震災きっかけに「厨房つき店舗」拡大

私たちの生活に定着した「コンビニ」。
災害時に食料や飲み物を切らすことなく、店舗をどう開け続けるか。 非常時のインフラとしての取り組みを取材した。

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列島に大きな爪痕を残した東日本大震災。 それはコンビニも例外ではなかった。
辺り一面がれきに覆われ、工場からの商品供給がストップし、品薄状態になった店舗。
被災した人たちが食料や電池などを買い求めて店を訪れたが、店内には商品がなかった。

ローソン 商品本部デイリー・厨房部 水島史喜部長:
当時やはり、あれだけ大きな震災が起こることも、もちろん想定していなかった

こうした中、岩手・宮古市など被災地のローソンでは、 数人のオーナーの機転により、店内にあったお米でおにぎりを作って販売。
店内に厨房のある店舗にはお米などのストックがあり、 工場から商品が届かなくてもおにぎりを作って提供することができたのだという。

ローソンでは震災をきっかけに、 災害時にも活用できる厨房付きの店舗を増やし、 今では10年前の160倍、全国で6400店舗になったという。

ローソン 商品本部デイリー・厨房部 水島史喜部長:
災害対応含めて、もっともっとお店、街に根ざして商品提供できる、その可能性を唯一秘めているのが、店内で作るという作業。 ここの価値は非常に大きい。

「店を開け続ける」ための取り組み

一方、ファミリーマートでは災害時も飲み物を供給し続けられる体制の構築を目指している。
2013年には、 水のペットボトル製造工場を新潟県に建設。
震災直後、宮崎県にあった水の工場が増産を行い、 首都圏などへの水の供給に役立ったことが背景にあり、今では災害時でも水を途切れることなく製造し、全国に供給できるようになったという。

食料や飲み物を供給するために大事なのが、輸送ルートの確保や、店を開け続けること。
セブン-イレブンでは、店舗や配送トラックの状況などを把握できるシステムを活用。
地図上に店舗の位置や配送トラックの情報が映し出され、 停電や配送が止まるなど、通常と違う状態になると色が変わり、一目で分かるようになっている。

さらに2021年の春からは、 店のオーナーがスマホやタブレットで店の状況を入力し、本部がリアルタイムで把握できる仕組みを新たに導入するという。

セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 西村 出システム本部長:
店の状況、店舗の状態、安否確認や、「お店を閉めますよ」(といった情報)などをリアルタイムに反映して、セブンビューで災害休業という形でリアルに反映できる。それがひいては地域のお客様に被災の時に欲しいものが、 効率よく配置できるということにつながる

災害時に、いかに被災者の助けになれるか。
業界の取り組みは続いている。

(「Live News days」3月2日放送分より)