ガムや洗剤の容器を再利用

イオンは25日から、一部の店舗で、商品の容器を繰り返し使う“リユース”の仕組みを導入した。
対象は、ガムや洗剤、消臭剤など生活用品を中心に、P&Gやロッテなど6つのメーカーの13品。

この記事の画像(8枚)

従来のプラスチックではなく、ガラスなど耐久性のある容器で商品を販売。
使用後に店頭で容器を回収し、専用の工場で洗ったあと、メーカーが再び商品を詰めて販売する。

アメリカのスタートアップ企業が開発した「Loop」というサービスで、国内の小売りでの取り扱いは今回が初めて

客A:
容器は捨てずに詰め替えて使っているので、同じような取り組みなのでいいと思う

客B:
今までは使ったら捨てちゃうイメージだったけど、回収場所が増えれば気軽に買えると思う。

アプリを通じて容器代返金

容器代は、商品により異なる。
発行されるQRコードを読み込み容器を返却すると、後日、アプリを通じて商品に応じた容器代が返金される。

使い捨てではなく、容器そのものをリユースする今回の取り組み。
まずは、関東を中心に19店舗で展開し、サービスを拡大していきたい考え。

イオンリテール商品戦略部長・鷲見尚彦さん:
(イオンでは)リユース、ごみをそもそも出さない取り組みについてはまだできてなかったので、今回Loopと取り組むことになった。来年の春までに50品目まで拡大していくように進めています。

企業の「環境配慮」に顧客・投資家が注目

三田友梨佳キャスター:
エコノミストで企業ファイナンスを研究している崔真淑さんに聞きます。企業の環境に配慮した取り組み、どうご覧になりますか?

エコノミスト・崔真淑さん:
イオンの新しい取り組みに参加する消費者は地球のためにちょっと良いことをしたという意味では満足度が上がると思います。
そして企業のミッションとしては顧客の満足度だけでなく、株主や投資家の満足度を上げる必要がありますが、実はそこにも環境に配慮するということがキーワードになってきています。

三田キャスター:
環境に配慮している企業に消費者の支持が集まるのはわかりますが、なぜ株主の満足も高まるのでしょうか?

崔真淑さん:
SDGsという持続可能な社会を作ろうという目標が掲げられていますが、その目標を達成するためのツールとしてESG投資というのが注目されています。

環境、社会、企業統治をしっかり行っている、社会に優しい企業に対して投資を行いましょうというものですが、ESG投資は欧米を中心に盛り上がり、合計の資産運用金額は1京円を超えるとも言われています。

なのでイオンの株主の約1割も海外投資家ですし、日本の上場企業を中心にESG投資のプレッシャーが高まっていると思われます。

三田キャスター:
企業の環境への配慮はこれからさらに加速していきそうですね。

崔真淑さん:
例えば、「CO2を20○○年までに削減します」という目標を掲げる企業は多いのですが、実はESG投資家の一部は本当に削減できたかの実行度合いまでチェックし始めています。

なので大企業の中には取引先の中小企業に対しても環境配慮を要請するケースも出てきていますし、経営のコストと捉えるのか、ビジネスチャンスと捉えるのか、多くの選択が迫られているのかなと思います。

三田キャスター:
点ではなくて線で、一過性のパフォーマンスではなくて、どれだけ持続的に社会に貢献していけるかが大事だということです。こうした貢献の大きさで企業価値も決まる時代になっていくのかもしれません。

(「Live News α」5月25日放送分)