東南アジアの巨大市場に挑む日本のディスカウントストア。
“ドンキ流”の新戦略で顧客の獲得を狙う。

マレーシアに“ドンキ”

海野麻実記者:
マレーシアの首都クアラルンプールの中心部ですが、ショッピングモールの前に長い行列ができています。

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ショッピングモールの中にも伸びる長い列。
その先にあるのは...。

マレーシアの首都クアラルンプール中心部に19日、オープンしたドン・キホーテの専門店「JONETZ by DON DON DONKI Lot10ストア」。

オープン前日、招待客を招いて行われた内覧会。
おなじみの曲が流れる店内は、お菓子やコスメ、靴下など、まるで日本の品ぞろえ。

日本からの食材も豊富で、みずみずしいネギやニンジンなどの新鮮な野菜に、豊洲市場直送の本マグロなどのお刺し身まで。
鮮度を保って直送された日本の魚も並ぶ。

内覧会に訪れた人:
お餅を買った。あとは靴下も。これはバスマット

マレーシア店舗の大きな特徴

これまでシンガポールやタイなど、東南アジアへの出店を次々と進めてきた“ドンキ”。
今回のマレーシアの店舗には、ある大きな特徴がある。

海野麻実記者:
こちらは和牛のコーナーです。
すごいずらりとサシの入った和牛が売られていますけど、イスラム教徒の方むけにハラール認証がとられてますよ、という張り紙が貼られています。

イスラム教徒が人口のおよそ6割を占めるマレーシア。
今回、出店にあたり、豚由来の成分やアルコールが含まれない商品、そして、イスラム法で合法とされる「ハラール認証」を受けた商品を強化した。

内覧会に訪れた人:
「気に入りました。ムスリムは(ハラールでない肉は)食べられないので」
「これはハラールのマークですね。これなら買って食べられる」
「何か食べたいと思ったときはここに来て買えばいい」

PPIH・福田貴史営業本部長:
マレーシアはシンガポールに次いで、アジアの経済において次のハブとなり得る国。
日本人の在住の方もすごく多く、弊社のブランドがすごくマッチするということで出店を決めた

海外事業を加速させる“ドンキ”。
マレーシアでは次のオープンも予定しており、今後、イスラム圏での事業拡大の足掛かりとしたい考えだ。

鍵は「ユニークさ」

内田嶺衣奈キャスター:
今回のマレーシアをはじめ東南アジアで日本製のものが受け入れられるには、どういったことがポイントになってくるのでしょうか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
日本製というと品質の良さが売りですけれども、東南アジアにおいては品質だけではなくて、価格をいかに安く抑えるか。
この両立が課題なのです。

これを両立させる上で鍵を握るのが「ユニークさをどう打ち出せるか」がポイントなのです。

実際私どものグループで現地で働いているメンバーから話を聞きますと、ユニークさを打ち出してうまくいっている日本の例。
焼き芋というのは1つの例なのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
先ほど出てきたドンキホーテのシンガポールに進出する際に、焼き芋を売り出したところ大ヒットして長蛇の列ができて話題になったのです。
実演することの面白さだとか、食べてみると日本のさつまいもは甘くて美味しいということで一気に火がついた。
こんなエピソードがあるのですけれども、焼き芋のように日本にいると身近で当たり前であまりユニークさは感じないけれども、現地の感覚からすると面白くユニーク。
こういったユニークさというアンテナを立てることが、これから有効になってくると思いますね。

内田嶺衣奈キャスター:
なるほどそういった面があるんですね。
一方でVTRにもありましたけれども、ハラールに対応していくためにはどのようにしていけばいいのでしょうか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
ハラール市場は、世界では2025年に1000兆円、日本のGDPの2倍ぐらいの規模に膨らむと言われているのですが、そこに参入する上では、ハラールの認証をいかに取得するか、これが絶対条件です。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
日本の食品メーカーは認証済みのところはまだ1割で、基本はインバウンド中心で輸出のアウトバウンドはまだまだこれからなので、逆に言えば成長の余地がたくさんあるというふうにも言えるのです。
ただ認証取得においては、ハラール専用の工場とか流通を作らなければいけないので、一企業にとってはかなり投資が大変なことなので、この先は政府がその投資のコストを助成するとか、専門に請け負うような民間企業同士をマッチングさせていく。
こう強化することによって、ハラール認証を取得しやすくする後押しをする。
それによってハラール市場の成長を日本の輸入輸出に取り込んでいく、この辺の取り組みが期待されると思っています。

内田嶺衣奈キャスター:
日本の商品が海外の方にも愛されているというのは、見ていて嬉しい気持ちになりました。
何が海外で受け入れられるのか?
アンテナを張っていくことも求められますし、それぞれの国の文化に合わせてどう日常に溶け込んでいくか。
第2の焼き芋のような商品が今後生まれていくのが非常に楽しみです。

(「Live News α」 3月19日放送分)