男性の育休取得を後押しする、育児・介護休業法の改正案が6月3日に成立した。育休取得に向けて、企業による意思確認が義務化されるがどうなるのか。企業の育休事情を取材した。

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相模原市のヘアゴム工場「株式会社イノウエ」で働く萩原司(33)さんは、2019年、長女のひなちゃんが生まれたときに2週間の育休を取得した。

萩原司さん:
今振り返ってもあの2週間は自分の中ではいい時間だったと思っております。育休を取りたいという気持ちはあったんですが、やはり2週間(職場を)不在にするというのは自分の中で不安がありました

男性にも「おめでとう!育休はいつにする?」

男性育休の取得率がわずか7%ほどの日本。6月3日、男性育休を後押しする育児・介護休業法の改正案が成立した。改正のポイントは、従業員1000人以上の企業は男性の育休取得率の公表を義務化すること。

そして育休を取得する意思があるか、男性女性にかかわらず、本人へ確認する義務も企業に課されることになる。この男性への意思確認、実際には育休を取得しにくい職場の雰囲気の改善を期待してのものだという。

小売り大手の丸井グループや住宅メーカーの積水ハウスは、すでに独自での意思確認の声かけを実施している。子どもが生まれた男性社員の上司が「おめでとう!育休はいつにする?」という声掛けをルール化していて、男性育休取得率は100%だという。

中小企業は男性の育休義務化に反対

一方で中小企業には厳しい現実も。2020年に日本商工会議所が行った調査では、7割以上の中小企業が人手不足を理由に、男性の育休義務化に反対またはどちらかというと反対と回答。

萩原さんの会社も従業員46人の中小企業だが、育休取得を後押しした社長はこう話す。

株式会社イノウエ 井上毅社長:
自分の中でも1カ月かなって思ったんですけど、2週間しか言えなかった。その時の会社の状況っていうのは正直あります

2週間の育休期間は、事前の業務引き継ぎで乗り切ったという。

株式会社イノウエ 井上毅社長:
社内にいる今の人たちが幸せに生活できれば一番いいのかなと思うので、どうやって時間を使って働いていくか、どうやって最大限の短い時間で効果を上げるか。それをやっていければまだまだ有休も取れますし、うちで働きたいという人も増えてくるのではないかなと…

業務・人材管理の難しさも

イット!のスタジオでは元大阪府知事の橋下徹さんにも話を聞いた。

石本沙織キャスター:
井上社長には私も先ほど電話で伺いました。もちろん大変だった面もあるのですけれども、思わぬ良い効果もあったということで。(同僚同士)フォローし合える関係になって、全体的に業務の効率が上がったですとか、何も休むのは育休だけじゃないので、介護だったり病気だったり子どもの学校の行事だったり、休みやすい職場環境ができたというふうにおっしゃっていました。7人の父親である橋下さんはどうされたんですか?

橋下徹 元大阪府知事:
僕は本当に昭和だから、育休やら何にもやらなかった。全部妻任せで。もともとサラリーマンじゃなかったから、自分で事務所をやってたんで休むということもなかったんだけど、今の時代はダメですからね。うちの事務所はちっちゃいから。この間、スタッフが育休で2年ほど育休

加藤綾子キャスター:
2年?

橋下徹 元大阪府知事:
保育所入れなかったから。中小の事務所では大変なんですよ正直。スタッフに言っちゃいけないんだけど、代替人材。フジテレビみたいに大きければ人のやりくりできるけど、10人くらいの事務所なら抜けたところの穴埋めが。日本はワンポイントでの雇用がなかなかできない社会なんです。一回正規で雇ってしまうと解雇できない。一回雇ってしまうと、次(育休から)戻ってきたらダブルで人材抱えなきゃいけないから、結局今いる人員で抜けた分も対応しなきゃいけないんです。育休を普及させるんだったら、ちゃんとワンポイントで雇えるような制度をしっかり作ってもらわないと。中小企業ではなかなか難しいですね

加藤綾子キャスター:
そこの仕組みですよね

石本沙織キャスター:
環境とそういったソフトとハードの面で整っていくことが大事だということですね

橋下徹 元大阪府知事:
育休というのは簡単なんだけど。やっぱり中小企業ではそれを代替人材、これをどうやって確保するかとか本当に悩んでいるので

(「イット!」6月3日放送より)

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