西日本豪雨から3年…迎えた「みなし仮設」の入居期限
西日本豪雨から3年。愛媛・西予市野村町の仮設住宅に住める期限は7月5日までだ。新しい生活をスタートした女性を追った。
西予市野村町の山本信子さん(84)は、西日本豪雨で自宅が被災し、仮設住宅に住むことになった。

山本信子さん:
出るとなったら、寂しくて涙が出るんですよ。3年近く住んでて、良い面もあるんですよ。つながってるので、お話ができて

正本健太キャスター:
段ボールがありますけど、引っ越し作業を進めている状況ですか?
山本信子さん:
そうですね。引っ越し作業でぐちゃぐちゃに積んどるけど
山本さんは、10年前に夫を亡くして1人暮らし。被災した自宅を建て直すことも考えたが、費用や自身の年齢をふまえ、諦めた。
そして、仮設住宅を離れたあとの新たな住まいとして選んだのは、「災害公営住宅」だった。
西予市では、西日本豪雨の被災者のために、野村町内の2つの地域に集合住宅や一戸建ての「災害公営住宅」を建設した。

仮設住宅やいわゆる「みなし仮設」に住める期限は、一部を除いて7月5日まで。
仮設住宅の入居者のほとんどが、この災害公営住宅に移り住んで、豪雨から3年目の2021年、新しい暮らしを始めることになる。
山本信子さん:
大きい荷物はこのトラック、小さいのじゃ危ないかなと思って
1人暮らしの山本さんの引っ越しを手伝うため、知人や親族が駆けつけた。

山本さんのおい:
がいに(すごく)たまったもんやのう、いっぱい
ーー入居時より荷物が増えたのでは?
山本信子さん:
増えた増えた。来たころは、小さいトラックにいっぱいないくらい。早かったですね。3年ってあっという間に。「早や3年たつ?」って。この間来たような感じ。私は早く感じましたね。愛着はありますよ。3年も住んだらね。きょうは写真撮っとかないかんと思いよった

そして山本さんは、仮設住宅の鍵をかけた。
山本信子さん:
はいどうも、お世話になりました
「復興団地」で始める新たな暮らし
山本さんの新しい住まいとなる、災害公営住宅「野村中央団地」。
入居者の半数以上は65歳以上のため、室内はバリアフリーとなっているなど、高齢者に配慮した造りだ。

山本信子さん:
広いでしょ、おかげで立派でね。お風呂も良いでしょ。広くてホテル並みです

完成したばかりの新しいわが家。引っ越しも無事に終わった。
山本信子さん:
ひと安心。あとはボツボツとひとりで。ボケない。片付け、仕事がいっぱいあるんで
また、この「野村中央団地」に隣接する形で、被災者が市から土地を借りて自宅を再建できるエリアもある。この2つのエリアは、あわせて「復興団地」と名付けられ、ここで30世帯以上が、新しい暮らしをスタートさせる。

西予市野村支所 総務課地域係・高岡伸次係長:
人々が情報を共有できるのが、自治会の1つの役割だと思います
“日常”が戻るその日まで 被災者に寄り添う支援を
この復興団地では、入居者による新たな自治会を立ち上げることが決まっている。
地域のつながりの代名詞ともいえる「自治会」が新しくできるのも、「復興」への新たな一歩だ。
課題解決や行政との連携強化などに期待が寄せられている。
西予市野村支所 総務課地域係・高岡伸次係長:
みなさん大きな被災をされて、ようやくこここまで来れた方が多い。既存の地区の自治会に入っていくよりも、皆さん、同じような経験をされた方がほとんどですので、そういった気持ちも込められて自治会を立ち上げて、みんなで頑張っていく気持ちを感じることができた

山本信子さん:
隣のおじさん、いつも世話になるんですよ
ーー何もらったんですか?
山本信子さん:
スイカ

仮設住宅を出て始まる、新しい暮らし。
「自立」に向けた動きは、着実に進んでいるが、日常が戻る日まで、被災者1人ひとりの事情に応じた支援が求められる。
(テレビ愛媛)