長崎・佐世保市の「ジャパネットホールディングス」。2020年12月期の連結売上は2,405億円と過去最高になった。
代表取締役社長兼CEOの髙田旭人氏が語る、コロナの時代を生き残るカギと新たなまちづくりとは。

「自分たちで考えて」「まずやってみる」

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
変化をどう受け止めるか、たくさん考えた1年だった。結果だけ見ると、2,400億円を超えるのは、追い風の要素はもちろんあるが、(クルーズ船事業など)多くのキャンセルや赤字要因もあったので、社員の成長を著しく感じられた1年間だった

「社員の成長を感じられた1年」と語る髙田旭人代表取締役
「社員の成長を感じられた1年」と語る髙田旭人代表取締役
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好調の要因は、「巣ごもり需要」による生活家電などの通販事業の伸びもあるが、「それだけではない」と胸を張る。

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
家電周りって、お客さまの家に設置のスタッフが上がる、それはそれで逆風なんですね。
そこは物流のチームが、どういう形で家に上がればお客さまが不安がらないのか。マスクをする、全部拭く、手袋をしようか、靴下を履き替えようかとか、たくさん重ねた上での結果だったので

設置作業の研修(2017年)
設置作業の研修(2017年)

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
高田社長が思う、コロナの時代を生き抜くカギは?

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
われわれが意識をしているのは、自分たちの強みを生かそうと。どうしても人とか会社とか、弱みが気になっちゃうんですが、強みを生かすことが何より経営は大事だと思っていますし

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役
ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
あまり横並びで「周りがやっている、やっていない」という基準を参考にしない。参考にはするが、ただ従うだけではなくて、自分たちで考えて良いと思ったら、まずやってみると。やってみて違ったら、変えてみたらいいじゃないというのが、われわれの考え方なんですよ

ウォーターサーバー事業のほか、食材を届ける定期便などに力を入れ、2021年(12月期)の売り上げは、過去最高だった前年を上回る2,500億円を目指すと話す。

総事業費700億円…「新たなまち」が誕生へ

ジャパネットホールディングスは今、従来の「通信販売事業」に加えて、もう1つ柱を据えている。それが、「スポーツ・地域創生事業」だ。

総事業費約700億円をかけ、2024年 長崎市幸町にサッカースタジアムを中心として、ホテルや商業施設も併設する「新たなまち」を誕生させる。

提供:ジャパネットホールディングス
提供:ジャパネットホールディングス

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
スタジアムシティの中に、長崎のいろんな地域を回る案内所みたいなものを作ろうと思っていて。そこで一押し、スタジアムシティの中に「佐世保、雲仙のこういうところを回るツアーは、こういう交通機関を使って、こういうところに泊まったらいいですよ」と誘導できれば、長崎を1週間でもまわってもらえますし、それは、ぜひやりたいと思いますね。みんながハッピーになることなので

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
スタジアムシティは、長崎市だけの話じゃないと?

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
そうしないと、われわれも佐世保市の会社ですし、実際は長崎県全体が連携をとれば楽しいはずなんです。どうしても佐世保市、長崎市で、人がそれぞれ来る形になっている。本当は、「面」で連携をとっていけば、長崎の魅力は何倍にもなるので。そこに少しでもわれわれが貢献できればと思っています

「長崎ヴェルカ」 魅力と強さを両立へ

2021年秋、プロバスケットボールの「Bリーグ」に参入するのが、「長崎ヴェルカ」だ。
2022年春にかけて行われるシーズンでのホームゲームは、28試合。
長崎や佐世保など、県内各地の会場でプロのプレーを間近で見ることができるが、その運営母体は、ジャパネットホールディングスだ。

すでにサッカーJ2の「V・ファーレン長崎」の親会社でもあるが、サッカーがオフシーズンとなる秋から冬にかけて集客できるスポーツとして、バスケットボールに白羽の矢を立てた。

提供:ジャパネットホールディングス
提供:ジャパネットホールディングス

「長崎スタジアムシティ」ではアリーナも建設予定で、「ヴェルカ」はここを本拠地とする計画だ。

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
もともとサッカーが好きで、1番好きなスポーツはサッカー。バスケットは、参入を検討したときからいろいろ勉強して、上海にワールドカップを見に行ってますし、Bリーグの試合も行ってますし

長崎ヴェルカについて語る髙田旭人代表取締役
長崎ヴェルカについて語る髙田旭人代表取締役

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
スポーツって、V・ファーレンもそうですけど、強さと魅力って必ず大事じゃないですか。ヴェルカもV・ファーレンと同じように、ぶれずに人間力・チームの魅力・強さ、「全てを欲張り」に追い求めていくチームにしたいと必ず思う

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
やっぱり欲張りなんですか?

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
じゃないですかねー。勝つだけとか、勝負は関係なく魅力を磨くだけの方が多分、やりやすいはず。両方をやるということは、それなりにリスクと手間と大変さと、いろんな感情があるんですけど、それをやらないと意味がないので

「普通の体育館ではあり得ないことを」

長崎スタジアムシティのアリーナについても、日本のこれまでの「体育館」とは異なる魅力を持つ施設にしたいと話す。

提供:ジャパネットホールディングス
提供:ジャパネットホールディングス

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
現時点で5,800人収容にしようと思っているんですけど、ただ座って見るだけじゃなくて、VIP用の食事ができる席があったり。もちろん一般席にも食事がしやすい環境をどうしようかとか。
あと演出ですね。LED(発光ダイオード)を使った演出とか、普通の体育館じゃあり得ないことをやろうと

「異なる魅力を持つ施設に」と話す髙田旭人代表取締役
「異なる魅力を持つ施設に」と話す髙田旭人代表取締役

テレビ長崎・磯部翔アナウンサー:
ほかのアリーナとの差別化は?

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
アリーナが単体じゃなく、周辺にオフィス、ホテル、スタジアム、商業施設があるわけじゃないですか。だから、アリーナ単体で埋める付加価値はもちろんやるんですけど、総合力で連動して生める価値はたくさんあって

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
それこそ、アリーナの屋上に何を造るかが大きなテーマで。例えばフットサル場を造れないかなとか、バスケの3人制のコートも造れないかなとか。

提供:ジャパネットホールディングス
提供:ジャパネットホールディングス

ジャパネットホールディングス・髙田旭人代表取締役:
そうすると重さが必要なので、もちろん構造的にお金は必要なんですけど、それ以上の価値が生めるなら、お金をかけてもアリーナの上でも楽しめたらいいねと。そういうアイデアをずっと出していっていますね

髙田社長は、まちづくりが「そんな甘いものじゃない」と話しながらも、自信をのぞかせる。
長崎スタジアムシティプロジェクトが成功したあかつきには、ほかの地方都市でもスポーツを核としたまちづくりに挑戦するかと尋ねると、「もちろん考えている」という。

このプロジェクトをモデルケースに、他の企業がまちづくりをビジネスにできるようになってほしいと期待している。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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