特集は、森の恵みです。カエデの樹液から作られる「メープルシロップ」。カナダ産が有名ですが、信州産も負けていません。長野県小谷村で、人気のメープルシロップツアーを取材しました。
黄金色に輝くシロップ。パンケーキとの相性も抜群。長野県小谷村産の「メープルシロップ」です。
雪が残る森を歩く一行。自然体験などに取り組む「おたり自然学校」が2018年から開催しているメープルシロップの手作り体験ツアーです。
今シーズンは始まって半月ほどですが、すでに60人ほどが体験。この日は2組の家族が参加しました。
おたり自然学校・大日方冬樹さん:
「山の恵みというものも自然豊かな小谷村の財産の一つだと思っているので、地域の良さとして発信したくてこういったツアーを企画している」
一行が向かったのは…。
参加者:
「あったー!」
カエデの木です。こちらは「イタヤカエデ」という種類で、幹には専用のホースが打ち込んであり、下のタンクに樹液がたまるようになっています。この透明な樹液がメープルシロップになります。
おたり自然学校・大日方冬樹さん:
「この樹液、飲んでみたい人?」
味見をした参加者:
「苦い…」
記者も味見をしました。
(記者リポート)
「水に木の風味が加わったみたいな感じです。甘さはほとんど感じないです」
樹液自体は甘くありませんでしたが、実は糖分をわずかに含んでいます。冬場に水が凍ると膨張して幹が割れてしまうため、カエデはでんぷんを糖に変えて内部の水を「不凍液」のような状態にします。
春が近づくと、葉を生やすために水を吸い上げる量が増えるため、この時期だけ糖分を含んだ樹液が大量に採取できるのです。
おたり自然学校・大日方冬樹さん:
「厳しい冬から自分の身を守るための知恵。そんな大地の恵みを少しお裾分けをいただいているというツアーになるので、ぜひこのあともたっぷり味わってもらえれば」
参加者は水筒に樹液を入れて、おたり自然学校が運営する古民家施設に持ち帰りました。
いよいよシロップ作りです。鍋に樹液を入れて火にかけ、水分を飛ばしながら糖度を上げていきます。
参加者:
「あ、甘くなってきた。おいしい」
煮詰めること30分。400ミリリットルの樹液からとれるシロップは、小皿一杯分もありません。
参加者:
「超少ない…」
おたり自然学校・大日方冬樹さん:
「総量に対して大体60分の1になっちゃう」
手作りメープルシロップの味は…。
参加者:
「あまい!」
「あ!おいしいね」
お待ちかねのおやつの時間。この日、作ったシロップだけでは足りないため、おたり自然学校で用意したシロップもかけてパンケーキを食べました。
参加者:
「うまっ!」
「思ったよりも甘かった」
「甘すぎずまろやか、優しい甘さを感じた」
「最初あっさりしていたのが、煮詰めることでここまで甘くなるのかと感じましたし、本当に採るの大変なんだなと感じました」
春の訪れを告げる森の恵み。ツアーは4月4日まで毎日開催していて、おたり自然学校のホームページから予約できます。
おたり自然学校・大日方冬樹さん:
「便利な世の中になってきて何でも買えちゃう時代だけど、自分で何かを自給してみる、そういうたくましい暮らしがまだ山村に残っているということも知ってもらえたら」