共産党を除く与野党の賛成多数で可決

憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案が、衆議院の憲法審査会で可決し、この国会で成立することになった。

改正案は、憲法改正の国民投票の利便性を高めるための法案で、共産党を除く与野党の賛成多数で可決された。

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また、立憲民主党が求めるCM規制について、3年後をめどに措置を講じるとした修正案も可決された。

これに先立って、自民・立憲両党の幹事長は、改正案を今の国会で成立させることで合意したが、審査会では、これを機に憲法改正を加速させたい自民党とCM規制まで改正はできないとする立憲で見解が分かれた。

憲法改正の判断は国民主権の原理に則って委ねるべき

三田友梨佳キャスター:
このニュースについて、哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さんに聞きます。改正案が今の国会で成立へということですが、どうご覧になりますか?

津田塾大学・萱野稔人教授:
ようやく成立したというのが率直な感想です。今回の改正案は、投票の利便性を高めるためのものです。すでに公職選挙法で一般の選挙で定められている措置を憲法改正をめぐる国民投票にも適応しようとしたものです。ですから、本来なら審議にそれほど時間がかかるものではありませんでした。

しかし、一部の野党がこれに慎重姿勢を崩さず、およそ3年、8国会に渡って継続審議になりました。その3年間というのは事実上、憲法改正についての議論が国会で進まず、国民が自らの投票によって判断する機会を奪われたことになります。

三田友梨佳キャスター:
議論を尽くす一方で、なぜ3年もという声もあるようですね。

津田塾大学・萱野稔人教授:
憲法改正に反対ということであれば、手続き論のレベルで時間稼ぎをするようなことはせず、中身について正面から議論して欲しいと思います。

いつまで経っても憲法改正の中身ついて議論が進まず、国民が自らの投票によってそれを批判できないということ自体、現憲法の国民主権の原理に反することになります。

憲法を守りたいのであれば尚更、国会議員はその根本原理である国民主権の原理に則って憲法改正についての判断を国民に委ねる姿勢を持つべきだと思います。

三田友梨佳キャスター:
この国民投票法改正案については11日に衆院を通過し、その後、参院で審議が始まる見通しです。

(「Live News α」5月6日放送分)