リゾート施設の新たな形。
遊んで学んで、そして新たなビジネスにもつながる工夫が盛りだくさんです。

新潟県三条市に本社を構えるアウトドア用品メーカー「スノーピーク」。

キャンプ場も併設されるこの広大な敷地を活かし、来年春に複合型リゾートを開業することを発表しました。この施設は世界的建築家である隈研吾さんの設計によるもので、温泉施設やサウナ、レストラン、宿泊用の客室などが設置されます。

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「都市」から「自然」へ

隈研吾氏:
「今までは都市に集中して都市に向かって建築デザインされてきたのですが、これからは反転して折り返して自然の中に向かうという大きな時代の変わり目に我々直面しているわけです」

さらに本社の敷地を5万坪から15万坪に拡張し、キャンプに備わる衣食住に加え「働く」や「遊ぶ」の要素も踏まえた体験型フィールドも展開するとしています。

そのターゲットはキャンプ好きの人たちだけではありません。

スノーピーク・山井社長:
「もちろんキャンパーの皆様にもご利用いただきたいのですけれどもキャンプ人口が7パーセントというお話をさせていただきましたけれども、キャンパーの方にもたくさん起こしていただける施設にしていきたいと思っております」

成功の鍵は地元との連携

新たなファン獲得を狙うプロジェクト。
成功の鍵を握るのは地元との連携です。

現在本社を置く新潟県三条市をはじめ21の自治体などと地域活性化に関する連携協定を結ぶスノーピーク。地元企業などとキャンプを行い、実際にその土地の歴史や食を知ることで、新たな商品や体験型ツアーの開発などにつなげています。

8日もアウトドアメーカーならではの親睦を深め方も。

たき火を囲み参加者とスノーピークの担当者が自由に語り合う「たき火トーク」。

今回は衣食住のブースなどに分かれ、様々な業種の人たちが参加しました。

参加者:
「岐阜から来たんですけれども、陶器を作ってます。ご当地のプロダクトの考え方について、すごく良い話をしました」

参加者:
「会社の福利厚生であったり、育成関係とかそういうのもやっています。地方の人たちといろんな手を取りながらやっているという話を聞いているので、その人たちと一緒にやれる可能性みたいなのをいっぱい感じました」

スノーピークコンサルティング西野氏:
「スノーピークのユーザーさんからしてもこのキャンプ場に行ったらおいしい食べれるとか、そうなるとスノーピークとしても実はお客さんの数が増えるので我々としてもありがたい。地域の地場産業をうまく活性化させようというのも、スノーピークの地方創生の一つなのかなと思っています」

「ライフタイムバリュー最大化」戦略

内田キャスター:
スノーピークの事業がますます拡大しているようですが、松江さんはどうご覧になっていますか。

松江氏:
私はこの拡大の背景には1つの戦略があると思うんです。どういうことかというと、アウトドアというのをきっかけにしながら、お客さんの人生体験を広げることによって、企業にとってお客さんから得られる利益を生涯にわたって最大化する。これを「ライフタイムバリューの最大化」と言うのですが、こういった戦略があると思うんです。私はこういう方向性というのは、コロナ禍あって、人々の意識が大きく変わっていく中では、ゆくゆくは地方の創生にも直結するのではないかなというふうに見ているのです。

内田キャスター:
新型コロナウイルスによる私たちの意識や行動の変化というのが大きく関係しているということですか。

松江氏:
そうなんです。内閣府の調査によるとコロナの前後によって、東京と地方の間の人の動きが逆転しているという事実があるのですね。今は東京から地方に移住する方々が増えているというのは過去にはない現象なのですが、そこの最大の理由というのが、地方は人口密度が少なくてそして豊かな自然があるからこういった回答が最も多くて全体の35パーセントを占めるというデータが明らかになっています。
この自然環境というのは地方ならではの資源ですから、アウトドアのようなイベントをきっかけにしながら、都市に居ながらにしても地方に接点を持つ関係人口が増えることによって、地方の中で新しい消費と雇用が生まれる。
こういった地方創生の好循環につながっていく。こんなことは期待できるんじゃないかと思うんです。

内田キャスター:
自然というものに魅せられて、新たな人や経済の流れがどんどん生まれていくということですね。

松江氏:
そうなんです。自然というところに光を当てたビジネスが生まれることによって、企業とお客さんと地方創生の三方にとってよし。こういった好循環がつながっていく。こんなことに期待したいなというふうに思います。

内田キャスター:
私もコロナ禍で自然に触れたいという気持ちが高まりました。テレワークの導入などで地方を拠点にする人も増えてきています。住む場所もそして暮らし方も今後さらに多様化が進みそうですね。

(「Live News α」7月9日放送分)