いまだ出口が見えないコロナ禍。“かつての日常”を取り戻すため、各地でさまざまな独自の挑戦が始まっている。

桜の名所で「抗原検査付きバスツアー」

一目千本と称される日本有数の桜の名所、奈良県吉野町。花見の時期には例年2000台もの観光バスが来ていたが、コロナ禍の2020年は36台と激減。

吉野町 中井章太町長:
非常に大きくダメージを受けた。観光産業、感染予防対策と両輪を図るための何か手法を打ちたいなと。

そのために、この春始めたことがある。

吉野町への観光バスが出る大阪市内のバス乗り場。設置されたテントで行われていたのは、鼻から検体を採取し15分程で結果が出る「抗原検査」だ。

乗車前のツアー客と添乗員が検査し、陰性が確認された人だけで出発する。その名も「抗原検査付きバスツアー」。陽性の場合は、吉野町の職員が近くの病院へ送り届けるという。

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吉野町 中井章太町長:
(抗原検査の精度は)100%ではないけれども「やらないより、やる方がましやろ」というこの行動を起こさないと。

抗原検査のキットは、吉野町が国の交付金で購入していたものを活用。2020年は36台だった観光バスが、2021年は約240台まで戻ってきたという。

PCR検査より感度は低いものの、コストが安く短時間で行える抗原検査。この抗原検査をうまく活用するヒントは海外にもあった。

無料の抗原検査で「1日券」 外食や買い物が可能に

1日の感染者数が2万人を超え、全土でロックダウンが続いているドイツ。ところが、人口9万人ほどの町チュービンゲンでは…

男性:
ここは「普通の生活ができる希望の街」さ!

 “普通の生活”が可能になった理由を現地の留学生、奥山健人さんに伝えてもらった。

向かったのは、街角に設置された検査場。誰でも無料で抗原検査を受けられるという。配られたリストバンドのQRコードをスマホで読み取ると、陰性かどうかの結果が出る仕組みだ。

奥山健人さん:
(陰性の結果が出ることで)お店の中に安心して入ることができるようになったり、レストランやブティックなどもすごく安全に利用することができます。

これは3月から始まったという「1日券」プロジェクト。抗原検査で陰性なら、その日1日だけ有効な証明が出され、飲食店やデパートなどの利用が許されるという。

奥山健人さん:
友達と会ったり、お店に入ったりすることで、笑顔というか活気が戻っているような気がします。

ところが、予想外の出来事も…。実は3月以降、チュービンゲンの感染者数は増加したのだ。その要因について、このプロジェクトの広報担当者であるライムンド・ヴァイブレさんに話を聞いた。

ライムンド・ヴァイブレさん:                              この町が、磁石のように外から人を引きつけているんです。

外食や買い物ができると、他の町から人が殺到。彼らが抗原検査を受けることで、次々と無症状感染者が見つかっているというのだ。

ライムンド・ヴァイブレさん:
検査をすればするほど感染者があぶり出される。多くの検査を行うことは、パンデミックと戦う上で重要です。

このように無症状感染者を発見し、隔離することで、クラスターを抑止できる可能性があると考えているのだ。

独自の対策で日常を取り戻す…各地で試行錯誤が続いている。

(「Mr.サンデー」4月4日放送分より)