフォルムのバイクが世界に先駆けて、日本で先行発売されたのをご存じだろうか。
それが、タイのバイクメーカー「PHOENIX ENGINEERING」が開発した「GUNNER50」(ガンナー50)。車体サイズは全長167センチ、全幅69センチ、全高127センチ、重量は75キロ。排気量は49ccで、日本では「原動機付自転車」(原付)に分類される、いわゆるミニバイクだ。

特徴的なのはそのフォルムで、体重を支える中心のフレームはバズーカ砲のように太く、先端には大きなライトも付いている。その一方で車体自体はコンパクトなため、実際にまたがった光景を見るとかわいらしいミニチュアに乗っているような印象も受ける。

ガンナー50は2021年1月に発売されたばかりで、価格は20万5000円(税別)から。ネットでは「センスの塊」「めっちゃカッコ可愛いバイク」などと注目も集めているが、なぜ、タイ発の製品が日本で先行発売されたのだろう。ユニークなデザインは何をコンセプトにしているのだろうか。
ガンナー50の国内輸入元で開発にも携わった、月木レーシング(大阪府)に聞いてみた。
デザインのイメージはピストルや砲弾
ーーなぜガンナー50の開発に携わった?
タイの開発元(PHOENIX ENGINEERING)は、当社代表の友人が立ち上げたメーカーです。ガンナー50はそこで開発された第一作の製品でしたので、当社も開発に携わり、輸入もしました。
ーー開発でのこだわりは?
遊び心とデザインですね。50ccバイクは日本にしかない排気量区分で、排気ガスの規制などで市場も衰退しています。将来は電動化も進むかもしれません。こうした中、ガンナー50はミッション(変速機)がついていて、エンジンの面白さも感じられます。手軽でありながら、オートバイの魅力を感じられると思います。

ーーデザインのコンセプトは?フレームが太い理由は?
デザインはガンナーという名前の通り、ピストルや砲弾をイメージしたものになります。シート部分のフレームが太いのは、内部にガソリンタンクを内蔵しているためです。
ーー日本先行発売なのはなぜ?
日本先行発売なのは、50ccバイクが日本にしかないためです。タイの現地でも、排気量を変更して発売の計画はあるそうです。
小回りがきく「便利な相棒」
なお、バズーカ砲のようなフレームには、なんとガソリンタンクが内蔵されているという。そして、乗り心地も気になるところなので、続いて、関東方面の販売代理店で試乗も行っている「moto shopクロニクル」(千葉)にも聞いてみた。
ーーガンナー50にはどんな印象を持った?
50ccバイクの市場は衰退し、販売数もここ20年で10分の1程度に減りました。メーカーもユニークなバイクを販売するのは難しく、カブかスクーターしか選択肢がない状況です。そこに、このような面白いバイクが出てきたのはうれしいですね。

ーー燃費と速度はどれくらい?
実際に乗車してテストをしましたが、燃費は1リッターあたり40~50キロ程度ですね。ガソリンタンクに燃料を入れたところ、3.5リットル程度は入るので、1回の給油で少なくとも、150キロから170キロは走行できると思います。
国内のスクーターは4~5馬力も多いですが、ガンナー50は3.3馬力なので、速度はそこまで速いわけではありません。ただ、一般的な法定速度での走行はできると思います。
ーー乗り心地は?
本当にバズーカ砲の上に乗っている感じですね。目線の先に車体の大きなフレームがあって面白いです。50ccバイクとしては重量がありますが、オートバイ全体の中では軽く、小回りもきくので街中を移動したり、キャンプ場などでも役立つと思います。言葉で表現すると「ちょい乗り」「便利な相棒」という言葉がしっくりきますね。

ーーお客の反響は?
当店では1月13日から発売していますが、ガンナー50について1日5~10件は問い合わせをいただいています。バイク好きだけではなく、オシャレさに魅かれて声をかける人もいますね。
ーー購入したい場合はどうしたらいい?
陸送にも応じていますので、店頭でも通販でも購入はできます。ただ、在庫はまだ少量で、当店だと試乗用を除いて残り9台(1月20日現在)です。定期的な整備ができるかなどをご相談しながらの販売になると思います。販売店が増えれば、流通量は増えていくと思います。
ユニークなデザインはピストルや砲弾をイメージしたもので、バズーカ砲のようなフレームはガソリンタンクを内蔵していたためだった。遊び心ある移動手段がほしいという人には、ぴったりの製品かもしれない。
(画像提供:moto shopクロニクル)
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