新型コロナウイルスの感染拡大から1年余り。
軽症や無症状の人でも半数の人が、倦怠(けんたい)感や味覚・嗅覚障害などの後遺症に悩まされていることがわかってきた。
今も後遺症に悩む人の証言から、ただの風邪とは違う、新型コロナウイルスの実態に迫った。

嗅覚障害やしびれ…後遺症に悩む男性

2020年8月、新型コロナウイルスに感染した60代の男性は、今も後遺症に悩んでいる。

新型コロナウイルスに感染した60代男性:
私の場合は嗅覚ですね。においが、かなりわかりにくくなりました

新型コロナウイルスに感染した60代男性
新型コロナウイルスに感染した60代男性
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週に2回は食べていた、大好きな納豆が…

新型コロナウイルスに感染した60代男性:
全然だめですね。納豆が一番だめなのかな。しょっぱい味…味はわかります。どうもおいしくないんです。風味がないというか、ただの柔らかい豆。ぐちゃぐちゃの豆、そんな風にしか感じられなくて

退院して8カ月たっても、においが感じにくいという。

コーヒーは…

新型コロナウイルスに感染した60代男性:
苦い…苦い水。おいしくないし楽しくない。食事が楽しくなくなる

男性は2020年、発熱やのどの痛みを感じ検査をしたところ、新型コロナウイルスへの感染が確認された。症状は軽症だった。
しかし退院後、体の異変を感じるようになった。

提供:感染した男性
提供:感染した男性

新型コロナウイルスに感染した60代男性:
普通にしていても、手先がしびれてくる。今もちょっとしびれている。こういうことはなかったんですが、コロナの後、顕著に感じるようになりました。夜、あまり熟睡できなくなった。しびれてきて、寝返りをうつというか

フランスの研究では、新型コロナウイルスに感染して110日たった段階で、半数以上が体のだるさを訴え、約3割が記憶障害や睡眠障害を訴えている。

加賀市のクリニックが「後遺症外来」立ち上げ

石川・加賀市「ながたクリニック」
石川・加賀市「ながたクリニック」

石川・加賀市にある「ながたクリニック」。
感染症にくわしい永田理希医師は、こうした人を救おうと2021年2月、新型コロナウイルス後遺症の専門外来を立ち上げた。

ながたクリニック・永田理希院長:
コロナにかかったというお話をするだけで、医療機関に断られるケースが非常に多い。もう1点は、患者さんが周囲の方に、自分がコロナにかかってこういう後遺症で悩んでいると周りに相談できないために、ずっと自分で抱えてしまって、(受診せずに)迷子になっている

今のところ、実際に訪れた患者はわずか10人足らず。
そこには、ある誤解があるという。

PCR検査‟陰性”は「感染していない」証明ではない

ながたクリニック・永田理希院長:
(PCR)検査で、コロナでないという陰性証明はできない

新型コロナウイルスに感染したかを判定するPCR検査。その感度は、約7割と言われている。
そのため永田医師は、検査でたとえ陰性でも「新型コロナに感染していない」という証明にはならないという。

ながたクリニック・永田理希院長:
今の熱の状況、せきの状況を、どう対応していいかわからないまま自宅で過ごさないといけない。そうすると、次、どこ(の病院)にかかればいいのか、どうなったら受診するべきなのか、患者が(受診せず)迷子になっている

検査で一度陰性でも、体調悪化の理由は新型コロナウイルスかもしれない。

ながたクリニック・永田理希院長:
(後遺症で)西洋医学で治療がない場合は、漢方診療で治療に協力させていただき、その経過をみながら、症状が楽になるか変わらないのか、カウンセリングしながら対応している。患者が迷子にならないように対応することが大事

ながたクリニック・永田理希院長
ながたクリニック・永田理希院長

現時点で特効薬はなく、軽症や無症状の患者でも長く続く、新型コロナウイルスの後遺症。
まずは、感染を防ぐことが何より大切だ。

(石川テレビ)

石川テレビ
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