家庭用のビール製品が好調

ビール大手各社が発表した発泡酒や第3のビールを含む7月のビール類の販売数量は、前の年の同じ月と比べてキリンが1%増えた一方、サントリーは2%、サッポロは4%減少し、アサヒは販売額で1%減った。

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緊急事態宣言の影響などで業務用が落ち込む一方、巣ごもり消費により家庭用が好調。

7月中旬以降は気温の上昇やオリンピック観戦需要で、各社主力の缶製品を中心に1割から4割ほど増えた。

飲めるけど普段飲まない人をターゲット

三田友梨佳キャスター:
市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに伺います。好調な“家飲み”需要を取り込むためビール各社はどのような戦略をとっているのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子氏:
家飲み需要は、あくまで“お酒好きの方”によって支えられており、その数自体が増えることは、なかなか考えづらい。
そこで、いまビール各社が取り込もうとしている層が、“外でお酒を飲む機会がなくなったため、アルコールから距離をおいている方”をターゲットにしています。飲めるけど、日常的には飲まない人をターゲットにしたアルコール度数が1%以下の「低アルコール」というジャンルが注目されています。

三田友梨佳キャスター:
「低アルコール」商品はこれから、どれ程の広がりが期待できるのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子氏:
アサヒビールの調査によると20代から60代の成人男女で、日常的にお酒を楽しむ方は2000万人いて、この層が家飲み需要を支えている訳ですが、「飲まない」または「飲めるけど飲まない」という層を含めれば、3倍にあたる6,000万人もいます。
この層を獲りにいけるのが、低アルコール商品となります。ヨーロッパの低アルコール市場は年平均で8%の成長ですが、日本を含むアジアは3%程にとどまっており伸びしろは充分あります

三田友梨佳キャスター:
成長が期待される「低アルコール市場」で勝ち残るためのポイントは?

経済アナリスト・馬渕磨理子氏:
健康への配慮などから“好きなビールを飲みたいけど、低アルコールビールで我慢する”では、消費者は満足できません。あくまで「美味しさ」の追求こそ勝ち残りの鍵となる。
いま人気の「低アルコール商品」は、いったんビールとして製造したものを蒸留して、アルコールを除去して濃度を低くするものもあります。しっかりとビールの味が楽しめると好評になっている。
感染が収束し、外でお酒を飲む機会が戻ってきた時に飲食店にも低アルコール商品が定着して、お酒が強い人も弱い人も、同じ空間で楽しめる機会を提供してくれたらと思います。

三田友梨佳キャスター:
今は感染拡大によって“仕事帰りの一杯”から“家飲み”が中心となっていますが、お酒の選択肢は拡大しています。今後お酒の新しい楽しみ方がさらに広がっていくことが期待されます。

(「Live News α」8月12日放送分)