土産品のお菓子が小学校の給食に

2月8日、沖縄県那覇市・松川小学校の給食の時間。この日は特別なメニューが登場するということで、子どもたちもワクワクしていた。

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仲宗根琢人記者:
那覇市の松川小学校ではきょう普段とは違ったデザートが登場しましたそれは県産の土産菓子なんです

提供された土産菓子は、観光客に人気が高い「紅芋タルト」。土産品のお菓子が小学校の給食に出ることはめったにない。

実はこの取り組み、新型コロナウイルスの影響を受ける土産品店を支援する事業の一環だ。

国や県の緊急事態宣言やGoToキャンペーンの停止などで観光客が減少し、国際通りでは約半数の店が休業(2月時点)しているほか、全体の売上も去年の同じ時期よりも8割も減少した。

特に土産品店では、賞味期限が短いお菓子などの在庫を大量に抱えてしまうことが課題となっている。

国際通りの土産品店で働く桃原和也さんは、このままでは商品を無駄にしてしまうと大幅に値引きし、SNSで購入を呼びかけるなど、賞味期限が迫る数多くの在庫に頭を悩ませていた。

桃原和也さん:
まさかこんなに急に(観光客が)いなくなるとはと思っていないので。賞味期限との闘いで賞味期限が過ぎてしまうとフードロスになってしまうので、どうしても原価割れでも売っていかないといけない。商品1つでも残さないように

こうした背景から国際通りの店舗でつくる連合会が那覇市に協力を呼びかけ、土産品店を救出する取り組みが計画された。

城間那覇市長:
コロナ禍に瀕するお土産品に需要をもたらし、市内経済維持にも寄与するものと考えており、本市としてもしっかりと連携をして参りたい

事業では、国際通りに店を構える137店舗を対象に、連合会が那覇市から2000万円の補助を受けて「タルト」や「ちんすこう」など店舗の在庫18万6000個を買い取り、2月8日から3月中旬までの期間、那覇市内の小中学校で給食のデザートとして提供する。

企画を担当した連合会の石坂事務局長は、商店街が生きていくために県民の協力が必要と考えている。

国際通り商店街振興組合連合会 石坂彰啓事務局長
県民の皆様にも国際通りを理解していただこうということで。(子どもたちが)県産品のお菓子を手に取ることで、店で働いている従業員たちを助けることができると。保護者の皆様にもお手紙、メッセージを送りました

人気の土産菓子がデザートとして振舞われ、子ども達にも笑顔が溢れた。

ーー給食にタルトが出てどう?

子ども達:
とっても嬉しい

ーーどうして給食に土産品が出たのか知っている?

子ども達:
コロナ(の影響)とかでお店で売れなくなって、給食に出た。家族にも「おいしかったよ」と言いたいです

国際通りの土産品店で働く桃原さんは、この取り組みをきっかけに、国際通りに対する県民の意識が変わることを期待する。

桃原和也さん:
今回の取り組みは本当に素晴らしいと思います。沖縄の子どもたちにも沖縄の素晴らしいお菓子があるんだよということを知ってもらって、沖縄の人も気軽に遊びに来れるような、またあのお菓子食べたいって買いに来てくれるような国際通りになってほしいですね

戦後、目覚ましい発展を遂げた国際通りは“奇跡の1マイル”とも呼ばれ、近年は有数の観光スポットとして沖縄経済の一翼を担ってきた。

新型コロナの影響で観光客が激減した1年。未曽有の苦境を乗り越えようと模索を続ける。

(沖縄テレビ)

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