TSKさんいん中央テレビは、難病のALSについて継続的に取材。
鳥取市には、共に難病を抱えながらも前を向く夫婦がいる。コロナ禍を生き、会えない日々が続く2人を取材した。
難病の「ALS」「表皮水疱症」と闘う夫婦
鳥取医療センターに入院する中山美智子さん(63)は、ALSを発症して5年。手足は動かせず、声も出にくくなっている。

――家族の支えが一番ですか?
中山美智子さん:
そうですね。それがなかったら、生きていません
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動神経が障害を起こし、全身の筋力が急速に低下する原因不明の難病。

多くの人が2年から5年で死亡する一方、人工呼吸器を装着すれば生き続けることもできる。中山さんは4年前に人工呼吸器を装着、生きる選択をした。
家族への負担などから、人工呼吸器を付ける人は3割にとどまっている。中山さんは生きることを即決したという。
中山美智子さん:
自分は大したことない。夫の方がつらい…

生きる選択を後押ししたのは、難病を抱えていた夫・和夫さんの存在だった。

夫・中山和夫さん:
両足に包帯をしています。水疱ができる。難病で「表皮水疱症」という、生まれつきの病気です
和夫さんは全身に水疱ができる生まれながらの難病で、ALSと同じく根治する治療薬はない。だからこそ、生きることに迷いはなかったという。

――決断は早かった?
夫・中山和夫さん:
早かった。即答でした。僕ら夫婦は、やります。生きてさえいれば、研究も進んでいるし
中山美智子さん:
ほかの人と結婚していたら、どうなっていたかわからない。主人だったから…

難病を患いながらも前向きに生きる夫を尊敬するからこそ、生きることを決めた美智子さん。
会いたくても会えない…2人の心を支えたメールのやりとり
しかし、2人はこの時、半年間、会うことができていなかった。1つはコロナ禍により面会謝絶が続いていたこと。もう1つは、和夫さんが2020年、難病が原因で足の指や舌のガンを発症し、体調に不安を抱えていたためだ。
夫婦が暮らす鳥取市では、ヘルパーの人手不足などで24時間の重度訪問介護サービスもなく、美智子さんも自宅で介護するのは難しい現状。
夫・中山和夫さん:
ストレスというのかな…会いに行こうと思っても会えない
夫婦の会えない日々、お互いの心を支えていたのは、毎日のメールのやり取りだった。

夫・中山和夫さん:
コミュニケーションは取れていました
それを可能にしているのが、「オリヒメアイ」という意思伝達装置。視線で文字を入力し、発声をすることもできる。

中山美智子さん:
(オリヒメアイを使い発声)ひととはなしをするのはたのしいです
この日は看護師に手伝ってもらい、テレビ電話にも挑戦した。

夫・中山和夫さん:
こんにちは、調子はどう?
中山美智子さん:
良くしてもらっているから
離れ離れでも、思いは通じている。

――コロナが収束したら?
夫・中山和夫さん:
2人でここ(自宅)で話ができれば良い

中山美智子さん:
夫と一緒に過ごせるだけで十分です
(TSKさんいん中央テレビ)