経済規制を全面解除

新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだアメリカでは、さまざまな規制が解除され、経済の再開が加速している。

6月から経済規制が全面的に解除された、アメリカ・ラスベガス。

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カジノやレストランでは収容人数の制限がなくなったほか、ワクチンの接種を終えた人はマスクの着用義務もなくなった。

メキシコ出身のカップル 男性:
全く心配していないよ。

メキシコ出身のカップル 女性:
私は接種が終わっているので大丈夫。やれることがたくさんあるし、ショーもたくさんあるし、本当にいいわ。

世界有数のエンターテインメントの街。

2020年4月には失業率が33%と全米の大都市の中でも最悪となっていたが、街は今、完全復活を遂げていた。

大規模展示会が15カ月ぶりに再開

そして、ラスベガスにはもう1つ「経済の柱」がある。

6月8日に開幕したのは、建設業界の最新技術が紹介される数万人規模の展示会「ワールド・オブ・コンクリート」。

こうした大規模な展示会は15カ月ぶりとあって、実演会場も活気があふれていた。

展示会や商談会でラスベガスを訪れる人は、年間およそ660万人。その経済効果は1兆2000億円にものぼる。

以前のように対面での開催にこぎつけたことは、経済の復活を象徴する一歩となった。

出展した日系企業担当者:
不安もあったが、お客さんの喜んでいる表情やスタッフの生き生きしている表情を見て、「対面」でやる重要性も感じています。

ラスベガス観光局 責任者:
きょうはラスベガスだけでなく、アメリカや業界全体にとって非常に素晴らしい日だ。ワクチン接種が復活のカギとなった。日本やその他の国もワクチン接種が進めばそうなるだろう。

日本企業も回復後の運転資金不足に懸念

三田友梨佳キャスター:
市場の分析や企業経営に詳しい、経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。リアルで大勢の人が集まる大規模展示会が再開するなど、ワクチン接種が進んだアメリカでは経済の再開も加速しているようですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
感染が広がる中で、アメリカの失業率は14%台まで一時悪化していましたが、経済の再開を受けて現在は6.1%まで戻しています。4月の農業部門を除いた求人件数は、2000年の統計開始以来、最高を更新していますが、ここにきて採用件数が足踏みしています。

三田友梨佳キャスター:
働ける機会があるのに働く人が増えていないとはどういうことですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
採用意欲の強い宿泊や飲食などの接客業は、今も消えたわけではない感染リスクと低賃金などが敬遠される傾向があります。また、政府からの給付金や失業保険の特例給付などの手厚い補償が、働く意欲をそいでいるのではないかという指摘もあります。

三田友梨佳キャスター:
日本は経済の再開で先行するアメリカの後を追うようにしていますが、雇用の回復に関してはまた事情が異なるようですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
日本は感染拡大による雇用の悪化は最大で3.1%。現在はここから少し戻して2.8%となっており、日本はアメリカと比べて雇用の振れ幅を低く抑えられています。

例えば、JALやANAのキャビンアテンダントが接客のプロとして自治体に出向するなど、配置転換が盛んに行われています。これに加え、雇用調整助成金の活用などでできる限りリストラを抑える形で、この難局を乗り切ろうとしています。

三田友梨佳キャスター:
日本も経済が回り出した際には、雇用の回復で懸念すべき点について、どんなところが挙げられますか?

馬渕磨理子さん:
経済の再開で、飲食や宿泊などのサービス業に客足が戻ってくるのに合わせて求人を増やそうにも、手元の運転資金の不足などが予想されます。政府としても、人手不足が経済回復の足を引っ張らないよう、労働市場の活性化に積極的に取り組む必要があります。

三田キャスター:
日本ではワクチン接種が加速して広がっています。経済の回復に向けても、先を見据えて対策を講じていってほしいと思います。

(「Live News α」6月9日放送分)