新たな地域とのつながり

長く生活したからこそ気が付くその地域の魅力。
新たな地域とのつながりを生み出すサブスクサービスが目指す地方創生の未来を取材した。

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岐阜・高山市にあるレンコン栽培場。
地元の人が収穫作業をしていると思いきや...。

尾形文さん:
ここに関係がある方とつながれる感じは、普通の旅行とは違う。

岐阜・高山市にある大きな屋根の古民家。
これは“渡り鳥ハウス”と呼ばれている、空き家を借り上げたもの。

全国各地の優良な住宅を借り上げ、利用者に貸し出すサブスクリプションサービス「wataridori」。

会員は、全国にある渡り鳥ハウスを、1回につき1週間から1カ月単位で利用することができ、好きなときに好きな場所で生活をすることができる。

今回、東京から高山の渡り鳥ハウスを利用しに来た尾形将行さん(40代)。
子どもも連れて、家族全員での利用だ。

尾形さん:
向こうでいろりとか火を付けているが、いろいろ行き来しながら仕事できるのは良い。

地元独自の魅力体験メニュー

テレワークやワーケーションが普及し、30代から40代の問い合わせが増加しているというこのサービス。

最大の特徴は、地域に根差した体験メニューを考案するアンバサダー、そして、現地でサポートをしてくれるコンシェルジュが存在すること。

全国渡り鳥生活倶楽部・牧野知弘代表取締役:
渡り鳥ハウスを通じて新しい地域おこしをやっていきたい。
地域ごとに、地域渡り鳥というプラットホームを作っていて、このプラットホームに行くと、地元独自の色んな楽しめるメニューを用意しています。

今回、高山のアンバサダーとコンシェルジュを担当するのは、金住則行さんと櫻井睦子さんの2人。

利用者に、高山の大自然に触れてもらおうと、レンコン栽培の体験メニューを考案した。

岐阜・高山市エリアの櫻井睦子コンシェルジュ:
最初は観光で来てもらって、その時に地域の人と接してもらって、この地域を理解してもらった延長線に移住ということも考えています。

少子高齢化で上宝も子どもが少ないですし、空き家もたくさんあるのでこういったことを通して人口の増加につながればいいし、それを願っています。

渡り鳥ハウスを利用した尾形さん一家は…

尾形文さん:
東京にいると情報が多すぎて、どうしてもせかせかと生きてしまう。
こういうところに来ると、本来ありたい自分、本当はゆったりと過ごしたい、それができる気がして、また東京に戻ってもいい刺激になる。

今後1年で渡り鳥ハウスを50棟から60棟、全国に拡大していき、5年以内に500棟、会員数1,000人を目指していく予定。

空き家の不安を解消し移住者増も

三田友梨佳キャスター:
コミュニティデザイナーでstudio-L代表の山崎亮さんに聞きます。
地方の魅力を伝えるためのこうした取り組み、山崎さんはどうご覧になっていますか?

studio-L代表・山崎亮氏:
地域との関係づくりなど、非常に丁寧に取り組んでいるなという印象を受けました。

まず、空き家を活用しているということ。これは結構大切で、空き家は一軒一軒広さとか間取りも全然違うし、それを借りたり、管理することは結構手間がかかることが多いんですが、これを丁寧に進めているなと。

それと、空き家というのはその地域の人たちにとっては不安材料なんですよね。
でもここを借りて外の方々が入ってくることによって、不安材料をちょっと取り除いていく。
地域の人との関係性を丁寧に築いていっている。

だからこそ農業体験とか、あるいはコンシェルジュをお願いすることもできるようになっていて、こういう体験が利用者の地域での楽しみを作り上げているんだなと思います。

丁寧に関係性を築くことで、みんなで一緒にこの地域を盛り上げようという、この機運を高めている気がします。

三田キャスター:
利用者も楽しみながら地域の活性化に貢献できるというのは、すてきですよね。
一方で、課題を挙げるとするとどんな点ですか?

山崎亮氏:
今後、こういう取り組みが広がり、リピーターが増えていくと、中にはその地域で長く生活したり、移住するという人も出てくるかもしれない。

それを願っているとおっしゃっていましたが、そうすると、サブスクを辞めることになってしまうかもしれない。
事業としてはマイナスになるような気もしますが、こういう移住者をいかに応援していくかということが課題になってくるかと思います。

短い目で見れば、事業としてはマイナスかもしれないけど、例えばそういう移住者が次の新しいコンシェルジュになってくれるとすれば、会社としてもプラスでしょうし、本人にとっても仕事ができます。

なので、サブスクを利用していた人たちが、今度は働く人として事業に関わり続けられるようなサイクルを作っていくことが、今後必要になっていくだろうと思います。

渡り鳥ハウス

三田キャスター:
短い期間の観光ではなくて、その地に足をつけて生活することでしか味わうことのできない、知らない地域の魅力や発見というのも、きっとたくさんあるのだと思います。

こうしたサブスクをきっかけに、第2、第3のふるさとと呼べるような地域との出会いも待っているのかもしれません。

(「Live News α」3月15日放送分)