洗濯排水から“プラごみ”が!?

世界では、年間800万トンが海に流れ出ていると言われているプラスチックごみ。

“プラごみ”と言うと、ペットボトルなどをイメージするかもしれないが、実は家庭などでの洗濯の際に出る繊維のくずも、“プラごみ”につながっているというのだ。

こんなに!下水管に流れ込む繊維くず

洗濯機から勢いよくふき出す排水。この中に・・・
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私たちが毎日のように行っている衣類やタオルなどの洗濯。

排水を、網目の細かい特殊なネットで漉し、出てきた繊維くずを集めてみると、500円玉の大きさに。一度の洗濯でだ。

この量の繊維くずが毎日の洗濯で、下水管に流れ込んでいることになる。

1回の洗濯でこれ程の繊維くずが下水に・・・

一見、ホコリのように見えるこの繊維くずだが、水の中に入れてみると・・・

繊維くずが水に散らばり、溶け込むように・・・

繊維の一部が、水に溶け込むように散らばっていくのが分かる。

目に見えないほど細かいこのくずには、プラスチックの一種であるポリエステルなど、化学繊維も多く含まれている。

下水処理場もすり抜け海に・・・

洗濯排水と一緒に流れ出た化学繊維は、一部が下水処理場のフィルターもすり抜け、海に流れ出ている。

こうした小さなプラスチックごみは「マイクロプラスチック」とよばれ、世界でもこの問題は深刻にとらえられているのだ。

2021年1月、カナダの研究団体は、北極海で採取したマイクロプラスチックの9割以上が、ポリエステルなど化学繊維のくずだったとし、洗濯排水が海の汚染に繋がっている可能性を指摘。

日本では、企業などのマイクロプラスチック削減に向けた効果的な取り組みを環境省が取りまとめ、普及に努めている。

“プラごみ”抑止の洗濯ネット

環境省が紹介する企業の取り組みを実際に見に行くことに。

アダストリアが開発した洗濯ネット

「アダストリア」が開発した洗濯ネットは、繊維くずが流れ出さないよう網目の大きさが0.05ミリと非常に小さくなっている。

特殊なカメラを使ってみても、かろうじて網目が見える程度。

髪の毛を置いても、それより小さいのが分かる。

髪の毛と比べる事で、網目の細かさが分かる

実際に、ポリエステルを40%ほど含んだバスマットを洗濯ネットに入れ洗ってみると、角に繊維くずがずいぶん溜まった。

たった一枚のバスマットで、多くの繊維くずをキャッチする事ができた。

洗濯ネットが繊維くずをキャッチした様子が分かる

洗濯ネットを使わない場合に比べて、最大80%繊維くずの流出を抑えることができるという。

環境に優しく、ファッションを楽しむ

実は、この洗濯ネットを開発したのは、「niko and...」「LOWRYS FARM」など若者に人気のブランドも扱うアパレルメーカー。洗濯ネットはオンラインで販売している。

担当者は「ファッションに無関心な人がいても、無関係な人はいない。普段使うものだからこそ、より環境に負荷をかけずにファッションを楽しんでほしい」と話している。

株式会社アダストリア CSR担当 藤本朱美さん

環境省も、一人一人の意識を変えることが不可欠だとしている。

世界共通の目標として、「2050年までにプラスチックによる新たな海洋汚染をゼロにする」と掲げられているが、達成に向けては、どんなに小さくてもできる事を、日々、積み重ねていく必要がある。

取材後記

私も、これまで洗濯時に気をつけていたことと言えば、ポケットにティッシュが入っていないかどうかくらい。

恥ずかしながら、洗濯排水に含まれる繊維くずが環境汚染に繋がっている可能性なんて考えたことも無かった。

「そんな小さなこと気にしたって仕方ない」と思う人も多いかもしれない。

しかし、“小さいから”というのは、洗濯排水からマイクロプラスチックが流れ出している事実から目を逸らしていい理由にはなり得ない。

一つ一つは、目に見えない程小さなものであっても、積み重なり、集まれば、大きなゴミとして認識される。

環境問題も同じ構図ではないだろうか。

今日から、いまから、出来る取り組みを積み重ねれば、我々が暮らす地球の未来を大きく変えることができるはずだ。

日々の洗濯も、未来の選択につながっているのかもしれない。

(取材:フジテレビ 安宅晃樹アナウンサー・環境省担当)