利用客を温かく見送る江川京子さん。
福島・西会津町にあるJR磐越西線・上野尻駅の駅員として20年間、列車を出迎えてきた。
それも2021年3月31日で最後。4月から無人駅となった。

列車の利用客:
やっぱり寂しい。だけど、しょうがないですよね、こればかりはね
上野尻駅の駅員・江川京子さん:
3月になった時点で、あと1カ月かという思いがあったんですけど、あっという間に31日。ひしひしと実感してきて、今朝はなんかちょっとなんとも言えない気持ちでしたね

地区の3人で守ってきた上野尻駅
上野尻駅は、27年前からJR東日本が福島・西会津町に駅の業務を委託。
上野尻地区に住む3人の女性が、曜日ごとに交代しながら乗車券の発券や駅舎の掃除などを請け負ってきた。

駅から列車に乗る人は、1日20人ほど。
新型コロナの影響で利用者がいない日もあり、無人化が決まった。
上野尻駅の駅員・江川京子さん:
(多くの乗客の)一コマ一コマに関わって見ていられるっていうのが、私はすごく好きでしたね。お盆に帰ってくる人たちを出迎える顔とか、送っていた後の寂しさとか。そういうのが共有できる部分とかがあって

有人駅として営業最終日の3月31日は、全国から鉄道ファンが訪れた。
上野尻駅で発券された切符が買えるのは最後。
中学生と小学生の兄弟は、東京からやってきた。
東京から来た兄弟:
切符を集めるのが趣味です

ーーどのくらい集めた?
東京から来た兄弟:
色んなところ行っているので、たぶん500枚くらいです
新潟から訪れた女性は、帰りの列車を4時間以上待たなければならないが、苦にはならない理由があるという。
新潟から訪れた女性:
窓口のおかあさんと話ししたりして(以前来た時も)ヒマをつぶしてたんですけど、次来た時にそういうのが無いってなると、ちょっとつまらないなっていうのが

「愛される駅」は変わらない
午後3時。
一緒に駅を支えてきた松倉文子さんと安部典子さんも集まると、住民から花束のサプライズプレゼント。

上野尻駅の駅員・江川京子さん:
入場券を買われる方がたくさん見えて、駅って愛されているんだなってすごく思いましたし、一生懸命対応できてお話もできて、悔いはないです。寂しいですけど

江川さん手づくりの感謝のメッセージを窓口に貼って、有人での業務を終えた。
数々の出会いと別れを見守ってきた我々駅員の心の中の思い出は、色褪せる事なく残っていくことと思います

無人駅になっても、おかあさんたちの功績が消えることはない。
(福島テレビ)