政府の接種記録システムと連動

新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」について、政府は7月中旬にも導入する方針を固めた。

いわゆる「ワクチンパスポート」は、政府の接種記録システムと連動し、氏名や旅券番号、ワクチンの接種日などを載せることにしている。

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政府は7月中旬にも、全国の自治体で申請を受け付け、発行を始める方針。

「ワクチンパスポート」は、外国での導入の検討が進んでいて、ビジネス関係者の円滑な往来を促すため日本でも経済界から導入を求める声があがっていた。

これについて、河野規制改革相は17日朝、早期の導入を目指すため、当初は、紙での申請・発行となるが、いずれデジタル化する考えを表明した。

入国審査の簡素化などに期待

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。

長内さんはビジネスや研究者としても海外への渡航の機会が多いと思いますが、ワクチンパスポートの導入についてどうご覧になっていますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
今回の世界的なコロナ流行のまさに反省点だと思いますが、パンデミックを防ぐためには、いかに国を越えてウイルスを広めないかということにつきると思います。

ですので、渡航要件としてのワクチン接種は防疫上仕方ないことだと思います。
私が4年前にハーバード大学に行った時に、研究者ビザを取得して渡航しましたが、ビザを取るのに何種類ものワクチン接種をして、英語で証明書を揃えるという結構ペーパーワークが大変でした。

今後デジタル化が進みますと、こうした煩雑さやコストの問題、あるいは入国審査の簡素化なども期待されますよね。

三田キャスター:
ワクチンパスポートはアメリカのニューヨークやヨーロッパ、中国などでも導入が進んでいます。

今後さらに広がっていくことも予想されますが、課題を挙げるとするとどんなことがありますか?

長内厚氏:
今後接種が進めば中国などからのインバウンド需要の回復も期待されます。

ただ、本国のワクチンパスポートが入国の条件となった場合、日本では認められていないワクチンの扱いをどうするのか。
お互いの国がそれぞれの条件を認め合う相互主義という観点も大きな課題になるかもしれません。

接種できない人にも配慮を

三田キャスター:
接種が広がる一方で、何らかの理由でワクチンが打てないことにも配慮が必要だと思いますが、その辺りはどうお考えですか?

長内厚氏:
健康に関する個人情報は十分な配慮が必要な機微情報です。
ワクチン接種は大多数の人にとっては当たり前にできる普通のことかもしれませんが、体質や体調によって出来ずに困る人もいます。

ダイバーシティが大切な今、普通の押しつけをすることなく、様々な事情がある人にどう寄り添うかということと防疫。この両者の両立が必要ですし、こうした制度の運用は必要最小限であるべきだと思います。

三田キャスター:
接種を選択しなかった人に不利益が生じることがない形であってほしいと思います。
今後、日本から海外に渡航する際に使用することになったら、相手国のワクチンパスポート保持者をどのような条件で受け入れるかについても交渉が求められることになると思います。

今後の動向が注目されます。

(「Live News α」6月17日放送分)