“最も深刻” レベルを維持

「感染の再拡大の危険性が高いと思われる。花見、歓送迎会や卒業旅行等の行事により、例年通りの人の流れが増加すれば、年末年始を超える感染の急激な拡大も危惧される」

1都3県の緊急事態宣言が3月21日に解除されることとなる中、18日の東京都のモニタリング会議では、感染状況・医療提供体制ともに最も深刻なレベルに据え置いた。

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7日間平均も感染拡大を示す100%超え

感染状況については、新規感染者数の7日間平均が前回の262人から293人に増え、増加比も96%から112%に上昇し、感染拡大を示す100%を超えた。

第2波の時は、新規陽性者数がピーク時の346人から十分に減少せず、約150~200人の間で増減を繰り返した後、急激に感染が再拡大して第3波を迎えたとし、今回は250人以上で推移しており、第3波を超えるような経過をたどらないよう十分な警戒が必要、とも指摘された。

第3波超えも? “第4波”防げるか

「発射台が高い」

ある幹部は、今後の“第4波”が第3波より高くなる事への強い懸念を示した。

もともと、都は緊急事態宣言の期限となる21日に「1日の感染者数を140人程度に」という目安を掲げていたが、都庁内では、感染者数を200人前後にできれば第4波が来るとしても時間が稼げるし、その間にワクチン接種を進めたい、という考えもあった。

しかし、今のように1日の感染者数が300人前後、多い時には400人を超えてしまうと、“第4派”がどこまで高くなるのか。

職場感染増加…会食時の対策徹底を

感染経路別では、今週も家庭内感染が44.1%と最も多く、次に施設内感染36.7%と傾向は変わっていない。しかし、職場が6.5%から8.0%に増加、会食も約4%で推移している。

「休み時間は楽しい時間ではあるけれども、ついついマスクを外したまま長い間会話をして、ということが起こりかねないところ」

国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、昼食後の団らんや業務中の休憩時間でもマスクの取り外しは最小限に、会食中に会話する時はマスクを着用するとともに、人数は同居家族以外ではいつも近くにいる4人までとする、他のグループとのテーブルの距離を1~2m以上確保することなどを改めて求めた。

国立国際医療研究センター 大曲貴夫国際感染症センター長
国立国際医療研究センター 大曲貴夫国際感染症センター長

変異株の感染再拡大には対応できなくなる危険性

「通常の医療が大きく制限されていると思われる」

「現在の医療提供体制の状況では、変異株による急激な感染再拡大には対応できなくなる危険性がある」

全療養者数は、10日時点の2651人から17日時点で2797人と高い値で横ばいとなっている。

医療提供体制についても感染の再拡大を想定し、「病床、宿泊療養、自宅療養の体制確保について早急に検討する必要がある」と指摘した。

ダンスの時間が来たわけではない

「決してダンスの時間が来たわけではない」

こう強調した小池知事。「ハンマー&ダンス」は、第1波の頃から関係者の間で頻繁に使われた言葉だ。

感染が急拡大し、休業要請や外出自粛などの制限を行わざるを得ない時期を「ハンマー」、制限を緩和し、経済の回復と感染拡大防止のバランスをとる時期を「ダンス」という。

小池知事は宣言が解除されるけれど「ダンス」=対策を緩和している場合ではない、対策はむしろこれまで以上に行ってほしい、という思いなのだろう。

解除されてもダンスではなくハンマー、こういった気持ちでこれまで以上に自分でできる感染対策を行うしかないのだろう。

(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。