各社、アルコール量をグラム表記に

外出自粛などが続き、家飲みする機会が増えた人もいるかもしれない。自宅だから、ついつい飲みすぎてしまった…なんてこともあるのではないだろうか。

そのような中、大手酒類メーカー各社が、缶ビールなどに含まれるアルコールの量(純アルコール量)を「グラム」で表示する取り組みを始める。アサヒビールでは、3月30日から順次、ホームページでアルコールのグラム量を表示する。6月までに主要商品のすべての目安を示す予定だ。

純アルコールグラム量 HP開示イメージ(画像提供:アサヒビール)
純アルコールグラム量 HP開示イメージ(画像提供:アサヒビール)
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例えば、スーパードライ350mlの純アルコール量は14グラム、500mlの場合は20グラムとなる。

ちなみに、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動で定義する、生活習慣病のリスクを高める純アルコール摂取量は1日平均で、男性は40グラム以上、女性は20グラム以上だ。スーパードライ350mlの場合、3本飲めば42グラムとなり、男性の基準となる40グラムを超えてしまう。

この動きはアサヒビールだけに限ったものではない。サントリーやサッポロビールでも、年内にはウェブサイト上で、アルコール量のグラムを表示する予定だ。またキリンでは、2024年までに、ビール類や酎ハイ類の缶自体に、アルコール量のグラム表示をするという。

たしかに、これまでのように全体の容量に占めるアルコールの割合を度数で記載するよりも、グラムで表記されたほうが、自分で計算しなくて済むことから、摂取量が分かりやすくなることだろう。

しかし、なぜ今、酒類メーカーはグラム表記することにしたのか? また、コロナ禍で自宅でお酒を飲む量は増えたのか?

3月30日からHPでグラム量の開示を始めるアサヒビールの担当者に詳しく話を聞いてみた。

飲む人も飲まない人も尊重し合える社会の実現

――なぜ、アルコールの量を「グラム単位」で表示することにした?

アサヒビールは、「アサヒグループ サステナビリティビジョン」で定めたマテリアリティの1つである「責任ある飲酒」を推進し、飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指すため、「スマートドリンキング(飲み方の多様性)」を提唱しています。

「スマートドリンキング」とは、お酒を飲む人・飲まない人、飲める人・飲めない人、飲みたい時・飲めない時、あえて飲まない時など、さまざまな人々の状況や場面における“飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現するために商品やサービスの開発、環境づくりを推進していくことです。

この「スマートドリンキング」の考え方のもと、アサヒビールが国内で販売する主なアルコール商品に含まれる純アルコールグラム量を、HPにて開示し、お客様ご自身に適したアルコール商品を選択いただける環境整備を進めます。


――そもそもアルコール量はどう計算する?

計算式は以下の通りです。

酒の量(ml)× アルコール度数 × アルコールの比重 = 純アルコール量(g)

(参考)350mlのアルコール度数5%ビールの純アルコール量の算出方法
 350(ml)× 0.05 × 0.8 = 14(g)


――では、酒の種類別のアルコールのグラム量を教えて。

大まかな目安は以下の通りです。

・ビール500ml/アルコール度数(5%):20g
・日本酒180ml/アルコール度数(15%):21.6g
・ウイスキー60ml/アルコール度数(43%):20.6g
・ワイン200ml/アルコール度数(12%):19.2g
・チューハイ350ml/アルコール度数(7%):19.6g
・焼酎100ml/アルコール度数(25%):20g

(画像提供:アサヒビール)
(画像提供:アサヒビール)

コロナで自宅でお酒を飲む量は増えた?

――今後、瓶や缶へのグラム表記も考えている?

HP以外の実際の商品への表記などその他の手法についても現在検討中です。


――コロナでお酒を飲む量が増えたということは聞く?

コロナによる巣篭り需要の高まりで家飲みの機会が増えたというように認識しています。


――最後に、コロナ禍での自宅での酒の付き合い方についてアドバイスがほしい。

世の中には様々なお酒の商品がありますが、お客様それぞれの状況や場面に合った商品を多様にお楽しみいただくことで日々の生活に喜びや潤いがもたらされるものと考えています。

アサヒビールは3月末にアルコール度数0.5%の微かにアルコールを含んだ商品「ビアリー」を発売し、例えば読書や映画・旅行などお客様それぞれの心地よい時間に“微アルコール”という新たな選択肢を提案していきます。

このように新たにご提案する選択肢含め、自分に合ったお酒を選んで多様にお楽しみいただければと考えます。

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グラム表記になることで、これまでよりも自分が摂取したアルコール量が把握しやすくなりそうだ。様々な酒類が発売される中、特に家飲みの場合などは、適正な飲酒の目安としてほしい。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。