身体的特徴や経験の差を超えて

誰もが楽しめ、多くの人を包み込むスポーツの力とは。

松葉杖をつき、ボールを追いかけている元日本代表選手に、足に障害のある選手、視覚障害のある選手、サッカー経験のないタレントまで。
性別や年齢、身体的特徴にとらわれない「インクルーシブサッカー」のイベントが行われた。

「インクルーシブサッカー」
「インクルーシブサッカー」
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インクルーシブとは「包括」を意味する英語で、個々の違いを受け入れて認めることをあらわしている。

今回は、松葉杖を装着した「アンプティサッカー」に、ヘッドホンを着けて行う「デフサッカー」、目隠しで行う「ブラインドサッカー」の体験が行われた。

元サッカー日本女子代表・丸山桂里奈さん:
ブラインドサッカーなんて、わたし一回もボール触ってない。元アスリートとして、こんなにもできないものかなと。

プロフィギュアスケーター・村上佳菜子さん:
初めて団体競技をやって、見えないという状態でやって、本当に音の大切さをあらためて感じました。

スポーツを通じて歩み寄り

また、参加者は全員が楽しめるルールを議論。

ボールは、蹴ると音が鳴るものを使用し、両チームはそれぞれ異なる鈴を着けて、走らず歩いてプレーすることになった。

アンプティサッカー日本代表 エンヒッキ・松茂良・ジアス選手:
きょうみたいに、目が見える見えないとか、足がある、ないとか、聞こえたり聞こえなかったり、背が高いとか低いとか関係なく、みんな同じくサッカーを楽しめた。
サッカーに限らず、スポーツを通して、社会をもっと良くしていくことは素晴らしいことだと思う。

デフサッカー・デフフットサル女子日本代表 宮田夏実選手:
お互いがスポーツを通じて歩み寄っていくことが、すごく大事になってくると思うし、これがスポーツの力なのかなと。
わたし自身、やってすごく楽しかったです。

今回のサッカーイベントを企画した、P&G・秋山史門さんは、「スポーツというのは、性別・国籍・障害だったり、カテゴリーが分けられてされることが現実では多い。同時に、スポーツというのは、わくわくした気持ちや達成感はみんな共通しているし、スポーツというものが、“お互いを理解する”、“認め合う”というところにすごく貢献していると考えている。今後も引き続き、取り組みを行っていきたい」と話した。

性別や年齢、身体的特徴や経験の差を超えて、誰もが楽しめるスポーツがインクルーシブな社会の実現に一役買うとみられる。

インクルージョンは企業の役割も大きい

三田友梨佳キャスター:
社員全員がリモートワークで働くスタートアップ、キャスター取締役COOの石倉秀明さんに聞きます。

石倉さんはスポーツビジネスにも携わっていますが、社会の中でスポーツが果たす役割は大きそうですね。

キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
スポーツは競技レベルも年齢、身体的特徴というものにあわせてチームを作り替えたり、ルールや競技を変えたりということもしやすいので、多様な人の参加を促すきっかけとして非常に有効な手段だと思います。

三田キャスター:
今回のイベントもそうでしたね。
海外に目を向けるとスポーツの持つ可能性をうまく社会に活かしている印象もありますね。

石倉秀明氏:
ドイツなどの例ですと、「フェライン」という日本でいう地域のクラブやNPOのような団体が国内に60万以上存在します。
なおかつそのうちの4分の1は、スポーツに関するクラブだと言われています。

人口数万人規模の小さい都市なのにさまざまな目的で100近いスポーツクラブが混在している、そんな都市もたくさんあって、人々が交流するのにスポーツが一役買っている存在になっています。

これだけスポーツクラブの数があると結果としてより多くの人が参加することももちろんですし、自分がより良く参加するためにどういうクラブを選ぶかを自ら選択することもできますから、多くの人を包括する文化の基盤になっています。

三田キャスター:
今後は日本でもスポーツなどを通してさまざまな方の活躍や交流が社会の文化として根付くといいですね。

石倉秀明氏:
スポーツはもちろん大事だと思います。
スポーツ以外に社会にダイバーシティだったりインクルージョンが根付くためには、企業が果たす役割も大きいと思います。

例えば、働き方一つをとっても、週5日、1日8時間働くのが当たり前となっていますが、働く時間が限られる方だったり、ハンディキャップがある方でも個人個人がより良い働き方を選択できる、それが当たり前の社会をどう作っていくかも必要だと思います。

三田キャスター:
ダイバーシティという言葉は社会でも浸透しつつありますが、お互いを受け入れて認め合うだけではなくて、それぞれの個性や能力をしっかりと発揮できる仕組みを作ることが重要に感じます。

(「Live News α」6月28日放送分)