異例の株主総会

「もの言う株主」への対応が問われるなか、「東芝」の定時株主総会が異例の展開。

総会では、冒頭、綱川社長が、去年の株主総会は公正に運営されたものとはいえないとする調査報告書について、「取締役会として真摯に受け止めている」と述べた。
株主からは、経営体質を疑問視する意見や経営陣に丁寧な説明を求める声が相次いだ。

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株主:
今回の報告書を見て質問を変えさせていただきます。
ちょっとこういうのは見たことがない

総会では、会社が提案した取締役11人の人事案のうち、永山取締役会議長ら社外取締役2人の再任は、必要な過半数の賛成が得られず否決された。

株主:
株主とか社員を思って回答するという誠意が見られない

株主:
密室というか裏で手を回すようなやり方が不信を感じる

東芝は25日夜、永山氏の後任の取締役会議長に綱川社長が就任し、新たに取締役に選任されたジョージ・オルコット氏は辞退したことを発表した。

これで、13人を予定していた取締役は8人となった。

企業側と投資家側が溝を埋めれるか

内田嶺衣奈キャスター:
今後は企業側も含めてどのようなことが課題になってくると思われますか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
これからの本質的な課題を、企業側と投資家側がいかに溝を埋める対話ができるか。
ここに尽きると思うのです。

両社にとって、「企業の価値を高める」これは同じ方向なのですが、「お互い出口とするゴールが違う」。ここが難しさの本質なのです。

企業側にとっては、「事業や雇用を守りながら永続的に成長する」のがゴールなのですが、投資家にとっては「限られた時間の中で資本効率を最大化する」のがゴールなので、お互い違う時間軸の中で優先順位を合わせる合意された成長のストーリーをいかにつくれるかが大事になってくると思います。

そこにおいて両者を結びつけるポイントとして「いかに現場を重要視できるか」この視点が大事だというふうに思います。

現場を重要視する視点が大切

内田嶺衣奈キャスター:
現場の視点を重要視するというのは具体的にはどういったことなのでしょうか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
ここ1,2年、世界的に経営に対する潮流というのが「株主偏重主義」から「マルチステークホルダー」重視、顧客や従業員や取引先も含めた多様な利害関係者の利益に配慮していこう。
こういった考え方が広がりつつある。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
株主や投資家においても短期的なリターンだけではなくて、ESG投資に代表されるように企業の中身をしっかり見ながら中期的な成長も考慮していこう。
こういった必要性はますます高まっていく。
いわば株主にとっても現場を理解する必要性もますます高まっていくと思うのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
現場というのは企業にとって従業員が顧客と触れ合う先端でもありますし、新しい技術だとか優れたソリューションを生み出す価値の源泉でもあるのです。
これから企業側が投資家と対話をしていく上でも、「現場起点の成長ストーリー」「従業員や顧客にとって納得できるような成長ストーリー」を基軸に対話をしていく、これが最も重要なスタンスになってくると思います。

(「Live News α」 6月25日放送分)