将来のリスクは?デマだけじゃない…不安の原因

今、新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増えている中、ワクチンの接種率を上げることが急がれる。

そこで、ワクチン未接種の若者3600人を対象に番組でアンケートを行ったところ、「受ける」人が49%、「受けない」人が19%、「迷っている」人が32%という結果になった。

若者はなぜ、ワクチン接種に消極的なのか?
Mr.サンデーが、街で、ちょっと聞いただけでも…

会社員(21):
このワクチンを打ったせいで人生がなくなってしまったら、元も子もないんじゃないですか。

大学生(18):
10年後とかに急に副反応とか出て、仕事できないようになったりするのが怖いんで。まだ18なので。

大学生(21):
自分は将来的なリスクの方が怖いです。

と、次々上がる不安の声。

だが、現実には、18日の東京都の新規感染者数は1008人。中でも、20代は、およそ3割と最多だった。

そんな中、18日の朝、フジテレビの番組に出演した河野ワクチン担当大臣は巷に出回る、根拠のないデマに惑わされる若者について…

ワクチン担当 河野太郎規制改革相:
若い世代になればなるほどSNS、あるいはYouTube、フェイクニュースも混ざっているものに接する機会の多い若者の方が不安を感じる割合というのが、恐らく高くなるんだろうと思いますので…

と、そこへ橋下徹氏が…

橋下徹氏:
デマもそうなんですけど、僕も子どもと接しながら痛感したのは、若者たちはリスクがないことをすごく思っていて。一番は、社会防衛のために、他人の危険性・リスクを減らすために、ある程度自分も負担を負わなきゃいけないという、これがいい意味でも悪い意味でも、戦後の個人主義の、個人の自由を守っていく、個人の尊厳が第一だっていう教育の中で、社会防衛のために負担を受けるっていうことに対して、ちょっと僕らの感覚と違うなと…

確かに、6月から「校内接種」が始まった近畿大学でも実際の接種率は、およそ6割に留まり4割近くの学生は希望しなかった。

その現実を目の当たりにした担当者はこう述べた。

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近畿大学 世耕石弘経営戦略本部長:
なるべく早く、まず全面的に対面授業を復活させていきたいというふうに考えてますので、まあ7割から、8割ぐらいの学生さんに、接種してもらいたかったなという風には思ってるんですけれども…

自らの意思で、接種を見送った学生に話を聞くと…

近畿大学 学生 林さん:
まず第一に、分からないことが多すぎるっていうのが一番大きな要因で、自分の体の安全の責任みたいなものを持てないと思ったんです。

彼女がまず指摘したのは、人類史上初めて使われる「メッセンジャーRNAワクチン」がなぜ安全と言い切れるのか?というものだった。5年後、10年後も本当に安全性が覆されることはないのか?

近畿大学 学生 林さん:
それが100%正しいかもまだわかっていない状態なので、だから急いで打つ必要はないかなっていう感じなので…

だからと言って、もし自分が感染者となり人にうつすような事態は避けたい。そこで彼女は、帰宅の際にも必ずアルコールスプレーで除菌し、外出時には、マスクの中に、さらにガーゼを重ねる。

近畿大学 学生 林さん:
ちっちゃい努力を積み重ねていますね。打たない選択をした自分の責任だからこそ、その責任がある分、周りにもできるだけ迷惑をかけない

迷っていた若者がワクチン接種希望…ある大学の取り組み

一方で、正しい知識に触れる機会さえあれば接種率が上がるのではと考えた大学もある。それが、感染症の専門家によるオンライン説明会を開いた城西国際大学だ。

ここの看護学科では、もともとの接種希望者が267人中、111人と、およそ4割だったが…

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
6月11日の時点で、モデルナのワクチンで、52万3900回分の接種がありました。うち死亡報告数0件。ただし、この後6月23日に死者1人、これは94歳の男性が接種。翌日にくも膜下出血で亡くなったというような報告が上がってきています。これはワクチン接種との因果関係は評価中になっています

説明会で行ったのは徹底した情報開示と、SNSなどで拡散した噂のファクトチェックだ。

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
ワクチンが生殖能力に影響を与えることを示唆する証拠や、裏付けるデータは存在していません。海外の調査では流産は増えていません。卵巣に蓄積して不妊になるという話は、ラットの実験から否定されています。ワクチンにはマイクロチップが含まれているので監視されるという、まことしやかな噂も聞いたことがありますが、筋注用23ゲージの針の内腔0.35ミリより小さいマイクロチップは作れません

当然な情報ばかりにも関わらず、説明会後に再び学生にアンケートをとってみると、ちょっと考えたいと言っていた学生が、8割~9割方の学生が、(ワクチン接種を)希望しているというような状況になっていると鈴木教授は言う。

1時間足らずのオンライン説明会でなぜ、ここまで考えが変わったのか?当の学生たちに聞くと

説明会に出席した学生(18):
それこそ、マイクロチップの質問したのは僕だったんですよね。マイクロチップが通るような注射針は、まだないんだよって言うことを説明していてだきました。やっぱり自分がうつしてしまうかもしれないっていう可能性と、注射の痛みを天秤にかけた時に、注射の痛みを我慢してでも、受ける必要があると感じました

説明会に出席した学生(20):
みんなが打つことによって防げるんだったらそっちの方がプラスになるんじゃないかなって思いました

こうした学生が多かった反面、説明を聞いてなお悩み続ける学生がいたのも、また事実…

説明会に出席した学生(21):
やっぱり5年から10年の副反応っていうのがまだ日本でもアメリカでもわかってないので、自分が1番最初に打つっていうことはちょっと怖いです

江戸時代にもデマが…新たな医学で未来を拓いてきた人類

なぜ、リスクの少ない自分たちが接種を受けねばならないのか?

そのギモンに答えるように鈴木教授が、オンライン説明会の中、語ったのは…

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
江戸時代に緒方洪庵という医者が蘭学者がいました。

緒方洪庵(おがた・こうあん)とは、日本にまだワクチンという概念がない時代、牛の膿から作ったワクチンの普及に努め、日本の天然痘治療に貢献した蘭学者である。

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
今まで見たことも聞いたこともやったことない、牛の膿を人に接種する。 “牛痘をすると牛になる”というようなが流れ、なかなか浸透しなかった。かなり苦労したという話が伝わっています

当時、人々に配られたチラシには「牛痘(ワクチン接種)法というのは、一番新しく、優れています。みなさんも迷いを捨て、早く安心するほうがきっと幸せになれるでしょう…」とあった。

城西国際大学看護学長 鈴木明子教授:
このように江戸時代の人々の行動と言うか、今の時代のコロナにも通じる話だなという風に思います。新しいことを恐れるのは、いつの時代でも同じなんだと思います

確かに、5年後、10年後に絶対安全かと問われれば、それに答えられる人間は、どこにもいないに違いない。しかし、人類は、いつの時代も未知の医術を恐れ、おののきながら未来を拓いてきたことも、また事実だ。

(「Mr.サンデー」7月18日放送分より)