南青山に児童相談所などの複合施設が開設

東京・港区の南青山に建設予定だった、児童相談所などの複合施設をめぐる問題を覚えているだろうか?

2018年、一部の地元住民から反対意見が出て、複数回の住民説明会が開かれるなど、当時、大きな話題となった。

同年12月14日に開かれた6回目の住民説明会で、ある参加者は、子どもを南青山にある“名門公立小学校”に入れるために大きな投資をしたと話したうえで、児童相談所が保護する子どもたちがこの学校に通う際、金銭面などで「とてもつらい思いをされるのではないか」などと反対していた。

(参考記事:「南青山は自分で稼いで住むべき土地」 児相建設に住民反発!揺れる港区

それから2年…。この複合施設が4月1日に開設する。施設の名前は「港区子ども家庭総合支援センター」

子育て中の人を支援する「子ども家庭支援センター」、専門性の高い職員が児童虐待や非行などの問題への対応を行う「児童相談所」、子どもの養育に支援が必要な母子が入所する「母子生活支援施設」という3つの施設による複合施設だ。

話題となってから2年超というタイミングだが、住民との話し合いを経て、4月1日の開設は予定通りなのか?また、開設後、どのような役割を果たしていく場所となるのか?

港区・子ども家庭支援部の保志幸子課長に話を聞いた。

4月1日の開設は予定通り

――開設の4月1日は当初の予定通り?

予定通りです。当初から2021年4月1日の開設は決定しておりましたので、粛々と準備を進めております。


――2018年には一部の住民が反対するなど大きな話題となった。これまでに住民の方々から、どのぐらいの意見が寄せられていた?

2年前時点で、延べ1600に及ぶ意見をいただきました。その内容は、賛成、反対だけに分けることはできないもので、相談対応についてのご意見、土地購入についてのご意見、児童相談所への期待、福祉全般についてのご意見など、多岐にわたるものでした。

保育園や学校のように、すべての皆さんに身近な施設ではなかったことで、ご不安に思われたり、心配されたりした方もいらしたと思います。

できるだけ丁寧に、説明会に限らず、広報やリーフレット、港区ホームページ、区民向け講演会などで説明してまいりました。

その後、私たち職員が参加する区内のイベントや研修、学会などでも多くの応援をいただきました。ただ、これらの意見はカウントしておりません。区民向けの勉強会などは、今後も継続して実施していく予定です。

港区子ども家庭総合支援センター
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「港区子ども家庭総合支援センター」が目指す役割

――開設する「港区子ども家庭総合支援センター」はどのような施設?

港区子ども家庭総合支援センターは、子育て中の人を支援する「子ども家庭支援センター」、専門性の高い職員が児童虐待や非行などの問題への対応を行う「児童相談所」、子どもの養育に支援が必要な母子が入所する「母子生活支援施設」という3つの施設の複合施設として開設します。

3つの施設が持つ機能と専門性を互いに活用し、妊娠期から子育て期、思春期、児童の自立まで、切れ目なく支援することを目指しています。

また、地域の保育園、幼稚園、学校、児童発達支援センター、医療機関、警察などの関係機関と連携し、子どもと家庭のニーズに応じて、きめ細かな支援を行っていきます。


――「港区子ども家庭総合支援センター」を、どのような役割を果たす施設にしていきたい? 

地元に限らず、港区のすべての子どもと家庭のために貢献していきます。各施設の機能を果たしていく中で掘り起こされた課題について、行政だけでなく、区民やNPO、民間団体と共に支援の輪を広げていくことが必要であると考えています。

港区児童相談所の開設にあたって募集した、子どもと家庭を支える有償ボランティア「みなとハートフレンド」には、募集数を超える応募がありました。

子どもと家庭の力になりたいという方の熱意がこの事業によって支援につながっていきます。子ども家庭総合支援センターは、子どもと家庭のための幅広い連帯を生み出し、より広範で、多様な支援を実現していくことを目指してまいります。

港区子ども家庭総合支援センター

児童虐待の相談受理数は増加傾向

――では、コロナ禍で港区の児童虐待の件数に変化は?

今年度の児童虐待の相談受理数の統計はまだ公表しておりませんが、昨年度と比べて増加傾向とのことです。東京都においても増加しているとのことですが、近年、一貫して増加傾向となっておりますので、コロナ禍であることとの関連性を、現時点で私が述べることはできません。

家族の状況が見えにくい状況であることは間違いないので、虐待に限らす、外でのびのびと遊ぶことができない日常が、子どもの心身にどのような影響を及ぼしているかについてなど、今後とも、関係機関と連携して、実態を捉え、対応していく必要があると考えております。

港区子ども家庭総合支援センター

一部の地元住民による反対と複数回にわたる住民説明会を経て、いよいよ4月1日に開設する「港区子ども家庭総合支援センター」。児童虐待の相談受理数が増加傾向にある中、子どもと家庭を支える役割を担うことを期待したい。

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