都心でリヤカー販売が急増中

大川立樹アナウンサー:
コロナ禍で苦しい思いをしている店が新たな販売方法で活路を見出していました

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都心のど真ん中を進むリヤカー。コロナ禍でリヤカー販売をする人たちが急増中。

めざましテレビでは令和の今、なぜあえてリヤカーなのか?コロナ禍で増える“リヤカー販売”のワケをココ調する。

焼き鳥店がリヤカーでフルーツサンドを販売

まずココ調班が向かったのは、東京・銀座。

銀座で見つけたのは…

ココ調スタッフ:
銀座4丁目の交差点ですが、リヤカーがいますよ!こちらに向かって歩いてきます。旗にはフルーツサンドと書かれていますね

銀座のど真ん中を進むピンクのリヤカーを発見。

ココ調スタッフ:
リヤカーでフルーツサンドを売られているんですか?

フルーツサンド2933・チーフ 斉藤光絵さん:
そうなんですよ。すぐ近くの居酒屋の会社なんですけど、コロナ禍ということで夜の営業が全然今できない状態で、お昼に何かできることはないかなということで始めたんです

リヤカーの正体は、銀座の焼き鳥居酒屋「焼鳥くふ楽 銀座総本店」。

現在、お店は休業中だが、リヤカー販売は今年2月から保健所の許可を得てスタート。

マスカルポーネが入ったたっぷりクリームのフルーツサンド600円を、保冷剤を常備するなど衛生管理にも気を付けながら販売している。

ココ調スタッフ:
なぜキッチンカーではなくリヤカーなんですか?

フルーツサンド2933・チーフ 斉藤光絵さん:
キッチンカーだとまず一番最初にかかる初期投資が何百万円っていうふうにするんですよ

使っているリヤカーはホームセンターで材料を購入し、一から作った手作りで制作費約3万円。約300万円はかかるキッチンカーに比べると、値段は約100分の1で済む。

荒天の日以外、毎日正午ごろ銀座のお店を出発するリヤカーは、築地、勝どき、月島などのエリアで約10kmの距離を移動しながら販売。

リヤカーは道路交通法上、軽車両扱いのため、道路状況にもよるが基本的に車道走行が可能になっている。

SNSを活用して客の居場所に向かい販売

ココ調スタッフ:
信号待ちの時間に携帯で何かチェックしていますね

フルーツサンド2933・チーフ 斉藤光絵さん:
さっきSNSで「ここに来て欲しい」というふうに言われたので、そこまでのルートを一生懸命調べていたところです

少しでも知ってもらうために、駆使しているのがSNS。常に居場所を発信し、集客に役立てているという。

フルーツサンド2933・チーフ 斉藤光絵さん:
「何時にココ来て」とか「ここ通って」とかけっこう言ってくださるんですよリヤカーなので、いつでもどこでも行けるのが良さなので臨機応変に…

取材中も「自分の店の前まで来て欲しい」とつぶやいた人のところへ向かい、無事に販売。

書き込みした人:
歩道を歩いている時とかに声をかけても気軽に止まってくれるから。人気店で繁盛しているはずなのにこんなに気軽でいいのかしらと思うんだけど

こういったリクエストにも細かく対応し、今や多いときでフルーツサンドが1日150個ほど売れる日もあるという。

購入した人A:
なんかこう田舎感がちょっとあるんですけど、多分それもなんか買いやすかったりとかするのかも

購入した人B:
やっぱり今店舗が閉まっているところとか多いので、こういうのが普及すると楽しみが増えるかなと思いました

フルーツサンド2933・チーフ 斉藤光絵さん:
やっぱり人との繋がりってすごく大事だなって感じますし、コロナ禍じゃなければこんなアイデア多分思いつかなかったと思いますし、そういう意味では新しい展開をコロナ禍だからこそできたっていうのはあると思います

