デンマークやタイなどが接種を一時中

アストラゼネカなどが開発したワクチンについて、新たにデンマークやタイなどが接種を一時中断した。

デンマークの保健省は11日、アストラゼネカのワクチン接種後に血栓が確認された例が複数あったとして、接種を14日間中断し、調査を行うと発表した。

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この中には死亡したケースも1件含まれているが、ワクチンとの因果関係が分かっておらず、「予防的な措置」だとしてる。
これを受け、ノルウェーも接種を中断したほか、イタリアやルーマニアでも、一部のロットの使用を中断した。
タイもきょう予定していた接種を延期し、調査が進むまで待つことを発表した。

EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局や、WHO=世界保健機関は、報告された症状とワクチン接種の因果関係は明らかになっていないとして、接種の効果を強調している。

「有害事象」と「副反応」の違い

内田嶺衣奈キャスター:
このニュースについて、アメリカの大学病院で新型コロナウイルスと向き合っている内科医の山田悠史先生に伺いました。

海外の一部の国で、アストラゼネカ製のワクチン接種が一時中断されました。
医師としてどのように受け止めていらっしゃいますか。

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
こういったことは、さまざまな薬で見られることがありますので、驚くような稀なことではないと思います。

この件で、「有害事象」という言葉と「副反応」という言葉の違いについて改めてご確認いただければと思います。

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
まず「有害事象」というのは、因果関係の有無にかかわらず、ワクチン接種後に起こった全ての健康上の不具合を意味する一方で、「副反応」というのはワクチンと因果関係のある健康上の不具合についてを指します。

今回の報道事例は全て「有害事象」には該当しますけれども、「副反応」に該当するかどうかはまだわかりません。

これをワクチンのリスクととらえるのは時期尚早だと思いますし、「有害事象」を検討する上で念のために中断されたという意味合いが強いと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
ということは、伝えられている血栓症などの例は、ワクチンによる副反応なのかどうなのかは現段階ではまだわからないということですね。

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
世界中で3億回以上の接種が進んでいますけれども、3億人の人が生きていればワクチンの接種の有無にかかわらず、さまざまなタイミングで病気になったり命を落としたりというケースが生じてしまいます。

そしてこれがワクチン接種のタイミングと重なることもあります。

今回の報道にあるような血栓症でいえば、因果関係の知られているリスクとして、ピルの内服ですとか飛行機の使用で若い方にも血栓症が起きる例があることが知られていますけれども、これまでのワクチンについてはそのようなリスクは知られていません。

今後の対応は

内田嶺衣奈キャスター:
そういった中で今後行っていくべき対応についてはいかがですか。

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史医師:
この血栓症の事例もそうなんですけれども、全ての「有害事象」の情報をしっかりと集めて、それが自然発生率よりも高いかどうかや、不自然に数多く予防接種後に「有害事象」が見られていないかということを慎重に観察することが大切で、これにより「副反応」かどうかということを最終的に確認することができます。

一般の皆さんにご理解いただく必要があるのは、「有害事象」の報告は決してワクチンの危険性を語るためのものではなくて、「副反応」を明らかにするための一つのプロセスで、「副反応」と明らかになった時点で初めてワクチンのリスクというふうに考えられますので、因果関係はまだよくわかっていないことなんだと冷静に情報を追いかけていただく必要があるのかなと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
先生のおっしゃるように一つ一つの情報というのを私たちも冷静に受け止めていきたいです。

(「Live News α」 3月12日放送分)