小学生女子100メートルで2020年度の全国1位の記録を持つ小学6年生が、高知・南国市にいる。驚きの速さの秘密と、その素顔に迫った。
小学生女子100メートルで全国1位に
軽やかなフォームで、ぐんぐん加速していく1人の少女。彼女こそ、2020年度の女子小学生で“日本一速い”岡林結衣さん(12)だ。
この記事の画像(16枚)岡林結衣さん:
12秒出して、すごく速くなったと思いました
高知・南国市を拠点にしている地域スポーツクラブ「まほろばクラブ南国」。陸上選手が集まるアスリート教室には、小学生から中学生まで約30人が所属している。
メンバーの1人、大篠小学校6年生の岡林結衣さん。身長は156cmで、小学生女子100メートルで、2020年度の全国1位の記録を持っている。
記録を出したレースは、6年生になる直前の2021年3月、高松市で雨の中行われた。
第4レーンの結衣さんのタイムは、なんと「12秒77」。
5年生ながら見事、2020年度の小学生女子全国1位の記録に。2019年に更新された日本記録12秒67に0.1秒差まで迫った。
結衣さんは6年生になった4月にも、高知県内の大会で12秒台をマークしている。
岡林結衣さん:
毎回速いタイムが出るわけじゃないけど、自己新を出したらすごくうれしいです
「一目見て衝撃」…指導者も驚く走り
結衣さんが「まほろばクラブ南国」に入会して陸上を始めたのは、小学1年生になった時だ。当時から活躍が光っていた。
その活躍を象徴するものがある。
遠藤圭介アナウンサー:
高知市の春野陸上競技場の入り口には、過去の歴代記録が掲示されているんですが、小学生女子の1年生から5年生まで、毎年短距離で結衣さんが記録を塗り替えています
結衣さんは、平成から令和にかけて高知県の記録に新たな歴史を刻んできた。
結衣さんを指導する葛岡善行さん:
小刻みで前へ前へ前へ。柔らかく柔らかく
陸上を始めた時からの指導者は、走りを一目見た時から衝撃を受けたという。
結衣さんを指導する葛岡善行さん:
最初に驚いたのが、足の蹴る力、動き。蹴った時の音が、本当に小さい時から違ってまして、天性というか、力のすごさは驚きました
練習では、1つ1つのアドバイスをしっかりと聞いて、真面目に取り組んでいる結衣さんだが、陸上を離れると様子が違うようだ。
大篠小学校の同級生・仁尾摘麦さん:
大会の時は格好良いんですけど、普段の生活になったらちょっとおっとりして、かわいい子です
岡林結衣さん:
言っちゃいかん
50メートル勝負の結果は…
取材した日の練習は、3時間ほどで終了。
中学時代にリレー代表の経験のある遠藤圭介アナウンサーは、練習終わりの結衣さんにお願いして、50メートルで勝負を挑んだ。
遠藤圭介アナウンサー:
50メートルのタイムはどれくらい?
岡林結衣さん:
学校で計った時は7秒4くらい
遠藤圭介アナウンサー:
なんとか食らいついていきたい
50メートル勝負の結果は…
遠藤圭介アナウンサー:
加速が違いました。今、何割ぐらいでした? ちょっと流した感じ?
岡林結衣さん:
はい。これ(マイク)がとれました
結衣さんは、途中でマイクがはずれるアクシデントがありながらも、マイクを手に持ちながらの余裕の勝利だった。
全員が短距離を…“陸上3きょうだい”
結衣さんの速さの秘密は、家庭にあった。
練習のあと、結衣さんの自宅を訪ねた。この日の昼食は、オムライスだ。
ーーお母さんの料理で何が一番好き?
岡林結衣さん:
魚以外の料理
ーーオムライスはどうですか?
岡林結衣さん:
おいしいです
デザートは、結衣さんの大好物・スイカだった。
ーースイカはどうですか?
岡林結衣さん:
100点満点です。おいしい
学生時代、お父さんの正浩さん(50)は野球、お母さんの理絵さん(43)はアメフト部マネージャーで、共に陸上とは無縁だった。
結衣さんが陸上を始めたきっかけは、「きょうだい」だ。
長男・大智さん(高校2年・16):
陸上で短距離やってます
長女・沙季さん(中学2年・14):
陸上で短距離やってます
次女・岡林結衣さん:
陸上で短距離やってます
2歳年上の沙季さんが最初に「まほろばクラブ南国」に入会し、その後 お兄さんの大智さんと結衣さんが入会した。
大智さんは、高知農業高校の2年生で陸上部。香長中学3年生だった2019年の全国中学校体育大会で400メートルリレーに出場し、高知県勢で初めて決勝に進出。4位入賞の快挙を遂げた。
沙季さんも陸上部で、県立安芸中学2年生。2020年の全国中学校体育大会に1年生で出場し、400メートルリレーで大智さんと同じ4位入賞を果たした。
全員が実力者の“陸上3きょうだい”。
お互いについて聞いてみると…
ーー陸上を始めたきっかけは?
長男・大智さん:
妹2人が速かったので、速いかなって思って
ーー陸上を始めた時は?
岡林結衣さん:
お姉ちゃんは速かったけど、お兄ちゃんはごく普通でした
長男・大智さん:
2人が速くて、自分が一番下。2人が上にいるので、プレッシャーと重荷がすごい
長女・沙季さん:
結衣の方が自己ベストが上なので、刺激をたくさんもらえて、自分ももっと努力しようと思える
岡林結衣さん:
お姉ちゃんは一緒に走ったら負けるから、タイムじゃなくて、普通に走って勝てるように頑張ろうと思います
今では岡林家にとって、陸上は欠かせないものだ。
母・理絵さん:
子どもが一生懸命やっているところを見る。親にとってうれしい。1つでも多く見られるっていうのは、親としてすごくうれしい
かけがえのない家族と支え合いながら、前へ進み続ける結衣さん。0.1秒差に迫っている日本記録の更新に闘志を燃やしながら、その先も見据えている。
岡林結衣さん:
小学6年生の日本新を出したい
ーー将来の目標は?
岡林結衣さん:
オリンピックの選考会に出てみたい
結衣さんは、今はまだ週2回のクラブ活動以外、特に練習していないため、指導者の葛岡さんは「体の成長も含めて伸びしろがいくらでもある。記録更新は十分可能性がある」と話す。
2020年は、新型コロナウイルスの影響で、エントリーを予定していた県の内外の大会がほとんど中止になった。
大会がない間は、南国市外の浜辺や山道を走ってトレーニングを重ねた。
結衣さんは月に2回ほど、姉の沙季さんと一緒に練習する機会もあるという。
(高知さんさんテレビ)