揚げたてと揚げる楽しさ

串カツを食べるだけではなくて揚げる体験も…人気チェーン店が独自の戦略で、新たな顧客獲得に打って出た。

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串カツ田中がオンラインショップで販売を始めたのは、自宅で揚げたての串カツを味わうことができる「卓上フライヤー」。

豚やエビ、レンコンなど、冷凍の串カツセットとあわせて販売する。

串カツ田中ホールディングス・坂本壽男取締役経営戦略部長:
お客さま、コロナで外食制限されている方もいて、家で楽しく串カツを食べていただきたい。

フライヤーは串がしっかりと入る大きさで、油はねを考え深めの設計にしたという。

緊急事態宣言中は休業していた串カツ田中。

現在でも平日は4時間ほどしか営業できないなど、店舗の売り上げが苦戦していて、4月からはオンラインで初めて「冷凍串カツ」の販売をスタートするなど、新たな客層を獲得する取り組みを始めている。

串カツ田中ホールディングス・坂本壽男取締役経営戦略部長:
店舗の方は『飲み会』がメインだが、ネット販売は夕食や晩酌、お弁当、ギフトにも使えるかなということで、かなり“すみ分け”ができていて、WIN WINの関係を築けるかなと…

密を避けながらでも、揚げたてと揚げる楽しさを。

卓上フライヤーと串カツセットは7月1日午後4時に100セット限定で販売を始めたが、すでに完売。次回の入荷は、8月中旬以降を予定しているという。

ファミリー層の「コト消費」にも

Live News αでは串カツ田中の新戦略についてマーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
串カツを卓上フライヤーと一緒に届けるサービスをどうご覧になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
とてもユニークで同時に非常によく考えられているサービスだと思います。長引くコロナの影響で外食は厳しい中でも巣ごもりのデリバリーやテイクアウトは売り上げを伸ばしています。一方、出来たてを食べたいニーズも増えています

三田友梨佳キャスター:
デリバリーも便利ですが、揚げ物などは揚げたてを食べたいと思いますよね?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
スーパーなどでも仕入れ力を活かして外食店をオープンするケースも出てきています。しかし、外で食事することをためらう人がまだ多いです。そんな中、出来たての串カツが同じ味で自宅にいながら食べられるのはすごく嬉しい施策になります。さらに今回、冷凍の串カツだけでなく、卓上フライヤーとセットで販売することで、家族や友人などと楽しみながら食事する体験「コト消費」にもつながると思います。串カツの田中はコロナ前から居酒屋の業態ながらファミリー層をターゲットにしているので、らしい取り組みだとも考えられます

三田友梨佳キャスター:
こうした取り組みは今後も広がっていくとお考えですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
コールドチェーンといわれる低温物流市場が中食市場の拡大と比例して非常に伸びています。しかし、アジアは欧米と比べて冷凍冷蔵食品の消費が少ないんです。ですので、伸びしろが非常に大きいというのと、中間層の所得向上があり、マーケット拡大が予想されます。和食や日本文化はアジアを中心に世界で大変人気なんですが、串カツは大阪から日本全土に拡大していったと思いますが、冷凍の展開で世界に串カツが広がっていく可能性を感じます

三田友梨佳キャスター:
巣ごもり需要をどう取り込むか、企業が工夫を凝らす中、串カツ田中は外食だけでなく、家食と中食、さらには海外も視野に成長戦略を描いているようです

(「Live News α」7月1日放送分)