トイレットペーパー「クリネックス」「スコッティ」通常タイプの生産終了

多くの人に馴染みのあるトイレットペーパーの「クリネックス」や「スコッティ」。
これの通常の長さのタイプの生産が3月31日で終了した。4月1日からは長さが1.5倍以上の「長尺タイプ」のみの生産に切り替える。
日本製紙グループの日本製紙クレシア株式会社が3月30日に発表した。

(画像提供:日本製紙クレシア)
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長尺タイプは、通常タイプに比べてどれだけ長いのかというと…
例えば、「スコッティのフラワーパック ダブル」の場合。通常タイプは、1ロールの長さは25m。これが、1.5倍長持ちタイプなら1ロールの長さは37.5m、2倍長持ちタイプなら50m、3倍長持ちタイプなら75mとなる。

要するに、通常タイプ12ロール分は25m×12ロール=300m、3倍長持ちタイプ4ロール分は、75m×4ロール=300m。どちらも同じ長さとなる。

左:スコッティ フラワーパック 通常タイプ12ロール。右:スコッティ フラワーパック 3倍長持ち 4ロール(画像提供:日本製紙クレシア)

長尺タイプは、我々、消費者にとっては、ロールを換える手間を少なくすることができ、収納スペースの削減にもなって大変便利だ。ただ、理由はそれだけではなく、消費者以外に3つの立場でメリットがあるという。

通常タイプにもまだ需要があると思える中、なぜ今回、通常タイプを終了し、長持ちタイプのみの生産を決断したのか?日本製紙クレシアの担当者に詳しく話を聞いてみた。

コロナ禍で「長尺タイプ」に需要

――そもそも長尺タイプの人気は高まっている?

トイレットロールの市場全体は、ほぼ横ばいの動向ですが、長持ちロール(通常ロールと比較して1.5倍巻、2倍巻、3倍巻)などのカテゴリーは毎年右肩上がりに伸長しています。

コロナ禍の影響で考えられるとすると、ご自宅で過ごす時間が増えたことでトイレットロールの取り替えなどのちょっとした家事にストレスを感じる方が増加し、交換回数の少ない長持ちロールの人気が高まっていることが考えられます。更に、政府が推奨している少人数で短時間での買い物においても、長持ちロールはコンパクトで買い物の邪魔にならないなど様々なメリットを感じていただき人気が高まっていると思います。


――一方で、通常タイプのほうの人気は下がっている?

通常タイプの人気が下がっているということではありませんが、長持ちロールをみなさまにお伝えし、長持ちロールをお使いいただけるように注力してまいります。一度ご使用いただくと、そのベネフィットを実感されて通常タイプにもどらずにリピート購入されている表れと考えています。


――通常タイプのほうの需要もまだまだありそうに思われるが?

まだまだトイレットロール市場の多くの商品が通常の長さの12ロールタイプで占められていることは事実です。また、消費者の方もトイレットロールは直方体の12ロールであると認識されている方が多くいらっしゃるかと思います。

当社が販売している「クリネックス」や「スコッティ」の1.5倍巻き(8ロールで12ロール分の長さ)のトイレットロールはサイコロ型であり、今後消費者の方の図形認識を変え、サイコロ型が新しいトイレットロール形であることを伝えていくことが当社の課題だと思っております。

消費者、販売店、メーカー、環境の「四方良し」

――なぜ通常タイプの生産を終了することにした?

消費者、販売店、メーカーすべてにおいて「良い」ことに加えて、SDGsの観点からも、地球へのやさしさもプラスしている「四方良し」が長持ちロールの最大の特長だからです。

・消費者→持ち帰りやすい。収納スペースの削減。取り替え手間の低減。
・販売店→売場・在庫スペース節減。品出し回数の低減。
・メーカー→生産・出荷効率向上による経費節減。
・環境→輸送効率の向上によるCO2排出量削減。


一般社団法人サステナブル経営推進機構による輸送に係る算定結果によると「スコッティ フラワーパック 3倍長持ちロール」は輸送に係る CO2排出量を従来品よりも約41%削減することができます。

一般社団法人サステナブル経営推進機構による輸送に係る算定結果(画像提供:日本製紙クレシア)

また、輸送の面で言えば、eコマースの普及により、配送品の量の劇的な増加と、配送料金の高騰の問題もある上、ドライバーの不足や高齢化が加速しています。このような背景の中、特に家庭紙業界ではドライバー自らが手積み、手降ろし作業をしており重労働が問題となっています。また、これまでのトイレットロールは、物流の観点からはロスの多い設計であり「家庭紙は空気を運ぶようなもの」とも言われています。

そこで、当社はこのような物流課題を解決する商品づくりに取り組んでまいりました。
「長持ちロール」はパッケージがコンパクトになることで、多積載による輸送時の積載性の向上により物流コストを削減することができます。

1.5倍長持ちロールは通常の製品を同じメーター数で8ロールに凝縮した製品となります。製品サイズは約2/3になることで、1台のトラックに12ロール時は485ケース(3,880パック)を積載していたところ、8ロールでは525ケース(4,200パック)の積載が可能となります。
これと同時に包装資源の減少、輸送にかかる CO2排出量の削減など、地球環境の改善にも貢献できます。
 

――長尺タイプは価格面では、通常タイプと比べお得か?

1パック当たりの長さは同じなので、(持っていただくと嵩はコンパクトなんですが重さはほぼ同じです)お値段はほぼ同じです。


――通常タイプを希望する声が高まった場合、復活は考えられる?

現在、通常タイプの復活は考えていません。長持ちロールは、みなさんにとって非常に多くのメリットがあるすぐれた商品と考えております。一度、お使いいただきたいと切に願っております。

 

コロナ禍で在宅時間の増加や、外出自粛なども需要の変化をもたらしたようだが、「長尺ロール」のみの生産にするという今回の決断の背景には物流の課題の解決もあった。