シリーズ東日本大震災。今回は「未来へつなぐ」がテーマ。
津波で家族4人を失った、宮城・名取市閖上の男性。語り部として活動する男性は10年を経て「経験を話すことが家族からもらった宿題」と考えるようになったという。

津波で家族を失った自衛官が伝える「命の大切さ」

語り部として震災の経験を話す、陸上自衛官の佐々木清和さん(54)。

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佐々木清和さん(54):
私が住んでいた、この名取市閖上地区には、地震発生から1時間6分後の午後3時52分に、9メートルを超える津波が来ました

名取市閖上地区で津波の犠牲となったのは754人。その中には、佐々木さんの妻・りつ子さん(当時42)と一人娘の和海さん(当時14)、同居していたりつ子さんの両親の4人が含まれていた。

震災の4年後から、語り部として自らの経験を話してきた佐々木さん。「言葉だけでなく五感で感じてほしい」と、いつも和海さんが当時着ていた服を見てもらうようにしている。

佐々木清和さん(54):
こっちの服はあまり傷みが無いんですけど、こっちはがれきが当たったのか、所々ほころびてます

全国各地で語り部をしてきた佐々木さん。一貫して伝えてきたのは「命の大切さ」。

佐々木清和さん(54):
大事な人のために、自分の身をしっかり守って、生きたくても生きられなかった人の分も生きて、あとで後悔しないよう一日一日を大事にしてください

経験を伝え続けるのは、家族からの宿題 

佐々木さんは現在、宮城・多賀城市の自衛隊の官舎で1人暮らしをしている。自らの経験を伝え続ける理由を、こう話してくれた。

佐々木清和さん(54):
妻と子供がいた証と、命と日常の大切さを伝えようと思ったので話しています

仕事の傍ら、続けてきた語り部活動が評価され、2016年には「国民の自衛官」として表彰を受けた。
かわいそうな人の話として聞いてもらえればいい。最初はそう考えていた佐々木さんも、次第に経験を伝える意味を考えるようになったという。

佐々木清和さん(54):
彼女たちが私に対して、自分たちを犠牲にして「命ってなんだ?お前が教育しろ」と、そういう宿題を私はもらったんじゃないかと

語り部を続ける覚悟を決めた佐々木さん。いつも家族が見守ってくれているように感じている。

佐々木清和さん(54):
目に見えないだけだから、耳に聞こえないだけだから。多分その辺にいるよ、「また余計なこと言って」って

聖火リレーのランナーとして伝えたいこと

佐々木さんは2021年夏、閖上を通る聖火リレーのランナーに選ばれた。
震災直後は塞ぎ込み、酒に頼る日々もあったというが、たくさんの人に支えられ、前を向くことができたと感じている。佐々木さんはランナーとして「命の大切さ」のほかに、もう一つ伝えたいことがある。

佐々木清和さん(54):
震災のときから、私自身もいろんな人から助けられ支えられています。ですから、人との「つながり」というのがすごい大事なのかなと。生きていく上で。そういうのも含めて、リレーというか、すごい大事なのかなと

命とささやかな日常の大切さを伝えていく

2021年3月7日。この日も閖上には、震災の経験を語る佐々木さんの姿があった。

佐々木清和さん(54):
大事な人のために、自分の命は自分で守って、生きたくても生きられなかった人の分も命を大切にして、あとで後悔しないよう一日一日を大事にしてください

福岡県から来た男性:
自分が震災を体験したわけではないけど、きょう聞いた話を自分を通して、人に語り継ぐことはできるのかなと思うので、九州に帰って友人や家族に話をしたいなと思いました

「3・2・1・届け!」

2021年3月11日、佐々木さんは、次のようなメッセージを書いた風船を飛ばしました。

りつ子、和海、2人が生きた証を残す。命とささやかな日常の大切さを伝えていくよ

佐々木清和さん(54):
語り部として、やれる限りはやっていくつもりという気持ちを込めて飛ばしました

これからも、家族とともに命の大切さを伝え続ける。

(仙台放送)