職人がリヤカーでキャンディを販売

渋谷のスクランブル交差点でも、別のリヤカーを発見。

ココ調スタッフ:
いましたね!今リヤカーがスクランブル交差点を歩いていきます

パパブブレ青山店・職人リーダー 大河原克哉さん:
パパブブレって言うんですけど、キャンディーを今販売しているリヤカーになっています

渋谷のリヤカーの正体は、全国に16店舗を展開するハンドメイドのアートキャンディー専門店「パパブブレ」。

職人さんの繊細な感覚で作り出す宝石のような「チョコミントキャンディー」(640円)が人気のお店。

2021年2月から保健所の許可を得て、お店を中心に渋谷、原宿、青山周辺を不定期で移動しながら販売している。

実は、キャンディーを作る職人さんたちが自らリヤカーを引いて販売しているのだとか。

そのワケは…

PAPABUBBLE JAPAN・代表取締役 横井智さん:
コロナでお客さまが減ってしまって、職人たちがちょっと仕事がなくなってしまったと。職人が働ける場を作ろうということでリヤカー行商ということをやらせていただいています

実際にリヤカーを見た若い世代の人たちは…

若者A:
趣深いですね逆に。SDGsじゃないですけど持続可能なエネルギーとして人力を使うっていう…

パパブブレ青山店・職人リーダー 大河原克哉さん:
ちょっと恥ずかしいんですけど「楽しい」を僕たちはあめに詰めているので、それを届けられたらなと思って歩いています

食品以外にバラもリヤカーで販売

さらに、リヤカー販売は全国に広がっている。熊本では…

ローズバイクバイカ―・自見冬星さん:
バラをリヤカーで運んでいます

熊本にあるバラ専門の花屋「noc’turne」が去年11月から始めたというバラのリヤカー販売。

地元・阿蘇のバラ農家から直接仕入れた新鮮なバラを6本1000円という格安の値段で販売している。

ローズバイクバイカ―・自見冬星さん:
コロナ禍で結婚式や入学式、卒業式がなくなって花を買う機会が減った生産者さんたちも僕たちもすごく困っている中、バラのロスを少しでも減らそうという取り組みをしています

毎日10時半から18時まで、お店を中心に2km程度の範囲を移動しながら販売している。

ローズバイクバイカ―・自見冬星さん:
バラは笑顔のスイッチだと思っているので、1人でも多くの方に笑顔になってもらえるように、頑張っていきます

真っ赤なリアカーで「ハンバーガー弁当」を販売

続いて向かったのは、東京・世田谷区祖師谷にある商店街。

ココ調スタッフ:
あっ!あれじゃないですか!?リヤカー!真っ赤なリヤカーが歩いています。バーガー弁当って書いてありますね

商店街の中を進む、インパクト抜群の赤いリヤカー。

リヤカーの正体は、商店街の中にあるこだわりのハンバーガーを出している「ゴホウビダイナー」。

今年3月から保健所の許可を得て、不定期で商店街周辺を移動しながら販売している。

お店を知ってもらうキッカケになればと、ハンバーガー弁当は採算度外視のワンコイン500円で販売している。

ゴホウビダイナーオーナーシェフ・齊藤星児:
リヤカーはやっぱり目線が一緒なので、会話がしやすいというか、歩くスピードも一緒なのでお客さまと、話しかけやすいのかなと思います

さらに、より話しやすい雰囲気を作るため、すれ違う人には挨拶を欠かさない。

ゴホウビダイナーオーナーシェフ・齊藤星児:
こんにちはー!ハンバーガー弁当ワンコインです。いかがですか、こんにちはー

ゴホウビダイナー・オーナーシェフ 齊藤星児さん:
ありがとうございます

購入した人C:
500円って言うから2つ

ココ調スタッフ:
今追いかけて来られたんですか?

購入した人C:
そうなの。今美容室で見ていて走ってきた。お客さん留守番してもらっている。こんなの来てくれたら、すごく買いやすいよねなんて今話してたのね。どっか買いに行くよりね、と思いまして

現在、お店は東京都の要請に従い、アルコールなしの時短営業中。

こうしたお客さんとのやりとりもめっきり減ってしまったという。

ゴホウビダイナー・オーナーシェフ 齊藤星児さん:
やっぱりお店の中にお客さまがいらっしゃっているのが当たり前だと思っていたので、緊急事態やコロナでお客さまが来ないのが当たり前になってきて…

ゴホウビダイナー・オーナーシェフ 齊藤星児さん:
「頑張っているね」とか「ごちそうさん」とか、一瞬ですけど5秒でもお客さまと触れ合えた方がいい。それを求めて歩いているところありますね

(「めざましテレビ」6月2日放送分より)