生花店で桜の枝を購入し、自宅で桜を楽しむ

3月14日に、気象庁は東京で桜の開花を発表した。統計開始以来、最も早かった2020年と同じで、平年よりも12日早いという。
そして、日本気象協会が発表した「桜満開予想日」を見てみると、東京都心では、3月22日にも満開を迎えそうだ。

しかし、今年はコロナの影響で、自治体の中には花見の自粛を呼びかける所もある。そうした中、生花店で「桜の枝」を購入し、自宅で桜を楽しむ人が増えているという。

青山フラワーマーケット おうちで花見コーナー(画像提供:青山フラワーマーケット)
青山フラワーマーケット おうちで花見コーナー(画像提供:青山フラワーマーケット)
この記事の画像(7枚)

青山フラワーマーケットの担当者によると、
この1年で花のある暮らしを始めた方が多いので、1月からずっと桜は人気です。1月から3月までの桜の取扱い本数も120%と増えています。」と話している。

実際、青山フラワーマーケットの店舗では、この時期は、啓翁桜、ひより桜、彼岸桜を主に販売しており、他にもピンクの色味が濃い陽光桜や八重桜なども販売している。(※品揃えは店舗によって異なる)
販売価格は時価になるものの、60cm程度の長さは300円~500円、1m超えるものは1,000円前後が平均価格だという。

※啓翁桜(画像提供:青山フラワーマーケット)
※啓翁桜(画像提供:青山フラワーマーケット)

それでは、具体的にどんな人がどのようにおうちで桜を楽しんでいるのか?
青山フラワーマーケットの担当者に詳しく話を聞いてみた。

コロナ禍で、室内で桜を楽しむことが広がる

――そもそも桜はいつから販売している?

冬の時期から咲く桜としられる啓翁桜は12月頃から出回ります。3月は一番品種が多く出回り、3月後半には八重桜などが楽しめます。


――そもそも桜を枝で売るというのは、生花店では毎年行っているもの?

はい。青山フラワーマーケットでは、枝物の販売には力を入れておりましたので、桜は毎年必ず販売しています。それでも、以前はまだまだ桜が花屋で購入できることは知られていませんでした。コロナ禍をきっかけに、室内で桜を楽しめることが少しずつ広がり、この1年で花のある暮らしを始めた方も多くおられることが影響し、1月から継続して桜は人気です。

今では、男性が2mほどの桜をさらりと買っていかれたり、カップルで一緒にどの桜にしようか選んでいる様子をみると、気軽に選ぶ花となった実感が持てて嬉しく思います。

大体1週間程度は楽しめる

――どんなものが人気?

花芽がよく付いて、枝振りがよい桜が人気です。
また、鉢物の旭山もギフト、ご自宅用に人気です。八重桜のふわっとボリュームのある咲き姿が特長です。こちらは苔玉、陶器鉢に植わったものなど、店舗により取り扱うスタイルは様々になります。

鉢物の旭山(画像提供:青山フラワーマーケット)
鉢物の旭山(画像提供:青山フラワーマーケット)
旭山 開花した状態(画像提供:青山フラワーマーケット)
旭山 開花した状態(画像提供:青山フラワーマーケット)

――買った後、花はどれくらい持つ?

飾る環境によりますが大体1週間程度は楽しめます。
乾燥に弱いので、エアコンのそばや直射日光を避け、なるべく涼しい場所に置くとより長く楽しめます。

オンライン会議で室内に桜を飾る人も

――どんな人が、どんな目的で買う?

老若男女、本当に幅広い方が買われます。
若い方で多いのは、リモートワークでお家時間が長くなったので、室内に花を飾りたいという方。季節を花から感じとることができ、花から元気をもらえるという声が多いです。また、オンライン会議で、後ろに花や緑を置いていた人がとても素敵だったので、自分もやってみたくて。という方もおられます。

30代40代の方は、お子さまがまだ小さく、ゆっくり外でお花見も難しいため、家で桜を楽しみながらお酒でも飲もうかと思うという方や、お子さま自身が桜が好きで家族で一緒に買いに来た。という方もいます。
50代、60代の方は、すでに季節の味わい方をご存知だったりするので、これまでと変わらず季節の枝物として桜を購入される方が多い印象です。

現在、南青山本店で扱っている希少品種の湖上の舞は1本なんと10,000円!富士山近隣で発見された野生種の豆桜で、大分県の生産者さんが出荷されたものです。週末に2本売れました。1本は外国人の方が、もう1本はご自宅用ブーケとして購入されました。


――桜はいつまで販売する予定?

今年は暖かかったので、例年とは異なるかもしれません。
基本的には3月27日の桜の日までは取扱いがある予定です。

生花店もう1社にも聞いてみた

そして、もう1社、今年1月から桜の切り枝を販売している日比谷花壇ではどうなのか?
日比谷花壇の担当者に話を聞いてみた。

※Hibiya-Kadan Style 新橋駅店(画像提供:日比谷花壇)
※Hibiya-Kadan Style 新橋駅店(画像提供:日比谷花壇)

――店ではどんな桜を販売している?

啓翁桜、東海桜、ひより桜、吉野桜など、店頭販売している桜の切り枝の種類は、時期によって異なります。短い桜の切り枝では、税込330円から販売しており、テーブルに飾りやすい“桜のブーケ”税込660円も人気です。桜の切り枝では、つぼみから開花までを楽しめます。
 

桜のブーケ(画像提供:日比谷花壇)
桜のブーケ(画像提供:日比谷花壇)

――買った後、花はどれくらい持つ?

長持ちさせるには、なるべく涼しい場所に置き、直射日光と、エアコンやストーブなどの温風を避けるようにしてください。枝の切り口にハサミで縦の割れ目を入れて、水を吸いやすくしてください。太い枝は十文字に割れ目を入れると良いでしょう。

コロナ禍で桜に限らず、自宅用の花が人気

――どんな人が買っている?

年代もさまざまで、ご自宅に飾る、店舗に飾る、プレゼント用などの目的で購入されています。

――実際、売り上げはコロナ前と比べてどうか?

桜の枝も増えていますが、桜に限らず、ご自宅用のお花の販売は大きく増えております。


――桜はいつまで販売する予定?

3月下旬までの予定ですが、人気のため、店頭でみかけていただきましたら、その場でご購入いただくことをおすすめしております。
 

首都圏の1都3県の緊急事態宣言は3月21日に解除されたものの、人出の多い花見スポットに足を運ぶのはできれば避けたい。それでも桜が見たい人のために、生花店で桜の枝を購入しておうちで楽しむというのはコロナ禍での1つの方法かもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。