新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法をわかりやすく解説。今回は脳神経外科「眞田クリニック」(大田区池上)の院長、眞田祥一先生に「脳梗塞の原因と予防法」について話を聞いた。

この記事の画像(9枚)

60歳過ぎれば珍しくない「隠れ脳梗塞」

脳神経外科・眞田祥一先生:
脳梗塞は、「脳血栓」と「脳塞栓」の2つに分けられます。

血管が動脈硬化を起こしたかたちの「脳血栓」心臓の不整脈から飛んでいって起こる「脳塞栓」。
いずれも血管が詰まって、その先の脳みその神経細胞が死んでしまった状態です。

突然起こるのが大部分ですが、突然じゃなくて起こることもあります。

MRなどの検査が普及してきて、症状の出ない脳梗塞、学問的には「ラクナ梗塞」とか「無症候性梗塞」と呼ばれるものが、大部分の人に見当たるんです。

大体60歳を過ぎれば誰にでもあると言えるかもしれない。
それについて、私は「隠れ脳梗塞」と名前を付けてみました。

「隠れ脳梗塞」が進んでいくと、麻痺が起こるのではなくて、脳全体が段々萎縮してきてしまって、脳の老化現象を起こしてしまうので、予防した方がいいです。

30年程前まではトップであった脳卒中の死亡数が、今どんどん減っているのは事実。
ただ、小さな「隠れ脳梗塞」をはじめとした、脳梗塞の発症そのものはそれほど減っていない。

隠れ脳梗塞、無症候性梗塞については、症状が無いというのが一般的な言い方です。
ただし、そういうものを起こした時には、いろんな意味での自覚症状があります。

脳梗塞の自覚症状と予防法

自覚症状は、例えば、頭痛めまいふらつき手足のしびれが起きます。
麻痺が起これば皆さんすぐに分かるわけですが、ちょっと唇が痺れたとか、ちょっと目が霞んじゃったということがあった時は、大事をとってCTなりMRを行った方がいいかもしれません。

脳梗塞の予防については、
1、塩分を控えめにする
2、青みの魚、青みの野菜を十分に摂る
3、激しくなくていいので有酸素運動を行う


そして、どうもおかしいと言うことで検査をして、小さな梗塞が見付かった場合は、血圧を下げる、全体の循環を良くする、または必要に応じて血小板の機能を抑える。
この「抗血小板療法」というのを行って予防することによって、より充実した老後、矍鑠(かくしゃく)とした老後を過ごせるようになります。現代はまさにそういう時代に入っています。

軽い運動で「発見」と「予防」

また、隠れ脳梗塞を発見する方法と、それを予防する方法で、いろいろな運動を考案してみました。

まず、発見するための運動は「うず巻き」
1cm間隔でうず巻きを5周ほど書きます。そして、色の違ううず巻きをその間に5周書く。

2カ所以上接触したり、はみ出したりすることがあれば、あれ、自分の手の動きが悪くなったかな、ということになります。

予防するための運動は、その場で「足踏み」や「ジョギング」
コロナのこの時期になかなか運動できないという方でも、自分の部屋で1000回ジョギングするのに10分もかかりません。そんな形で軽く運動するのが良いのかもしれません。

昔と違ってテーラーメイド予防医学、自分にあった予防医学は何なのかを主治医の先生と相談しながらやっていただける時代になってきています。
 

名医のいる相談室
名医のいる相談室