“赤”に新たな文言追加
「コメントが今までのものではそぐわない」
3月12日に開かれた東京都のモニタリング会議。冒頭で感染状況と医療提供体制を表す総括コメントが“改定”された。
「4段階であることは変わらないが、拡大しつつある状況と比べると現段階は収束しつつあるが、次のことを考えないと行けない」
この記事の画像(5枚)東京都医師会の猪口正孝副会長は、感染状況の“赤”=最も深刻なレベルを表現する言い方として、これまでの「感染が拡大していると思われる」だけでなく「感染の再拡大の危険性が高いと思われる」を付け加えた。
医療提供体制の“赤”についても、これまでの「体制が逼迫していると思われる」に「通常の医療が大きく制限されていると思われる」を付け加えた。
今後は、状況に応じてどちらのコメントを使うか検討していくということだった。変異ウイルスにより、新たなステージに入ったことが伝わってくる変更だった。
飲食での感染増加…春の行事に懸念
感染状況については、感染者数7日間平均は前回の272人から262人に、増加比は94%から96%とほぼ同じ水準で、まさに「下げ止まり」。
感染者の中では、20代と60代の割合が増えているという。
感染経路別にみると、「家庭内感染」が44.3%で最も多く、次が「施設内感染」の35.6%と一見大きな流れは変わらないように見えるが、その一方で「会食」が3.8%から4.5%へ、「接待を伴う飲食」が0.9%から1.8%に増加している。
そして、「花見、歓送迎会、卒業旅行等によって新規陽性者数が大幅に増加されることが危惧される」とした上で、「本当にそうなってしまうとこわいので、是非皆さんに考えて頂きたい」と一人一人の意識と対応の重要性を訴えた。
基本的な対策の徹底を 検査の重要性を訴え
しかし、対策はこれまでと大きく変わるわけではない。
「会話時にはマスクをするとともに、家族以外は4人まで。他のグループとのテーブルを1~2m離す」と、「国の緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提言」の内容を改めて呼びかけた。
また、「昼食中の団らん、休憩室など落とし穴がある」というのも何度も呼びかけられてきたことだ。
「検査が大事な武器になるので、使い方を一生懸命考えているところ」
猪口副会長は、早期の積極的疫学調査や感染が多発している地域・高齢者施設への検査を定期的に行うことが、いかに重要かを改めて述べた。
ワクチン接種が大きくは進まず治療薬も確立されない中、早期発見が最も有効な対策なのだろう。
この体制を維持しないといけないというのが非常につらい
医療提供体制でも、変異ウイルスによる感染再拡大への強い警戒感が示された。
「病院の体制が十分に確保できないまま感染が再拡大する危険性がある」
「現在の医療提供体制では、変異株(=変異ウイルス)によるさらなる再拡大には適応することが本当に大変になる可能性がある」
「この体制を維持しないといけないというのが非常につらい」
猪口副会長は淡々と述べたが、これが医療現場のリアルな思いだろう。
解除か再々延長か、わかりやすい説明を
「原点が重要。何度も何度も同じ事で恐縮ですが改めてのお願い」
緊急事態宣言の期限となる21日まであと9日。
解除か再々延長か。対策はこれまでと変わらない中、どのような判断・指標・対策が示されるのか、わかりやすい説明が求められるだろう。
(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)