6月特集は「隣人ディスタンス」。隣近所とのトラブルは避けたいところだが、コロナ禍で在宅時間が長くなり、近隣の生活音などにイライラしてしまうこともあるはずだ。

こうした実情は数字にも表れている。警視庁によると、東京都内では2020年に約157万1000件の110番通報が寄せられたが、最も多かったのが公害(人声騒音・カラオケ騒音)。通報件数は19万件にのぼり、2019年の約14万7000件よりも増えた。

公害(騒音)に関する110番通報が増加(画像はイメージ)
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警視庁によると、コロナ禍以降は「テレワーク中に隣の家がうるさい」などの通報が入るようになったという。2021年4月下旬以降は新たに、路上飲みに関する通報(「路上飲みをしている人がいるので取り締まってほしい」など)もあるという。

テレワークで悩みを抱えている人もいる(画像はイメージ)

迷惑行為に悩んでいる人は多そうだが、実際に行動に移したい場合にどうすればいいのだろうか。隣人トラブルも扱う、せたがや市民法律事務所(東京・世田谷区)の三上理弁護士に、ポイントを伺った。

これまでは気にならなかったこともトラブルの種に

ーー近隣トラブルにはどのようなものがある?

生活音などによる「騒音」、樹木などが土地の境界線を越えたりする「境界線」、ごみ出しのルールが守られない「ごみ」、ベランダでのたばこやペットなどの「臭い」、住宅の増築などによる「日照権」の侵害。このようなトラブルが挙げられます。マンションや賃貸は騒音や臭いの問題、戸建ては境界線や日照権の問題が起きやすいかもしれません。

ベランダのたばこのトラブルの種に(画像はイメージ)

ーーコロナ禍でトラブルの起きやすさはどう?

影響はあると思います。外出自粛やテレワークなどで、日中の在宅時間が増えたことにより、これまでは気にならなかったようなことでも気になって、トラブルになってしまうことは、十分にあり得ると思います。

ーー実例としてはどのようなものがある?

傾向としては騒音関係のトラブルが目立ちます。例えば、騒音のクレームを伝えに行ったときに相手方と感情的になってもめてしまった方もいます。また、騒音トラブルを指摘したことがきっかけとなり、結果的に大家から退去を求められたケースもあります。

実際には、何かをひきずったり、床をたたくような音なども悩みになっているようです。また、境界線の問題にもかかりますが、近くの空調の音が気になるので、空調設備の場所を動かすようにはできないかという相談もありました。内容は個々によりますね。

騒音関係のトラブルが目立つという(画像はイメージ)

ーー相談先の候補にはどのような選択肢がある?

身近な相談先としては、分譲マンションであれば施工会社や管理組合、賃貸物件であれば大家や管理会社、戸建て住宅であれば地域の自治会などが考えられます。自分と相手に共通の知人がいれば、その人を交えて話し合いをすることもできるでしょう。このほか、居住地域の役所も相談先となります。当事者間での解決が難しい場合、弁護士や警察なども候補となります。

ーー相談先はどのように選べばいい?

色々なところに相談しながらベストな方法を探っていくのがよいと思います。例えば、裁判をすることまで考えていない場合でも、どう対応したらよいかを弁護士に相談することはできます。トラブルの内容やこじれ具合にもよりますが、相手側が隣近所だと今後も顔を合わせることが想定されるので、色々なアドバイスを受けながら、できるだけ、円満解決することを目指すのがよいと思われます。

役所などの第三者機関も相談先となる(画像はイメージ)

客観的な証拠や同じ環境の人を探そう

ーー実情を伝えるために被害者ができることは?

まずは、自分が何に困っているのかを特定しておくことです。騒音を例にすれば、何月何日の何時ごろにこんな音がしたということを、具体的に伝えられるとよいでしょう。状況を録音や録画しておけば、客観的な証拠にもなります。

また、同じように困っている人がいないかを近所に聞いてみるのもよいと思います。自分だけが気にしすぎているのか確認することもできますし、管理会社などに訴えるときも複数人だと受け止めは変わります。相手方への伝え方も違ってきます。

自分が何に困っているのかを特定するのが第一歩(画像はイメージ)

ーー逆にしてはいけないことはある?

相手方が悪いと一方的に決めつけ、責め立てることは、避けた方がよいと思います。騒音や臭いなどは実は他のところから発生しているということもあり得ます。いきなり怒鳴りこむようなことをすると、解決が難しくなることも考えられます。

互いに疑心暗鬼になる可能性もある

ーートラブルを未然に防ぐためのポイントはある?

普段からの挨拶や話をする機会があるなど、隣近所と顔の見える関係・コミュニティがあるかどうかでも、解決の難しさは変わってくるでしょう。話ができる関係があれば、直接、話をして解決できることもあります。相手方からしても、知らない人からいきなり指摘されると「勝手な思い込みでクレームをつけてきた」などと思われることもあります。そうしてお互いに、疑心暗鬼になってしまうことも考えられます。

苦情を伝える前に今一度考えてみよう(画像はイメージ)

ーートラブルに悩んでいる人に伝えたいことは?

隣近所は今後も顔を合わせていく関係なので、穏便に解決できるのが一番です。初期段階のトラブルなら「自分が気にしすぎかもしれない」と省みながら、それでも、ただ我慢するだけにもならないように、できるだけ穏便に解決できるようにすることが大切です。ただ、もっと深刻な状況があったり、相手方から危害を加えられる可能性があるなら、弁護士に依頼して裁判をしたり、警察に対応してもらうことも視野に入れつつ、録音や録画などの証拠を確保しておくことも、必要になってくると思います。

望ましいのは円満な解決(画像はイメージ)

近隣トラブルの被害を受けてもまずは慌てずに、自分が過敏に反応していないか、周囲はどう受け止めているかを確認するべきという。それでも我慢できないのであれば、複数の第三者に相談しつつ、対処を考えていくべきとのことだった。

近隣トラブルについて、警視庁は相談や困りごとは「警察相談ダイヤル」(♯9110)を活用し、緊急性のある事件は110番通報をするよう呼びかけている。日本弁護士連合会も、法律相談センターにつながる「ひまわりお悩み110番」(0570-783-110)を活用してほしいともしている。

このような選択肢もあることを踏まえて、冷静に対処することを心がけてほしい。

 

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