障害者をサポートする新たな技術

靴に装着するだけで、行きたいところへご案内。
目の不自由な人の歩行を支援するナビ「あしらせ」だ。

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谷リサ子記者:
専用のアプリで行き先を設定することで、足に振動が伝わり、その場所までナビゲーションしてくれます。

足の動きの情報と位置情報から、ナビ情報を生成。

振動を伝えるのは、両足12ヵ所に配置された振動モーターだ。

前進する場合は、甲の部分が一定間隔で振動。

谷リサ子記者:
まもなく左に曲がれの振動の合図がきました。

そして、曲がるポイントにさしかかると、全体が激しく振動。 
一時停止を促してくれる。

すると、今度は曲がる方向の側面を振動させ、合図。

谷リサ子記者:
今、左の外側の部分、振動しました。「左に曲がれ」と言うことなのでこちらに進んでいきます。
思ったより、全体の足のどの部分に振動しているかが、はっきりとわかりやすいです。

きっかけは「あるひとこと」

開発したのはホンダのエンジニア。
後押ししたのは、目の不自由な人の「あるひとこと」だった。

Ashirase 千野歩代表取締役:
ふと、こういう言葉を口にしたんです。
「自由に移動することを諦めている」。
私たちが当たり前にやっていることを、彼らは当たり前に諦めているんだなと、その時強く実感して。

自分の家族を、目が見えないことが原因の事故で失った経験ももつ千野さん。
「あしらせ」にはホンダが得意とする「自動運転」の技術が息づいていた。

Ashirase 千野歩代表取締役:
自動運転を目指していったけど、一番最初にナビゲーションを作ろうとしてカーナビが生まれた。
それと同じで、視覚障害者が全く事故に遭わないということに対して、1番最初のステップは、個々のナビゲーションを作っていくということ。

課題解決への強い思いと最新技術で生活を豊かに。
目の不自由な人たちが自由に街歩きを楽しめる大きな1歩となりそうだ。

日本らしさの「寄り添う発想力」

内田嶺衣奈キャスター:
今回のような障害を持った方たちへの支援。
素晴らしい取り組みだと感じたのですが松江さんはいかがですか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
こういう障害を持った方に対する優しい気持ち、これがすべての原動力になっていたということを聞いて非常に感銘を受けました。

こういった使い手にとって寄り添って発想する。
まさに日本らしさ、良さだと思います。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
開発者の方が、「今回の取り組みというのは、靴の中に仕込んだ仮想点字ブロックだ」
こんな表現をされたのですが、実はこの「点字ブロック」というのは日本から発明されて世界に広がった取り組みなのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
今回の製品もそうですが、こういった使い手に寄り添った発想する力は、日本がもともと持っている良さなんじゃないかなというふうに思うのです。

内田嶺衣奈キャスター:
そういった日本の良さが生かされているというのはうれしいことですね。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
それに加えて、技術的な面でも今回は自動運転の技術であるとか、衛星を使った通信技術が活用されているのが特徴ですけれども、そこにおいても安全に裏打ちされた技術力。
この辺がまさに日本の特徴として生かされていると思うのです。

これから日本においてもこういった障害者の方々はどんどん高齢化が進んでいきますし、こういった自立を支援する機器の市場も現在は415億円ぐらいの規模なのですが、これからますます求められて広がっていくと思うのです。

そういった深刻化する課題に対して、先ほどのような優しい発想力であるとか、安全に裏打ちされた技術力を組み合わせて日本から世界に誇れるような解決策が広がっていくことを期待したいと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
アイデアを実現させて一歩を踏み出すサポートをする。
こういった取り組みがますます広がっていくことを願います。

(「Live News α」 6月11日放送分)