高齢者の0.1% 遅れる日本のワクチン接種

4月25日、フジテレビの番組で田村厚労大臣は次のように述べた。

田村憲久厚労相:
まず高齢者の皆さま方(のワクチン接種)を7月いっぱいまでにこれを終えたいと。その上でワクチンの量があれば(一般接種も)併走してという可能性はある。

7月中にも、65歳以上の高齢者と並行して一般向けの接種を開始する可能性を示したが、現状では1回目の接種を受けた高齢者は、全体のわずか0.1%。医療従事者でさえ2回目の接種を終えたのは、全体の2割にも達していない。

堺市医師会の西川正治会長にその理由を聞くと…

西川正治会長:
ワクチンの絶対量が少ない。接種していない医師が、高齢者に接種するという事態が生じています。

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「接種前の患者さんに感染させてしまうのが怖い」医療従事者が抱える不安

4月12日から始まった65歳以上の高齢者へのワクチン接種。1回目の接種を終えた、大阪・堺市の高齢者施設で暮らす女性は…

女性:
施設の人たちと外に出て散歩したいと思います…あのごめんね、感情的になりましてね。

と、安堵感に思わず声を詰まらせた。

だが、実はこの時、接種にあたった医師らは自分のワクチン接種を終えていなかった。この状況について西川会長は…

西川正治会長:
まずは医療従事者ですね、我々が感染するのももちろん怖いですが、我々から(接種)前の患者さんに感染させてしまうということがよっぽど怖い。

そこで堺市では、高齢者用のワクチンを医療従事者用に転用することに。

西川正治会長:
高齢者の方の接種が1週間、2週間遅れると思いますが、全体としては多くの高齢者の方にワクチン接種ができると思っています。

今後、ワクチンの供給量は安定すると見られているが、対象者が増えるのに伴い接種体制が課題となってくる。

一方、高知市では、高齢者に向けたワクチン接種の予約でシステムトラブルが発生。1人目の受付に約1時間を要する事態に。そして…

係員:
本日の特設会場での受付けを一旦終了いたします。

混乱の中、予約の受付は一時的に停止となった。

「リスクが高い順から」高齢者施設など細かい設定で混乱を防ぐ

こうした事態を防ぐ試みが、大阪・寝屋川市で始まっていた。

4月にワクチン接種が開始された市内の高齢者施設。一見、変わった様子はないが、独自の取り組みが行われているという。職員に話を聞いた。

高齢者施設の職員:
「寝屋川モデル」というものがありまして、それに沿って真っ先に(接種を)受けさせていただくことができました。優先順位が決まっていて、自分はどのぐらいの時期に打てるのかなっていうのが分かるようになっています。

“寝屋川モデル”では、重症化やクラスターのリスクが高い高齢者施設など、ワクチン接種の優先順位を細かく設定し、混乱を防いでいる。

寝屋川市の広瀬慶輔市長に詳しい話を聞いた。

広瀬慶輔市長:
当初、ワクチンの供給量がどれくらいになるか分かりませんでした。もし少ない分量が供給されるということになれば、予約が殺到する。(優先順位をつけることで)そうした混乱を回避しながら、ピンポイントで必要な所へ届けていくと。リスクが高い施設から順次打っていくという順位をつけている。

現在、見込まれているワクチンの供給量では、優先順位の7番目までが接種可能。その状況がゲージによってひと目でわかる。

寝屋川市では今後、接種が開始される高齢者以外の対象者についても優先順位を決めて、“見える化”している。

広瀬慶輔市長:
いかに(市民の皆さまに情報を)伝えていくかということを重視しています。(市民の)心配とか混乱とかは、非常時の中ではリスク。混乱なくやれるということは、当然、スピーディーな対応につながっていくだろうと思います。

遅れる日本のワクチン接種。この先、全国でスムーズに接種を進めていくために、必要な情報を丁寧に伝えていくことが求められている。

(「Mr.サンデー」4月25日放送分より)