妻のアイデアで大福に「桜の花びら」…3代目が営む老舗和菓子店の春限定商品

名古屋市瑞穂区に大福が人気の老舗和菓子店がある。桜の時期には、店主の妻が考案した桜の花びらが乗った「さくら大福」や、花見の定番の三色の「花見団子」などを求めて毎年多くの客が訪れる。

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名古屋市瑞穂区。桜の名所・山崎川の西に、昭和2年創業、90年以上続く「山田餅本店」はある。店頭には切り餅に鬼まんじゅう、桜餅など20種類以上が並ぶ。

店主は3代目の山田克哉さん。結婚して2021年で30年になる妻・朋子さんと、夫婦二人三脚で切り盛りしている。

午前6時。店では朝一番で餅をつく。開店当初から90年以上このやり方を続けている。仏壇に供える丸餅や、のし餅を作り、続いておはぎや大福に取り掛かる。

5年ほど前から販売を始めた、桜の時期限定の「さくら大福」(1個180円)。刻んだ桜の葉を練り込んだ皮でこしあんを包み、桜の花の塩漬けを載せる。甘さ控えめのこしあんに、塩気の利いた皮と桜。絶妙な塩梅だ。

克哉さん:
評判いいですよ。みんなで考えたんだけど。最後に桜の花を乗せて、かわいらしく見せたいって

桜の花びらを乗せたのは、妻の朋子さんのアイデア。朋子さんは季節限定の店自慢の大福を楽しいでもらいたいと話す。

春は書き入れ時…持ち帰りできる和菓子はコロナの影響少なく賑わう店内

午前9時。開店と同時にお客さんがやって来る。

男性客:
おいしいですよね、昔ながらの味で

女性客:
おはぎとか大福が美味しいです。あまり甘いもの好きじゃないけど、ここのは食べられます

開店後も、克哉さんは餅と和菓子を作り続ける。花見の定番、かわいらしい三色の「花見団子」(1本140円)に、国産の道明寺粉のつぶつぶとした食感と、甘さ控えめのこしあんが心地よい「桜餅」(1個170円)。

3月の雛祭りから始まり、卒業式・入学式、そしてゴールデンウイークの端午の節句まで、一年で春が最も和菓子が売れるとあって、力が入る。

そのころ店頭では、お彼岸ということもあり大勢のお客さんが。朋子さんは商品を取りに調理場と店頭を何度も行き来し、接客に大忙しだ。

朋子さん:
かわいいので目に留まりやすい「さくら大福」も、固定のお客さんついているので、まとめて買われたり

多くの飲食店が苦しむ中、持ち帰りできる和菓子は幸いにもコロナの影響は少なく、地元の人に支えられている。

克哉さんは、コロナの影響をほとんど受けていないことに「たまたまの巡り合わせに感謝したい」と話す。

「子供に桜を見せてやりたい」…忙しさで花見をしたことなかった3代目が変わったきっかけ

日々、忙しく働く2人。花見の時期は特に忙しく、お花見はしばらく行っていないという。忙しさに結婚するまで花見をしたことがなかった克哉さんは、朋子さんの「ある一言」をきっかけに変わった。

克哉さん:
子供ができて、子供に色んなものを見せてやりたいって…。そうやって朋子が言うから

「まだ幼かった3人の子供に桜を見せたい」と、25年ほど前から、閉店後、家族でライトアップされた山崎川の夜桜を見に行くようになった。ただ…

朋子さん:
子供が手を離れてしまうと、2人でとはならなくて。子供が取り持ってくれたのかな…

「もっともっと来ればいいんだよね」…結婚30年夫婦水入らずで久々の花見

結婚30年の山田さんご夫婦。2021年3月 久しぶりに、お昼休みに夫婦水入らずで山崎川へ。桜は咲き始めだが、心地よい眺めだ…。

朋子さん:
懐かしいね。もっともっと来ればいいんだよね。心に余裕を持って。閉店後と言わずにね

2人で会話をしながら、ゆっくり流れる時間。久しぶりに夫婦で見た山崎川の桜は心に染みた…。

克哉さん:
大切な人だし、居てもらわないと困るよね。時々怖いけど

朋子さん:
ありがとうございます。ご期待に添えるように、頑張りたいと思います

「山田餅本店」は、山崎川から西に徒歩5分。

(東海テレビ)

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