県内に住む外国人向けに動画で土佐弁講座

ぞんぞんする」という言葉は、土佐弁で「ぞくぞくする」という意味で、風邪をひきそうな具合の悪い時に使われる。
このような独特の土佐弁に戸惑う、高知県内に住む外国人に向けて、土佐弁講座の動画が制作された。

<よくわかる土佐弁講座(YouTubeより)>
ヴァレリーさん:

高橋さん、おはようございます

高橋さん:
おはようヴァレリーさん、きょうも“ひやい”ね

ヴァレリーさん:
(“ひやい”ってなんだろう。分からないけど、こういうときは…)そうですね…

この記事の画像(12枚)

高橋さん:
なんか私、のどが“はしかい”がよ。“ぞんぞんする”し、かぜを“ひきゆう”かもしれん。なんか“のうがわるい

ヴァレリーさん:
“のうがわるい”?

先生:
ここで大切な表現は、「のうがわるい」「~ゆう」「はしかいがよ」「ぞんぞんする」です

この動画は、高知県国際交流協会が県内に住む外国人向けに制作したもの。
協会が週に5回開催する日本語教室が、コロナ禍で開催頻度が減ったことをきっかけに、いつでも見られる教材を作ろうと企画された。

2021年3月末に公開され、再生数は約1,800回。外国人からはもちろん、県外からの日本人移住者からも「土佐弁が分かりやすい」と好評だ。

県外移住者からも好評の土佐弁講座
県外移住者からも好評の土佐弁講座

高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー:
全ての土佐弁をマスターするのは、なかなか難しい。けれども、楽しく、時々耳にするような土佐弁を少しでも理解できて、しかも、それが楽しく勉強できたらということで、今回 動画というツールで分かりやすく楽しめる内容で考えてみました

高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー
高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー

英語ではなく「やさしい日本語」で解説

高知県内に住む外国人の数は年々、右肩上がりに増えていて、2019年12月には5,000人近くに達した。
国別に見ると、フィリピンや韓国などアジア系が集まる中、今までは中国人が圧倒的に多くいた。それが、徐々に技能実習生の受け入れが増えたことから、近年はベトナム人が急増し、2020年は中国人を上回った。

高知県内の国籍別在留外国人数(一部)
高知県内の国籍別在留外国人数(一部)

外国人と言えば英語…のイメージだが、英語に慣れていないアジア人が多いため、動画では、分かりやすい「やさしい日本語」で解説されている。

<よくわかる土佐弁講座(YouTubeより)>
ヴァレリーさん:

(“のうがわるい”は、“元気じゃない”ということだから…)大丈夫ですか? 無理しないでください。お大事に

高橋さん:
うん。ありがとう

高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー:
こういうときは、こういうことだから、こういうふうに返せばいいんだなって、そういったことも盛り込んでますので、実践してもらえたらいいですね

“騒動”をきっかけに交流会も開催

協会の近藤快子シニア・マネージャーは、動画で伝えたいのは「コミュニケーション」の大切さだと語る。
その背景には、2020年に起こったある印象的な事件があった。

高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー:
普段から、なかなか顔を合わせたり交流する機会がなくて、少し住民と外国人の間でトラブルになったりというようなこともありましたので

2020年2月、土佐市で雪が降ったことに感動したインドネシアからの漁業実習生が、感動を分かち合おうと、通りがかった宇佐小学校の児童に話しかけた。すると、不審者として通報され、警察が動く騒ぎとなった。

高知新聞(2020年11月20日)
高知新聞(2020年11月20日)

そこで協会は、実習生やその仕事について、もっと地元の人に理解を深めてもらう必要があると、騒動から9カ月後  宇佐小学校で交流会を開いた。

高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー:
(交流会の様子の写真は)やっぱり楽しそうですよね。最初は戸惑うかもしれないけれど、1回話をし始めると…

宇佐小学校で行われた交流会の様子
宇佐小学校で行われた交流会の様子

高知県国際交流協会・近藤快子シニア・マネージャー:
日本語の能力も向上してもらいたいし、こちらも意思疎通するためには、少し配慮をしてあげることが大事かなと思いますしね。そういうので交流が深まっていったらいいなと思いますね

高知県国際交流協会は今後、土佐弁だけではなく、路面電車など公共交通機関の利用の仕方や、地震が起こった際の避難の仕方など、高知の生活に密着した動画を制作する予定だ。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
高知さんさんテレビ

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